太田プロライブ「月笑」でクライマックスシリーズ初挑戦にして優勝を飾った大誠さん、トミサットさんによるセンチネル。「第42回ABCお笑いグランプリ」最終予選進出に「キングオブコント」は2年連続準々決勝など数々の〝結果〟を残してきた二人にとっての初タイトル。一躍ライブシーン注目の存在に名乗りを上げた。賞金50万円の使い道から「月笑」最終戦の裏話、「M―1グランプリ2023」の話、ヤーレンズさんからの助言、トミサットさんの牛角愛が爆発するバイトエピソードまでインタビュー! !
『事務所ライブ優勝に続きネタの面白さを証明するため賞レースのタイトルを獲りたい!』
『今までは負けコメントしか用意してなかったけど初タイトル獲得で勝ち癖がつきました』
『今までは負けコメントしか用意してなかったけど初タイトル獲得で勝ち癖がつきました』
同期の令和ロマン優勝は味わったことがない気持ちになりましたね ──M―1のテレビ鑑賞に密着したテレビ朝日系「芸人シンパイニュース」を観ました。
大誠「ストレッチーズの高木(貫太)さんと群青団地の横(颯太)の3人で見る予定が高木さんから『カメラが入ることになった』と言われ、真空ジェシカのガクさんと縁がある人が集って大人数で観ました。真空ジェシカさん応援ムードの中、僕はお世話になっているヤーレンズさんを応援してたんです。爪痕を残そうと奮闘もコメントは全カットでした(笑)」
トミサット「僕もルームシェアしているポテトカレッジのコモダドラゴン、豆鉄砲の佐藤(直輝)と観てました。優勝した令和ロマンが同期なんですけど初めて同期が優勝したので味わったことがない気持ちになって」
──「月笑」の話も。最終戦で常連2組を撃破して23年度の年間チャンピオンに輝きました。
トミサット「クライマックスシリーズの時だけ舞台上に柱が設置されるんです」
大誠「さすらいラビーさんはコントだったんですけどネタ中に柱に激突。中田さんがギリギリで抑えたけどネタが途切れているので。その後に元気にノーミスの漫才をしたら勝っちゃって(笑)」
トミサット「連覇中のさすらいラビーさんを倒すという」
大誠「ファイナルは青色1号さんと。12月の大会でネタ尺5分のところ夏の海の設定、3分のネタ尺でスベったんですよ(笑)」
トミサット「めちゃめちゃ面白くてお世話になっている先輩なのにあの時だけ季節感が…。神が勝たせたとしか言いようがない。マジでしびれました!」
──改めて月笑王者はどうですか。
大誠「タイトルを1年の間に獲ろうと言っていたので最高です!事務所の一番大きい大会での優勝は自信にもなりました」
トミサット「年末に行われた出囃子大賞典2023でも優勝できて勝つ流れ、勝ち癖がつきました」
大誠「今までは勝つワケなかったので言い訳だけ考えていて」
トミサット「23年はヤーレンズさんに大変お世話になり『ライブにはいっぱい出た方がいい』を受けて多い時で月50本」
大誠「54本が最多です。寝てるかライブに出てるかの毎日で」
トミサット「売れる兆しもないのにライブに出るためバイト辞めてみたり」
大誠「辞めるのが早すぎて賞金は家賃に充てました」
──使い道を聞かれて滞納分とお話されてました。
大誠「ありのままの経済状況を言いました。それで20万円」
トミサット「今まで賞金が明かされてなくて優勝した瞬間に…」
大誠「トロフィーの横に目録と書かれたものがあって『今年は賞金50万円です』とアナウンスがあった時に『おめでとうー』とか言ってた袖の芸人から怒号が飛び交いました。優勝で怒号って」
トミサット「相方が家賃支払の話してたけどオレもお金がなくて。翌々日に気づいたら2人で事務所のある四谷三丁目にいて(笑)アポなしでお金を取りにいってマネージャーさんに怒られる」
大誠「お叱りの雷を」
トミサット「『オマエら社会人として終わってるぞ』と」
大誠「2人には金に汚いイメージがついてます」
──トミサットさんの使い道は?
トミサット「衣装の補修と飲み食い、後輩を連れ回してあっという間になくなった」
大誠「ない?家賃払ってもまだ3千円あるぞ」
トミサット「楽しかったあ。25万を自由に使える年末年始。初詣でおみくじを何回も引いたりして」
食事に連れて行ってくれる事務所の先輩のお陰で太っていられます ──バイトの話もいいですか。
トミサット「高2から芸人を始める直前まで7年間ぐらい。牛角が長くてバイトリーダー、店長代理をしてました。浜松町の店舗でオペレーションが大事なんです。金曜日にいるかいないかで売上が5万は変わると言われ、何回社員に誘われたことか。初恋も牛角で。恋をして愛のはかなさを知り…好きすぎて並行して目黒の高級焼肉店でも働いてました」
大誠「ノウハウを持って帰る」
トミサット「そう、還元するために。ホテルインターコンチネンタルでウエイターもやりました。礼儀作法を学んで、すべては浜松町店を最強にするために!あと警備員や遺品整理をやりました。バイト収入10万円ぐらいで」
──辞めて生活は?
トミサット「どうやって暮らしてきたのか分からない(笑)差し入れで食べ物をもらったり」
大誠「事務所の先輩が飯を食わせてくれます。土田晃之さん、タイムマシーン3号の関さん、納言の薄幸さん…だから食うことには困らず太っていられる」
トミサット「先輩に可愛がられてますね。オレはマズそうに食べたりするので」
大誠「連れて行ってもらったご飯屋さんで文句言ったんだよな」
トミサット「焼肉屋だったので牛角バイトを思い出して…。美味しければ美味しいほど眉間にシワが寄っちゃうんです」
──大誠さんのバイトは。
大誠「高校生の時に地元・埼玉の居酒屋で働き始めて、食べるのが好きなので作る方にも興味が出てレストランのコック見習いを。3年働いてやっと最後の半年だけ厨房に入れました。ずっと面倒見てくれていた料理長に『養成所に行くので辞めます』と告げたら最初の面接で『芸人になりたい。お金を貯めたい』と言ったのに忘れていたらしく『2年半かけて育てたお前が芸人になるの!?』と泣きながら送り出してくれました。東京に出てきてからはラーメン屋で。面接とか手続きが苦手なんです」
──…それは、どういう。
大誠「引っ越す時も面倒くさくて不動産屋さんに全部丸投げ。『芸人やります。お金はないです。駅から遠いのは嫌です。一番安い家を紹介してください』と。それで物件を紹介されて不動産屋の人に聞かれたんです。『バイトどうするんですか?ウチの隣がラーメン屋なので紹介しましょうか』。この見た目なので入店2日目に常連さんから店長変わった?と言われたり。ラーメン屋を辞めた後は新橋の焼き鳥屋と、銀座にある芸人だらけのバー。そこの社長がお父さんみたいなとにかくいい人で、夜勤なのでライブとも被らず。今はたまに日雇いでやってるのがエアコンの部品を運ぶだけの楽な仕事です」
──結成から約3年半が経ちます。
大誠「ライブに出ていた記憶しかない。本数も増えていって」
トミサット「停滞せずに1年ごとにステージを上げていこうって」
大誠「コンビで言うとヤーレンズさんの助言もあって新ネタライブをよくやりました」
──22年には『ゴッドタン』の「この若手知ってんのかランキング」1位で話題になりました。
大誠「直後はライブもそんなに!というぐらいホームの雰囲気で、温かい空気の中でやれている感じがしました。あと、ライブで一緒になる芸人がたくさん話しかけてくれました」
仕事での心掛けはいつも元気でご飯をいっぱい食べることです(笑) ──刺激を受けるコンビや芸人を尋ねられたら。
トミサット「自分に刺激を受けてますね(笑)」
大誠「どういうカマシ方だよ。ぱーてぃーちゃんのすがちゃん最高No1さん。営業妨害かもしれませんがチャラそうに見えて熱いお笑いの話をするんです。客観的視点でのアドバイスだったり、僕にない目線で」
──2月25日にツーマン「娑婆地獄」が控える豆鉄砲さんについて。
大誠「東(健太郎)、佐藤(直輝)とは公私で付き合いが長くワタナベお笑いNo1決定戦2023で優勝。遅ればせながら僕らも月笑年間チャンピオンになり、おちゃらけずにできる理由ができたのでツーマンライブをやります」
トミサット「刺激を誰に受けてるか考えた」
大誠「ずっと考えてたのかよ。オレの話は」
トミサット「聞いてた。一番はサツマカワRPGさん。夜中に行ける劇場が下北沢にあって『家だとネタが作れないから劇場で』と。いろいろやって結果も残してストイックでお笑いの極致。サツマカワさんですね」
大誠「ピン芸人の先輩をそう言われると相方としては不安なんだけど…」
トミサット「姿勢ね。あの人はスゴい」
──出演中のフジテレビ「深夜のハチミツ」はいかがですか。
大誠「出ているのはこれだけなので頑張らないと」
トミサット「23年4月にみんな笑顔で楽しく頑張ろう!と始まったんですが、実際は闘いの場で結果を残さないといけない。仲良くなっていくけど戦場化も進み、刺激になります。リーダー的存在で9番街レトロさんがいて人に振るのも上手いし次のステージにいる感じ。マリーマリーのタコスさんも上手い。芸歴の浅い江戸マリー、人間横丁も自分より若いのに流れとか分かってる。同世代芸人と戦えているこの番組は金曜日の牛角にそっくりなんです」
大誠「いいよもう。オマエがいるいないで視聴率5%違うって相当だぞ」
──仕事への向き合い方、心掛けていることを教えてください。
大誠「心掛けているというとカッコつけちゃう感じがするけど考え方が変わった。ツッコミってボケがいないと成立しない感覚だったけどヤマザキモータースさんの話を聞いて、そういう時代でもないなと。いつまでもツッコミだからという顔をしていちゃいけない…心掛けている話は恥ずかしくてムリです(笑)いっぱいご飯を食べることです」
──最後に24年の抱負、目標を。
トミサット「事務所ライブで優勝したので次はテレビの賞レースのタイトルを獲りたい」
大誠「この取材の直前に事務所と方々との話し合いがあって、お叱りもいっぱい。そこで出たのがタイトルが1つあったほうがセンチネルを説明しやすいと。ネタが面白いのは賞レースを獲らないと証明できない。悔しかったのでさっきの怒りの雷を跳ね返したい」
──具体的には。
大誠「M―1グランプリ、キングオブコント、ABCお笑いグランプリ…」
トミサット「ツギクル芸人グランプリを獲りたい」
大誠「もちろん月笑の連覇も」
トミサット「どうせ今年もセンチネルだろ。センチネルはつまらないまでいきたい」
大誠「そこまでいったらダメだろ。マネージャーが口を挟むぐらいダメだよ(笑)」
INFORMATION
センチネル
20年7月結成。21年に「第42回ABCお笑いグランプリ」最終予選進出。「キングオブコント」は22年、23年と準々決勝に。「第5回 たけしが認めた若手芸人ビートたけし杯『お笑い日本一』」で決勝戦進出。太田プロライブ「月笑」23年度のチャンピオンに輝いた。2月17日(土)西新宿ナルゲキでの「K-PROプレミアムLIVE」、神保町よしもと漫才劇場での「漫才大大大交流」、2月25日(日)新宿ハイジアV-1での「娑婆地獄-豆鉄砲×センチネル ツーマンライブ-」に出演予定。
大誠(たいせい=写真左)
1993年11月25日生まれ
埼玉県さいたま市出身
公式Twitter
公式Instagram
トミサット(写真右)
1993年4月13日生まれ
東京都八王子市出身
公式Twitter
公式Instagram
センチネル
20年7月結成。21年に「第42回ABCお笑いグランプリ」最終予選進出。「キングオブコント」は22年、23年と準々決勝に。「第5回 たけしが認めた若手芸人ビートたけし杯『お笑い日本一』」で決勝戦進出。太田プロライブ「月笑」23年度のチャンピオンに輝いた。2月17日(土)西新宿ナルゲキでの「K-PROプレミアムLIVE」、神保町よしもと漫才劇場での「漫才大大大交流」、2月25日(日)新宿ハイジアV-1での「娑婆地獄-豆鉄砲×センチネル ツーマンライブ-」に出演予定。
大誠(たいせい=写真左)
1993年11月25日生まれ
埼玉県さいたま市出身
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トミサット(写真右)
1993年4月13日生まれ
東京都八王子市出身
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Interview&Text/立花みこと Photo/渋谷和花