「意味不明だが面白い」「強烈なインパクト」「まったく先が読めない」などの〝評価〟を受ける伊藤幸司さん、国崎和也さんによるお笑いコンビ・ランジャタイ。『ランジャタイのがんばれ地上波!』の最終回、終王ノブはSNS界隈を騒然とさせた。その一挙手一投足が気になる存在だ。立川志らくさん、千鳥のお二人との関係から『ガキの使い』七変化での高価な美術品購入のその後、賞レース参戦の真意、暗黒の地下芸人時代の話、バイト遍歴まで聞かせてもらった。「みなさんのお陰です。出会いに感謝。今は楽しくやってます」と紡ぐ言葉と、国崎さんの笑顔が印象的な取材でした。
『ホタルイカ目玉飛ばし大会のロケが楽しかったので面白いことばかりやっていきたい!』
ANNポッドキャストも〝終王ノブ〟と同じく千鳥ノブさんだけで ──ニッポン放送「立川志らくザ・ラジオショー」聴いてました。
国崎「虹の黄昏さんから?有り難かったです。師匠のお陰で、ここまで来られて。頭が上がらない」
伊藤「何回会っても嬉しいよね」
国崎「会って泣いちゃって」
伊藤「お互い涙目で」
国崎「途中で抜けちゃうんですけどすごく寂しそうでした」
──21年の「M-1グランプリ」以降、親交が続いて。
国崎「高い点数をつけてくれて」
伊藤「96点」
国崎「(小声で)志らく師匠以外は全然だったんですよ」
──審査員・富澤たけしさんからの〝一喝〟もありました。
国崎「点数も91点と低かった。事務所の後輩なら100点つけてもいいのに。癒着がありますから」
伊藤「伊達(みきお)さんも『3人で出ようぜ』と言ってたのに」
国崎「冷たい(笑)サンドさん、みなさんが思っている好感度は違うと思います」
──「ランジャタイのがんばれ地上波!」最終回も拝見しました。
国崎「〝終王ノブ〟に乗っ取られて。最低でしたね(笑)人間の欲を詰め込んだホントのノブさんでした。収録を見てたんですけど、イキイキしていてカンペは見ずに心の底から言ってました」
伊藤「フルでやってくれて作詞・作曲ノブが面白かった(笑)」
──1年半続いた番組の最後があれで良かったのかなと。
伊藤「最高の最終回でした」
国崎「たまたまテレビをつけた人が観るのが最高ですね。『不倫音頭』を歌って踊ってるノブさんがいて(笑)楽しく終わりました。大悟さん有難うございましたー」
伊藤「ノブさん、ノブさん」
国崎「大悟さんあってのノブさん。千鳥はピン芸人ですから」
伊藤「コンビです。大漫才師」
国崎「大悟さん、美味しいご飯をいつも有難うございます」
──終わりがあれば始まりありで「オールナイトニッポンPODCAST」火曜の新パーソナリティに就任。
国崎「これも最終回は、ノブさんだけでやりたいですね」
伊藤「最終回が来ないように頑張って最高のラジオを…」
国崎「タイトルもまだ決まってないですが構成作家の畠山(健)さんという方がいて、17年に単発でANNRをやったんですけどその時の作家さんが畠山さんで。駆け出し中の…」
伊藤「だいぶベテランだから」
国崎「仲良くなって、今は大出世されまして。たぶんですけどねじ込んだと思います。僕たちは癒着だけでやってます(笑)」
──17年放送の日本テレビ系「ぐるナイおもしろ荘」出演は転機の1つだったと思います。
国崎「覚えてます。ただ、その時は志らく師匠も大悟さんもいなかったんですよ。大悟さんがテレビ東京『ぴったりにちようチャップリン』で面白い!と早い段階から言ってくれて以降、いろんな番組に呼んで頂いて今につながってます」
伊藤「ポイズン吉田(大吾)さんとかね。みなさんのお陰です」
──芸歴17年を振り返ってキツかった時期の話を聞かせてください。
国崎「最近ですが『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』の七変化や『ドキュメンタル』シーズン13で全財産を使ってしまい貯金ゼロに。いろんな支払いが来てここ数か月はド貧乏な暮らしをしています。細~い何本も入っているパンとピンク色の紙パックジュースという食生活。大悟さんとご飯に行くと帰りに必ずタクシー代1万円くれるんですけど、タクシー使わず生活費に(笑)それぐらいヤバかった」
暗黒の地下からは抜け出しましたが売れてもメンツは変わりません ──下積み時代と比べても?
国崎「バイトもあったし、お金はあった。あとは、オズワルド伊藤(俊介)くんの伊藤会に先輩の僕が行って盛り上げて、伊藤くんに頭を下げてタクシーに同乗して家に帰る」
伊藤「ラッキーボーイでしたね」
国崎「助けられました」
伊藤「僕はプライベートで断食したんですが、死ぬかなってぐらいツラかった。一回休憩を挟んで計10日ぐらい、ずっと頭が痛くて」
国崎「テレビに出た時、ツラすぎてひと言もしゃべらず収録が終わったこともあった」
伊藤「お腹がすき過ぎて。今は持ち直して健康です」
──仕事面ではどうですか。
伊藤「22年のM-1ラストイヤーで準々決勝で落ちたこと。ドカウケして確定だ!と思ったのに名前がなかった。それを知った瞬間は気絶するぐらい。何が起きたんだ!?と」
国崎「僕は結果が出た時、バンドのライブを見に行ってて。そこにファンの方がいて僕を見てあっ!って顔をして『お疲れ様でしたー』と。落ちたんだとピンときました」
──「Mー1グランプリ」「THE SECOND」など数々の賞レースに参戦されてます。
伊藤「『THE SECOND~漫才トーナメント~』はM-1の余韻ですね」
国崎「大会荒らしで(笑)嘲笑うかのように出てますね。『THE W』が一番出たいです。男だとバレて失格とか一番やりたいですね。決勝に進むと志らく師匠のような出会いがありますし。『THE SECOND』は東野(幸治)さんしかいない。ほぼ、カンテレ『マルコポロリ!』みたいな」
──組み合わせ抽選会でもそんなお話をされてました。
国崎「東野vsで『オマエが発言した件について徹底討論しよう』と東野さんに呼ばれました」
──頑張ってください(笑)無所属時代には自宅でライブを開催。
国崎「チラシを作って街にたまたまいたという体で僕の家に向かい、事前に撮っておいたネタの映像Vをお客さんとして観るというもので第9回までやりました」
──メディアに出始めの頃は地下芸人と呼ばれて。
国崎「モダンタイムスさんという方がいるんですが、婦人会とかやるような市の会議室を貸切ってお客さん1人1000円もらってライブをやったことがあります。音響はプレステ2で、9人しかいないのに満席に見える椅子の配置とか、モダンさんからはそういう手段ばかり学びました」
──そこから抜け出されて。
国崎「逃げ出しました(笑)モグライダー、ヤーレンズ、ウエストランド、錦鯉さん、トム・ブラウン、真空ジェシカ、ネコニスズ…毎日劇場で顔を合わせていてもう勘弁してくれと。そんな話をよくしてて売れたら売れたで、また一緒で変わらない(笑)M-1の時も不思議な感覚でした。地下ライブの楽屋から扉から開けたらM-1の舞台だったみたいな」
──暗黒の地下芸人時代はツラくなかったですか?
伊藤「何も感じない、感情がマヒしてました。お金はないので、もちろんアルバイトして」
──国崎さんのガソリンスタンド旗振りが気になりました。
国崎「仕事ができないのでオジサンと2人でパニックになったことがあり頑張って切り抜けようとしてたら1リットル160円を4時間、6円で販売して店にウン10万の損害を与えてしまった。2人して本社に呼び出され、説教とお金に携わるなという通告。GSに車が入って来たら笑顔でレース旗を振って喜ぶという仕事を9年ぐらいやってました」
永野さんと僕らは悪でしかないので事務所から追放したほうがいい ──旗振り係には前段階があったんですね。伊藤さんは?
伊藤「アイスクリーム屋、パン屋さんで。今はカツラでやってますけど髪を切りたくなくて面接で落ちてばかりでしたが帽子を被って良かったので。廃棄のパンを持って帰って食べて生きてました」
──辞めたタイミングは。
国崎「結構早くに辞めたよね。株をやってて、無限もやしの株が大暴落(笑)」
伊藤「お金をあまり使わないからね。10万円で信用取引始めて200万円までいって、それが暴落。借金ギリギリで終わりました」
国崎「2人で鉄火丼を食べてた時に大下落が起きて。あんなに美味しかったのに、それを知って一口も進まず(笑)」
伊藤「株を始めたのは、できれば働かずに楽したい気持ちがあって。30万の元手を作り」
国崎「僕たちはいまだにそうですね。楽して暮らしたい。こういう楽しい取材・撮影だけ、週1でいいと思っている」
伊藤「週1はあれだけど…」
国崎「事務所に『週1で頼む』とお願いしようと思って。馬車馬のように働かされて」
伊藤「休みもらってます」
──事務所所属に尽力された、あぁ~しらきさんが悲しむのでは。
国崎「仲介役を買って出てとなってますもんね。詳しい話をすると入りたかったけど2年間オーディションがなく、やっと開催されたら年齢制限も全部引っかかって。諦めてた時に、知り合いだったあぁ~しらきさんが『全然関係ないのよ。私が口利きしてあげるから入りなよ』と。そしたら第一段階ぐらいでしらきさんの案が弾かれて役に立たなかった(笑)年齢制限だけ外してくれて一次からオーディションに参加しました」
──そうなんですね。改めてグレープカンパニーについて。
国崎「サンドウィッチマンさんがいてティモンディ、カミナリ、東京ホテイソンがいて。永野さんと僕たちだけは追放したほうがいい(笑)悪でしかないので」
伊藤「(お見送り芸人)しんいちくんもね」
──6月に東名阪で開催される「マツクランジャタイ~あぁ再演だぞう~」の話もいいですか。
国崎「マツクランジャタイは数年前から、もっと前か?」
伊藤「14年から。すぐマツモトクラブさんは15年の『R-1ぐらんぷり』決勝に行って」
国崎「よく考えたらモダンさんと仲良くなったのも全部、マツクラさんから始まってますね」
──前回は23年12月に新宿で。
国崎「マツクラさんは芸人の前は役者さんで、劇場でやりたいと言ってたので紀伊國屋サザンシアターはマツクラさんの夢でした。続編をやる予定でしたが時間がなくて再演に。今回は名古屋、大阪、東京の3会場でやります」
──今後の抱負をお願いします。
伊藤「全国規模の賞レースで一回はチャンピオンになりたいですね。あとは楽しくやりたい。今の感じを続けていきたい」
国崎「地元の富山でロケがあったんですけどホタルイカ目玉とばしコンテストという信じられない大会があって記録保持者がオラキオさん(笑)約13メートルという異常な距離で」
伊藤「人間って怖いなあと。よく考えてください、目玉を飛ばすんですよ」
国崎「それを見てみんなが笑ってホタルイカ側からしたらとんでもない話じゃないですか。さっき着替えてポケットに手を突っ込んだら乾燥してますけどホタルイカの目玉が2コ(笑)取材のみなさんは気づかなかったと思いますが外で撮影している時、ずっと手に持ってポーズ取ってたんですよ。楽しかったので、こういうのばかりやっていきたい」
伊藤「ドン引きですね」
INFORMATION
ランジャタイ
07年にコンビ結成。ライブシーンを中心に注目を集める存在だったが、17年2月に日本テレビ系「ぐるナイおもしろ荘」に出演し、以降はメディア露出も徐々に増やしていく。「M-1グランプリ2021」で決勝進出。「オールナイトニッポンPODCAST ランジャタイの〇〇(仮)」が毎週火曜配信。KNB北日本放送「ワンエフ」レギュラー。ツーマンライブ「マツクランジャタイ~あぁ再演だぞう~」が6月22日(土)愛知・東別院ホール、6月23日(日)大阪・ABCホール、6月25日(火)東京・I’M ASHOWで開催される。
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伊藤幸司(いとう・こうじ)
1985年11月18日生まれ 鳥取県出身
国崎和也(くにざき・かずや)
1987年9月3日生まれ 富山県出身
ランジャタイ
07年にコンビ結成。ライブシーンを中心に注目を集める存在だったが、17年2月に日本テレビ系「ぐるナイおもしろ荘」に出演し、以降はメディア露出も徐々に増やしていく。「M-1グランプリ2021」で決勝進出。「オールナイトニッポンPODCAST ランジャタイの〇〇(仮)」が毎週火曜配信。KNB北日本放送「ワンエフ」レギュラー。ツーマンライブ「マツクランジャタイ~あぁ再演だぞう~」が6月22日(土)愛知・東別院ホール、6月23日(日)大阪・ABCホール、6月25日(火)東京・I’M ASHOWで開催される。
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伊藤幸司(いとう・こうじ)
1985年11月18日生まれ 鳥取県出身
国崎和也(くにざき・かずや)
1987年9月3日生まれ 富山県出身
Interview&Text/立花みこと Photo/渋谷和花