「夢二と添い遂げていたら、彦乃はたまきより怖い女性になっていたと思います。2人の女性の両極端な愛の対比を美しい画と一緒に楽しんで頂きたいです」
明治、大正、昭和の3時代を駆け抜けた、日本最初のポップアートアーティスト竹久夢二氏の本質を浮き彫りにした話題の映画『夢二~愛のとばしり』が7月30日より公開。夢二に一途な愛を貫く彦乃役を演じたのは女優の小宮有紗さん。「今までのイメージを覆すような役だからこそ、覚悟を決めて臨んだ」と語る撮影秘話を、恋愛観とともに語ってもらった。
夢二とのシーンは気遣われすぎて「大丈夫です!」と
──竹久夢二を一途に思い続ける彦乃を小宮さんはどう捉えましたか。
「黒谷(友香)さんが演じたたまきと対極にいるというか、本当に純真無垢で育ちがよくて性格がいいお嬢さんなんだなっていうのが台本から匂い立っていました。汚れていないし透明感があるんですよね、彦乃は」
──その彦乃を演じるに際し、宮野監督からはどんな助言を?
「本読みや面談を2~3回した後に出演が決まったんですけど、その時に台本を読みながら段階的にアドバイスを頂きました。最初はどんな感じで演じたのかな…もっと純粋感がなかったかもしれません。でも、インする前に細かなところを修正して頂いたので、現場ではそれほど大きく変えることなく、のびのびと演じることができました」
──本作では初のベッドシーンも披露していますよね。
「かなりギリギリのところまで肌を露出しているから、現場のみなさんがものすごく気遣ってくださったんです。その気遣いはとてもありがたかったんですけど、逆に彦乃を演じるためには邪魔に感じてしまう時もあって(笑)『大丈夫ですから!』と現場で何度も伝えていました」
──襦袢のまま、というのがリアリティを感じました。
「最初は脱ぐはずだったんですけど衣装さんが『着たままのほうがセクシーだし、画的にも美しい』とおっしゃって、現場で変更したシーンなんです。 見えないからこその色気を表現できたかな、と思います」
──ライティングが美しいのも、あのシーンのポイントかと。
「木更津や静岡に毎日、日帰りで通うスケジュールだったから体力的に厳しくて、待っている間に一瞬、寝かけてしまうほど念入りなライティングでした(笑)主演で出ずっぱりの駿河(太郎)さんも、待ち時間に熟睡していましたね。宮野監督は光の入り方1つずつにもすごくこだわりを持って計算する方で、夢二と彦乃のシーンでは常に白い光で明るい愛を、夢二とたまきのシーンではライティングで陰な関係を表現しているんです。2人の女性、どちらも夢二に対する愛はあるけど種類が違うので、両極端な愛の対比を美しい画と一緒に楽しんで頂きたいです」
夢二みたいな人と結婚は…間違いなく無理です(笑)
──駿河さんが演じた夢二のような男性は、個人的にどう思いますか?
「芸術家という職業柄、1人の女性に決められずにフラフラするのは仕方ないことなのかもしれませんけど、私は間違いなく結婚相手には選ばないなあ、と思いました(笑)彦乃はたぶん、他の男の人を知らないからこそ純愛を貫くことができたんでしょうね。夢二と添い遂げていたら、たまきより怖い女性になっていたと思いますよ。度胸が座っているからたまきのように感情を昂ぶらせることなく、冷静に夢二を支配しそうじゃないですか。実は一番怖いのが彦乃かなと私自身は捉えました。それに私、夢二のように1人で勝手に出掛けてしまうような人より、連れ出してくれる人じゃないと相性が合わないかなって。その点でも夢二はちょっと…」
──小宮さんは休日引きこもるタイプですもんね。
「完全に引きこもりです。ゴロゴロして漫画を読んでいると1日が終わっち ゃう……え? 私、引きこもり感、出てますか?」
──いえいえ。ブログに記載が。
「あ~よかった。人混みが嫌いで、花火大会の後の電車の混雑とか、耐えられないんです。ただ、私が自分と同じ引きこもりの人とおつき合いしたら一生、外に出なくなってしまう気がするから(笑)鎌倉や京都や温泉みたいな、ゆったりした場所に連れ出してほしいんですよね」
ほっぺたを掴まれるシーンは迫力に圧倒されました!!
──話を戻しますが、撮影で印象深かったのは?
「夢二がバナナを投げるシーンのことを取材で何度も聞かれるんですけど、 たまきにほっぺたを掴まれるシーンが普通に怖くて一番、印象深かったです。間近での黒谷さんの迫力に圧倒されました。あの撮影以外、私はご一緒するシーンがほぼなかったので、現場ではいつもすれ違いだったんです。でも帰りがけに『またね』と声をかけてくださったのがすごく嬉しくて。駿河さんにもすごくフレンドリーに接して頂きましたし。現場でみなさんが役そのものとして存在してくださっていたので、自然と引っ張られるように彦乃になることができていました」
──父親役の加藤雅也さんとは事前に打ち合わせなどは?
「加藤さんとは現場でしかお会いできなかったんですけど、『今どう思って演じてるの?』とか、愛のあるアドバイスをたくさん頂ました。初対面なのに未熟な私にまで教えてくださって、 素敵な方でした」
──その関係性が作品にも色濃く出ていましたが、小宮さんの着物姿もかなり評判がいいですよ。
「ありがとうございます。お尻が大きめなんですけど、同年代の女性ってお尻にお肉が足りなくてあんこを入れたりするらしいんですね。だけど私は入れなくてすむから『着物が似合う体型だ』と衣装さんにも褒められました。 この作品を機に、振り袖のカタログのお仕事とかお着物を着るお仕事が増えたんです。きっと映画の写真を見てくださったんだと思うんですけど、彦乃を演じてからお着物が大好きになったので、もっと着る機会を増やしたいです。帯が着崩れないよう、背筋をピンと張るから着ると気持ちが凛とするんです。夢二の有名な絵が描かれた帯を着ている時と、深い緑色をした桜柄のお着物2枚以外は大正時代のものなので、当時の美しい彩りにも注目してください」
INFORMATION
■映画『夢二~愛のとばしり』
INFO&STORY
「美人画」のモデルとなった妻たまき(黒谷友香)と息子の3人で絵画の店を営みながら暮らす夢二(駿河太郎)は、芸術家として平凡な日常に不満を抱き、筆の進まない日々を送っていた。その一方で、男性としての色気を放ち、女性ファンが絶えない夢二は、ファンの一人である彦乃(小宮有紗)と出会う。彦乃との愛に溺れ、たまきとの夫婦生活が崩壊する夢二だったが……。大正ロマンを代表する画家として今なお根強い人気を誇る竹久夢二の人生を、夢二と彼に翻弄される女性たちの物語を軸に描いた人間ドラマ。
CAST&STAFF
出演/駿河太郎 小宮有紗 加藤雅也/黒谷友香 高見こころ 長尾美希 山口賢人 里見要次郎 楊原京子 窪塚俊介 吉村実子
監督・脚本/宮野ケイジ
原作/野村桔梗「竹久夢二のすべて」(駒草出版)
配給/ストームピクチャーズ ベストブレーン
公式HP
7月30日(土)全国順次公開
(C)2015 映画「夢二 愛のとばしり」製作委員会
PROFILE
小宮有紗(こみや・ありさ)
1994年2月5日生まれ生まれ 栃木県出身
スーパー戦隊シリーズ「特命戦隊ゴーバスターズ」に宇佐見ヨーコ/イエローバスター(声)役でテレビドラマ初出演。映画はほかに「イン・ザ・ヒーロー」「劇場版 ウルトラマンギンガS 決戦!ウルトラ10勇士!!」「KIRI-[職業・殺し屋。」外伝-」などがある。「ラブライブ!サンシャイン!!」に黒澤ダイヤ役で声優としても活躍中。
公式ブログ
■映画『夢二~愛のとばしり』
INFO&STORY
「美人画」のモデルとなった妻たまき(黒谷友香)と息子の3人で絵画の店を営みながら暮らす夢二(駿河太郎)は、芸術家として平凡な日常に不満を抱き、筆の進まない日々を送っていた。その一方で、男性としての色気を放ち、女性ファンが絶えない夢二は、ファンの一人である彦乃(小宮有紗)と出会う。彦乃との愛に溺れ、たまきとの夫婦生活が崩壊する夢二だったが……。大正ロマンを代表する画家として今なお根強い人気を誇る竹久夢二の人生を、夢二と彼に翻弄される女性たちの物語を軸に描いた人間ドラマ。
CAST&STAFF
出演/駿河太郎 小宮有紗 加藤雅也/黒谷友香 高見こころ 長尾美希 山口賢人 里見要次郎 楊原京子 窪塚俊介 吉村実子
監督・脚本/宮野ケイジ
原作/野村桔梗「竹久夢二のすべて」(駒草出版)
配給/ストームピクチャーズ ベストブレーン
公式HP
7月30日(土)全国順次公開
(C)2015 映画「夢二 愛のとばしり」製作委員会
PROFILE
小宮有紗(こみや・ありさ)
1994年2月5日生まれ生まれ 栃木県出身
スーパー戦隊シリーズ「特命戦隊ゴーバスターズ」に宇佐見ヨーコ/イエローバスター(声)役でテレビドラマ初出演。映画はほかに「イン・ザ・ヒーロー」「劇場版 ウルトラマンギンガS 決戦!ウルトラ10勇士!!」「KIRI-[職業・殺し屋。」外伝-」などがある。「ラブライブ!サンシャイン!!」に黒澤ダイヤ役で声優としても活躍中。
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取材・文/内埜さくら 撮影/おおえき寿一