夢を叶えるなら好きだと思えるモノの芽を潰さず自分の気持ちに蓋をせず、絶対に諦めないことをオススメしたいです
プ女子(プロレスファンの女性)を増やした立役者であり、同性からも圧倒的な支持を得ているイケメンプロレスラー飯伏幸太さんの主演映画『大怪獣モノ』が7月16日より公開される。「飯伏プロレス研究所」を立ち上げ、フリーランスとして活躍するレスラーは本作にどんな気合いを持って挑んだのか。また、映画への思いと同時に公には知られていない過去も明かしてくれた。撮影中「カッコイイですね」と褒めると顔を赤らめた照れ屋な素顔に隠された恋愛観まで徹底解剖!
この映画を通じて子供のファンが増えてくれたら最高に嬉しいです
──本作を拝見しましたが、さすがのアクションシーンでした。ですが飯伏さんと戦った怪獣の〝中の人〟は大丈夫だったのでしょうか…?「河崎(実)監督と相談して渾身の力を込めて戦ったんですけど、アクション担当の中の方は、たぶん駄目になってます(笑)怪獣の頭部がひしゃげてしまうほど本気で攻撃したので、かなりダメージを食らってしまったみたいですね」
──戦闘時の飯伏さんの目が本気モードでしたもんね。
「試合の時と同じ感覚で戦わせてもらったんで、観やすい動きを意識しながらも覚醒してしまったんでしょうね。真剣に戦わないと失礼だと思いましたし、人類を守るために戦っているのに、少しでも力を抜いたら映像に説得力もなくなってしまいますし。それに、今までいろいろなモノと戦ってきましたけど怪獣とは戦った経験がなくて念願だったから、より昂ぶったというのもあります。この映画を通じてどの層のプロレスファンが増えても嬉しいんですけど、特に子供のファンが増えたら嬉しいと思いながら演じたんです。僕のプロレスは比較的観やすいのかなと客観視してはいるんですけど、プロレスって少し暴力的な部分があるから、子供が観づらい競技なのかな、と思うところがあるので」
──本作を観て「このお兄ちゃんカッイイ!」と思う子供が増えると思いますよ!
「あ〜、そうなってくれたら念願成就ですね。最高です。子供達が戦隊モノでもプロレスラーでも何でもいいから、なりたいと思ったら叶うまで目指してほしいんです」
──飯伏さんも小学生の頃すでにプロレスラーを目指してますもんね。
「きっかけは2歳上の兄の影響ですけどね。小学校5年生ぐらいの時、両親がビデオデッキを買ってきたんです。で、レンタルビデオ店で何を借りようかという話になって、当時夢中だった『ドラゴンボール』を観たかったのに、兄が『プロレスがいい』と主張しまして。家族内の権力的には僕より兄の方が上なんで、しぶしぶプロレスのビデオを『どうせ面白くないんだろうな』と観てたら、途中で『コレはリアルなドラゴンボールだ!』と気づいたんです。それで、返却する際に今度は別のプロレスのビデオを借りて観たら、『コレは面白いぞ』という感じで少しずつハマっていきました」
──そこからお兄さんにお金を払って技をかけるようになるんですね。
「最初は100円から始まり、最終的には一発2000円も払ってましたねえ」
──小学生には高額ですね!
「だから、お正月のお年玉で1年間に何回、技をかけられるのか計画を立ててました。今思い出すと小学生のくせに散財してますね」
──あはは(笑)昔も今も、そこまで飯伏さんを捉えて離さないプロレスの魅力って何ですか?
「一時期休んでみてはっきりと分かったんですけど、自分を表現できるベストな場所がリング上なんです。年齢とともにだんだん(身体が)壊れていくし、動けなくなっていくことも何となく頭では理解しているんですけど、自分の表現方法が分かってしまったからには、一生この熱意は変わらないですね」
──自分が好きな道を追求できるのって幸せですね。
「兄とプロレスを観たあの幼い時代に、好きなことを見つけられたというのは、確かに幸せな人生といえますね。一度も諦めることなく夢を追い続けてよかったと思っています」
──就職した時もプロレスラーになる夢を諦めていなかったということでしょうか。
「高校を卒業して1年間、成田空港で正社員として働いた時期のことですよね。僕、プロレスラーになるために上京したんです。当時、九州にはプロレスの興行自体がなかったから、東京に出さえすれば何とかなると思っていたので。でも鹿児島出身の僕には、千葉も埼玉も東京と区別がつかないし、どうせ1日で辞めてプロレスラーになるんだから職種なんて関係ないという感じで、親と高校の先生が決めた空港の整備に就職したんです」
──1日で退社する予定だった!?
「就職した当日に辞めて、翌日からプロレスラーになる予定でした。でも働いてみたら、1日で辞めるのは何となく気まずいなと思ったんですね。だから1週間は続けることにしたんです。だけど1週間経ったら職場でできた友達に情が移ってしまって、あと1週間は続けてみようと」
──(取材陣大爆笑)そして2週間続けてみた結果は…?
「あと2週間やったら給料がもらえるなと思って、給料をもらったら辞めるつもりでいたんですけど、いざ15万ぐらいの現金を手にしたら『こんな大金をもらえるなんて!』と感動してしまって。あと1ヶ月頑張ろう、その繰り返しで結局1年間、働きました」
──でもその間も夢は…。
「諦める気持ちは微塵もなかったですね。格闘家の中でプロレスラーが最強だと思っていて、デビューしたら戦うこともあるだろうと、敵の技術を学ぶためにキックボクシングを習い始めたのもこの時期ですから」
──諦めない気持ちが夢を叶える原動力になったと。
「(深く頷きながら)一度でもやってみたいと思った夢があるなら、絶対に諦めないほうがいい。僕がプロレスラーになる夢を叶えられたのは、絶対に諦めなかったからです。でも事の始まりは兄にビデオを観せられたという、ほんの些細なきっかけだった。だから、少しでも好きだと思えるものを見つけたら、その芽を潰さず自分の気持ちに蓋をせず、諦めないことをオススメしたいです」
──話を映画に戻しますが、台詞を覚えるのに苦労したとか。
「経験がないことだし、さらに演技を付け加える必要もあるから、まずは台詞を完璧に覚える、という責任は自分に課しました。一番苦労しましたね」
──マイクパフォーマンスの際にカンペが必要なんですもんね。
「3年ぐらい前まで読んでましたね。だから映画の台詞を覚えるのは相当大変で、台本がボロボロになるまで読み込みました。普段からあまり本を読まないので、生まれてこの方こんなに文字を読んだことはないぐらいです」
リサと西郷美和どちらか選ぶならどちらも好きだけど美和かも…!?
──キャバクラのシーンは気分が上がったそうですが。「あれはですね、恥ずかしすぎて最初は演技ができなかったんです。でも途中から振り切れて、本気で爆発できました(笑)お酒は弱いんですけど、酔った感覚にならないと成立しないシーンでしたし」
──照れ屋さんなんですね。
「ああいう撮影は本当に恥ずかしいですね。一番恥ずかしかったのが、赤井沙希さんに誘惑されるシーン。同じ事務所で同じDDTでもあったんで、女性という視点で見たことがなかったんです。それなのに映画では女全開で迫ってくるから本当に恥ずかしくて。でも僕は童貞役だから、ナチュラルな雰囲気が出ているのではないかと」
──では赤井沙希さんが演じたリサと河西美希さんが演じた西郷美和、どちらかを選ぶなら?
「どちらも全然、好きな感じではありますけど、でもやっぱりリサは赤井沙希という前提があるので美和かもしれません」
──女性ファン向けに具体的な好みのタイプも教えて頂きたいです。
「えーっ…中身でいうなら話を聞いてくれる優しい人が好きですね」
──食生活の管理ができないと格闘家の恋人には不向きですか?
「管理できるならしてほしいですけど、あまり現実的すぎないほうがいいですね。メチャクチャ料理ができるとか、管理がしっかりしすぎてると、僕自身が相手にお母さんのような感情を抱いてしまうんです。そうなると少しずつ恋愛対象としては見られなくなる…時がありましたね。だから、管理に関してはやや欠けている人のほうがいいような気がします。要はバランスなんですよね。難しいですけど」
──ずっと恋人気分をなくしたくない、ということですよね。
「なくしたくない! ですね。だから僕、結婚できないのかな…」
──引く手あまたじゃないですか。今一度、作品のPRをお願いします。
「アクションに迫力があることに尽きますけど、自分のファンのみなさんには普段見せない姿だったり台詞だったりがあるので、その辺も観てもらいたいです。ちょっと照れた顔もナチュラルなので、ぜひ」
──本作で映画初主演を飾り、役者の仕事も殺到しそうですよね。
「僕が出演することでプロレスが広まるならいくらでもやります。根本的にはプロレスを広めるための芸能活動ですけど、僕がプロレスラーとしてではなくても喜んでくれる人がいるなら、どんどんメディアに出ていきたいですね。常に表現者として発信していきたい。そしてこの映画は『飯伏プロレス研究所』の第一作目でもあるから、映画、怪獣、特撮、プロレスのファンがお互いに増えればベストだと思っています。今までプロレスに興味がなかった人にも、この作品を観てもらいたいですね」
INFORMATION
■映画『大怪獣モノ』
INFO&STORY
異常気象と地殻変動に揺れる日本列島。大噴火した明神岳の地割れの中から大怪獣モノが出現した。防衛軍の総攻撃にビクともせず、強力な電磁パルスを照射してあらゆる電子機器を使用不能にするモノの超能力に、人類は打つ手がないように思われた。だが、超理化学研究所の西郷博士(真夏竜)とその娘・美和(河西美希)は、万能細胞セタップXのDNA解析に成功。その万能細胞は人間に注入すれば猛烈な勢いで分裂と増殖を繰り返し、被験者を怪獣並みの巨人へと急成長させるパワーを秘めていた。博士は自分の助手であり、美和を愛している草食系男子の新田(斉藤秀翼)にセタップXを注射。新田は身長40メートルの巨人(飯伏幸太)へと瞬く間に巨大化。首都・東京を舞台に、スーパー巨人対地底怪獣の壮烈な死闘が始まった!
CAST&STAFF
出演/飯伏幸太・斉藤秀翼・河西美希・赤井沙希・鈴木みのる・堀田眞三・きくち英一・古谷敏・真夏竜・毒蝮三太夫ら
監督・特撮監督/河崎実
脚本/中野貴雄・河崎実
エンディングテーマ/「太陽を信じて…」ベッド・イン(キングレコード)
配給/アーク・フィルムズ
公式HP
7月16日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田ほか全国ロードショー
(C)2016「大怪獣モノ」製作委員会
PROFILE
飯伏幸太(いぶし・こうた)
1982年5月21日生まれ 鹿児島県姶良市出身
04年7月、DDTの東京・後楽園ホール大会でのKUDO戦でデビュー。得意技はフェニックス・スプラッシュ、各種スープレックス、槍投げ、シットダウン式ラストライド、フェニックス・プレックス。主なタイトル歴にKO-D無差別級、KO-Dタッグ、IWGPジュニアヘビー級、IWGPジュニアタッグ、インディペンデントワールド世界ジュニアヘビー級、IMGP世界ヘビー級、アイアンマンヘビーメタル級、UWA世界タッグなどがある。常人離れした身体能力から繰り出す空中殺法やプロレスごっこをベースとしたオリジナル技で脚光を浴び、業界初のDDT&新日本2団体所属レスラーとして活動。その後、15年11月から頸椎椎間板ヘルニアによる長期欠場へ。その期間中に両団体からの“卒業”と「飯伏プロレス研究所」設立を発表。16年3月に東京・両国国技館大会での路上プロレスで復帰を果たし、世界最大のプロレス団体WWE参戦も話題に。本作で映画初主演を飾る。
公式Twitter
■映画『大怪獣モノ』
INFO&STORY
異常気象と地殻変動に揺れる日本列島。大噴火した明神岳の地割れの中から大怪獣モノが出現した。防衛軍の総攻撃にビクともせず、強力な電磁パルスを照射してあらゆる電子機器を使用不能にするモノの超能力に、人類は打つ手がないように思われた。だが、超理化学研究所の西郷博士(真夏竜)とその娘・美和(河西美希)は、万能細胞セタップXのDNA解析に成功。その万能細胞は人間に注入すれば猛烈な勢いで分裂と増殖を繰り返し、被験者を怪獣並みの巨人へと急成長させるパワーを秘めていた。博士は自分の助手であり、美和を愛している草食系男子の新田(斉藤秀翼)にセタップXを注射。新田は身長40メートルの巨人(飯伏幸太)へと瞬く間に巨大化。首都・東京を舞台に、スーパー巨人対地底怪獣の壮烈な死闘が始まった!
CAST&STAFF
出演/飯伏幸太・斉藤秀翼・河西美希・赤井沙希・鈴木みのる・堀田眞三・きくち英一・古谷敏・真夏竜・毒蝮三太夫ら
監督・特撮監督/河崎実
脚本/中野貴雄・河崎実
エンディングテーマ/「太陽を信じて…」ベッド・イン(キングレコード)
配給/アーク・フィルムズ
公式HP
7月16日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田ほか全国ロードショー
(C)2016「大怪獣モノ」製作委員会
PROFILE
飯伏幸太(いぶし・こうた)
1982年5月21日生まれ 鹿児島県姶良市出身
04年7月、DDTの東京・後楽園ホール大会でのKUDO戦でデビュー。得意技はフェニックス・スプラッシュ、各種スープレックス、槍投げ、シットダウン式ラストライド、フェニックス・プレックス。主なタイトル歴にKO-D無差別級、KO-Dタッグ、IWGPジュニアヘビー級、IWGPジュニアタッグ、インディペンデントワールド世界ジュニアヘビー級、IMGP世界ヘビー級、アイアンマンヘビーメタル級、UWA世界タッグなどがある。常人離れした身体能力から繰り出す空中殺法やプロレスごっこをベースとしたオリジナル技で脚光を浴び、業界初のDDT&新日本2団体所属レスラーとして活動。その後、15年11月から頸椎椎間板ヘルニアによる長期欠場へ。その期間中に両団体からの“卒業”と「飯伏プロレス研究所」設立を発表。16年3月に東京・両国国技館大会での路上プロレスで復帰を果たし、世界最大のプロレス団体WWE参戦も話題に。本作で映画初主演を飾る。
公式Twitter
取材・文/内埜さくら 撮影/おおえき寿一