「この女優が出演していると作品が格上げされる」とネットで話題を呼んでいる、日本語・韓国語・英語を操るトライリンガル女優の玄理さん初主演映画『水の声を聞く』が10月にDVDでリリース。14年8月に公開され、「第65回ベルリン国際映画祭」にも正式出品された同作の撮影裏話や仕事、プライベートに肉薄します!
「私にとって転機となった作品。人生を賭けて何かに取り組む女性の姿、父親と娘の話、さまざまな角度から観てくださるとうれしいです」
私にしか演じられない役で私で良かったと言われたい!
──初主演作が話題を呼びましたが、山本政志監督とはどのように出会ったのでしょうか。「待つことが苦手な性格なので、山本さんが主催しているシネマインパクトへ自分から会いに行ったんです。韓国の大学を卒業してすぐに、NYの映画祭に行ったんですね(青山学院大学在学中、韓国延世大学で映像と演技を学ぶ)。当時は日本の映画界をよく知らなかったものですから『今、日本で一番話題になっている映画監督は誰ですか?』と聞いてみたら、みなさん口を揃えて『山本監督が面白くてチャーミングだ』とおっしゃるので」
──自分から会いに行くとは積極的ですね!
「一生、この仕事で食べて行くと決めてからは、自分から行動を起こすようにしています。この『水の声を聞く』は、私と会う以前から山本さんには長編映画の構想があったと思うんですけど、150ページ以上の台本を頂いた時は、本の厚みとともに、作品の重みも受け取りました。
読んでみたら、日本語と韓国語を自在に操る、宗教団体の教祖に押し上げられてしまう巫女役で、私にしか演じられないと思うと同時に、私がミンジョン役で良かったと言って頂きたいと思いました」
──ですが、難役だったのでは?
「教祖という役柄に関しては、実際に東京・新大久保のコリアンタウンに、ミンジョンと同じ境遇の女性がいると教えて頂き、会って参考にしました。映画のように、大金を注ぎ込んで占ってもらいたい人が大勢、詰めかけていて、“祈り”とは何かということを、深く考えさせられました。その方にお会いしてから、祈りに関する書籍を何冊も読んで勉強したんです」
父親と娘が語る場面だけは唯一テイクを重ねたんです
──ほかに演じる上で意識したことはありますか。「ミンジョンは普段、普通の女の子なので、教祖でいる時とはギャップが出るように心掛けました。ケータイ電話で女友だちと話すシーンは、映画を観てくれた友人たちから素の私のまんまと言われました。普段と教祖でいる時の切り替えができていたと感じてもらえたのはうれしかったですね。あとは、 教祖をしている時の声のトーン。人から信頼され、安心感を抱いてもらえるような声質を意識していました」
──父親とのシーンも見ごたえがありました。
「娘さんがいらっしゃる山本さんご自身にとっても、思い入れが深いシーンだったみたいです。ほかのシーンは一発OKを頂けることが多かったんですけど、休憩所でミンジ ョンと父親が話すところだけは、何度もリハーサルを重ねて、何度もテイクを重ねました」
──山本監督はゲリラ撮影をすることでも有名ですよね。
「そうなんです。韓国・済州島での撮影もまさにそうで、柵を超えて入っているのに、何も言われませんでした(笑)ただ、2日間撮影する予定が半日で終わったので、残り1日は観光してました。サムゲタンがものすごく美味しかったです」
片手綱で乗馬ができるので時代劇で活かしてみたい
──玄理さんにとって本作は、どのような存在ですか。 「ベルリン国際映画祭にも呼んで頂けましたから、私の転機になった作品です。シリアスで重いテイストではありますけど、人生を賭けて何かに取り組む女性の姿、父親と娘の話、さまざまな角度から観てくださるとうれしいです」
──
ありがとうございます。最後にプライベートでハマッていることもお伺いしたいです。 「最近、犬を飼い始めました。ミヒャエル・エンデの小説から『モモ』と名付けたんですけど、かわいくて仕方ないですね」
──
動物は可愛いですよねえ。 「飼っていないと理解してもらえない部分はありますけどね。ペットの話ばかりする人の気持ちが、モモと暮らして初めて分かりました(笑)あとは乗馬が特技で片手綱で乗ることができるんですけど、女性が馬を乗りこなす時代劇を観たことがなくて。もしそういう役が巡ってきたとしても、相当なじゃじゃ馬娘でしょうね(笑)」
INFORMATION
■DVD『水の声を聞く』
INFO&STORY
東京・新宿のコリアンタウンで、軽くひと稼ぎをしようと巫女を始めた在日韓国人のミンジョン。水や緑からメッセージを聞き取るという彼女に救いを求める人々は後を絶たず、やがてその集まりはミンジョンを教祖と仰ぐ宗教団体となる。後戻りのできない状況になってしまい、救済を求めてくる信者たちに苦悩するミンジョンだったが、次第に偽物だった宗教にも心が宿り、不安定な現代社会を救おうと大いなる祈り捧げ始める…。山本政志監督がプロデュースする実践映画塾シネマ☆インパクト第3弾。14年8月に公開、「第65回ベルリン国際映画祭」に正式出品された。
CAST&STAFF
出演/玄理・趣里・中村夏子・鎌滝秋浩・小田敬・萩原利久・松崎颯・薬袋いづみ・村上淳
脚本・監督/山本政志
プロデューサー/村岡伸一郎
製作/シネマ☆インパクト
公式HP
アムモ98から発売中。4200円(税別)
PROFILE
玄理(ひょんり)
1986年12月18日生まれ 東京都出身
映画、ドラマ、舞台、CMなど女優として活躍。韓国での演技留学を経て10年に帰国。主演に抜擢された同作は「第65回ベルリン国際映画祭」に出品され、「第29回高崎映画祭」では最優秀新進女優賞を受賞。映画出演はほかに「ストリートファイター 暗殺拳」「FLARE ~フレア~」「駆込み女と駆出し男」などがあり、公開待機作には「ホテルコパン」「後妻業」がある。今年7月の所属事務所移籍を機に、玄里から玄理へ改名した
公式HP 公式Facebook
■DVD『水の声を聞く』
INFO&STORY
東京・新宿のコリアンタウンで、軽くひと稼ぎをしようと巫女を始めた在日韓国人のミンジョン。水や緑からメッセージを聞き取るという彼女に救いを求める人々は後を絶たず、やがてその集まりはミンジョンを教祖と仰ぐ宗教団体となる。後戻りのできない状況になってしまい、救済を求めてくる信者たちに苦悩するミンジョンだったが、次第に偽物だった宗教にも心が宿り、不安定な現代社会を救おうと大いなる祈り捧げ始める…。山本政志監督がプロデュースする実践映画塾シネマ☆インパクト第3弾。14年8月に公開、「第65回ベルリン国際映画祭」に正式出品された。
CAST&STAFF
出演/玄理・趣里・中村夏子・鎌滝秋浩・小田敬・萩原利久・松崎颯・薬袋いづみ・村上淳
脚本・監督/山本政志
プロデューサー/村岡伸一郎
製作/シネマ☆インパクト
公式HP
アムモ98から発売中。4200円(税別)
PROFILE
玄理(ひょんり)
1986年12月18日生まれ 東京都出身
映画、ドラマ、舞台、CMなど女優として活躍。韓国での演技留学を経て10年に帰国。主演に抜擢された同作は「第65回ベルリン国際映画祭」に出品され、「第29回高崎映画祭」では最優秀新進女優賞を受賞。映画出演はほかに「ストリートファイター 暗殺拳」「FLARE ~フレア~」「駆込み女と駆出し男」などがあり、公開待機作には「ホテルコパン」「後妻業」がある。今年7月の所属事務所移籍を機に、玄里から玄理へ改名した
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撮影/おおえき寿一 取材・文/内埜さくら メイク/横山雷志郎