野呂佳代さん、菊地亜美さんと共演のフジテレビ系『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』で認知度は急上昇。23年の『女芸人No.1決定戦 THE W』ファイナリストでもあるピン芸人あぁ~しらきさん。「男かな?女かな?」のネタは観る人を笑顔に変え、子どもたちにも大人気だ。サンドウィッチマンさんのイタズラエピソード、話題になったバラエティ番組の話、賞レースの舞台裏、優しい旦那さんとの結婚秘話まで聞かせてもらった。芸歴23年目の御年47歳。テレビ出演はおろかオーディション参加さえままならない冬の時代は長かったが、それでも春、花が咲く――。
『一番面白かった小学校時代の記憶を糧に理解のある旦那の存在も手伝って続けてこられた』
旦那に「お笑い一本でやらせて欲しい」と土下座してバイトを卒業 ──2月27日放送の日本テレビ系「踊る!さんま御殿!!」はいかがでしたか。
「初出演なんですが出るのが夢で、しかもこの格好で出られて嬉しかったです。緊張して不安だったけど収録が始まると楽しんでいる自分がいました。散々バイトしてきたのでオーディションに通って良かったです」
──これまでどんなバイトを。
「コンビニ、パチンコ屋、スーパー、居酒屋、変わっているのだと〝下水道のお姉さん〟。小学3年生に下水道の仕組みを教える仕事です。私ともう1人、ショータくんという3年生設定のオジサンとコンビで学校に行くんです。役者の卵みたいな人が多くて芸人はほぼいない。俳優さんの演技の間ってあるじゃないですか?私は待てなくてセリフを忘れたのかと思ってライブのМCみたくポンポン言ってドンドン進めちゃうので嫌われていたと思います。でも楽しかったですよ。バイト代は日給7~8000円。実験道具を持って車で移動するんです。やっていたのが30代後半ぐらい。セリフはすべてお姉さん口調でたまに『お姉さん!?』という子どもがいてざわつくんです。お姉さんじゃなくてオバサンで、ショータくんもハゲたオジサンがやっているので(笑)」
──バイトから解放されたのは。
「スーパーでバイトしてた時、年下の店長が学生の若い女の子には優しくてパートのオバサンには厳しい分かりやすい人で腹が立って!私はそんなに被害を受けてないけど一番貢献しているパートの方から『子どもの用事でお休みしたいとお願いしたら休まれても困ります!と強く言われたので休めなかったのよ』という話を聞いて若いコには甘々なのにムカついちゃって。普段の店長を観察したら上司の方が来た時はヘコヘコ振る舞ってて『こんな人の下で働きたくない。お笑い一本でやらせてくれ、無駄使いしないから』と旦那に土下座して辞めて、YouTubeを頑張ったり収入源を増やす努力はしてました」
──そんな、あぁ~しらきさんが芸人の道に進んだきっかけは。
「バラエティ番組『夢で逢えたら』の清水ミチコさんや野沢直子さんへの憧れがきっかけです。高校卒業後はホテルの専門学校に進みましたが、根底にはお笑いがやりたい、笑ってもらったことが嬉しかった記憶があって、小学校の頃が一番面白かったので。ピークで一番笑いを取っていた(笑)一度きりの人生だからチャレンジしようと中退し、NSC大阪校を受けたら、落ちたんです。不合格。普通はそこで諦めるんでしょうね(笑)お金を貯めようと一旦福岡に戻りそこからダラダラしちゃうんですよ。気づいたら23歳、24歳になっていて大阪経由より東京に行ったほうが早いと上京。事務所のネタ見せ情報が載っていた雑誌を手に電話してネタ見せに行って。ネタの作り方さえ分かってないのに体当たりで動きました。そこで知り合った芸人から紹介してもらったライブがあって、サンドウィッチマンさんに出会うんです。そこからよくして頂いてお世話になって……」
師匠のサンドさんはイタズラ好きな〝愛のキューピッド〟なんです!! ──サンドウィッチマンさんとは師弟関係になるんですよね。
「何でも相談してました。『ネタ見せに行った先で他のネタも見たいと言われたんですけど、どうしたら』という話をしたら富澤さんが『ライブ映像のビデオを持ってるからオマエのネタだけ編集してダビングしてやるよ』と。それを持ってネタ見せに向かい、社長さんと観てたら私のネタの後に男同士の絡みの映像が流れてまた私と、男性モノAVがブリッジみたいに挟まれていて。優しいだけじゃ済まない、手の込んだイタズラをするんです」
──男×男ですか(笑)伊達さんはどうですか。
「当時は頼れる人がいなかったのでサンドさんに引っ越しを手伝ってもらったことがあって。終わった後に伊達さんからこんな電話がありました。『ペット大丈夫だったよな?』『ダメですよー』『鳥はイケるだろ?』イヤな予感がしてクローゼットを開けたらガラスケースに入ったキジのはく製が雄と雌の二体」
──またイタズラが。
「でも、伊達さんはキューピッドなので。毎年、R―1の1回戦で落ちるとケツを叩く意味での罰ゲームをやっていて、バイト先で仲が良かった男友だちがいたんですけど伊達さんは私がその人を好きだと勘違いして『台本書くから電話で告白しろ』って。『私、しらきよ、覚えてる?』から始まって仕方ないから電話で読み上げて告白したらまさかのOKだったんですよ!でも自分から告白しておきながら異性として見ていなかったからどうしようと。私が風邪をひいた時に看病してくれて焼いたネギを首に巻かれたんです。親にも巻かれたことがないのに…その瞬間、恋に落ちました。こんなに大事にしてくれる人はいないと気持ちが切り替わりました。奥さんが角刈りしていても受け入れてくれる、理解のある優しい人。伊達さんには感謝してます」
──罰ゲーム繋がりでいうと「男かな?女かな?」のネタは角刈りにしていた時に生まれたとか。
「SMA時代、ハリウッドザコシショウさんにとてもお世話になり一緒にYouTubeを撮ったりしていて、『年間で4回、テレビに出られなかったら角刈りだってなんでもします』と宣言したんです。めちゃめちゃ低い目標なのに、達成できなかった…。ある日、友人の子どもと遊んでいたら髪型もあって『オジサンだっけ?オバサンだっけ?』と言われ、ヒントになりました。あと友人家族と一緒に海に出かけた時に武田久美子さんの貝殻ビキニの写真を真似して撮りたいと盛り上がり、角刈りのカツラも持っていたので被って落ていた看板を持って撮影してたら子どもが男か女か分からない怪訝な顔をしていたので『男かな~?女かな~?』とやったらゲラゲラ笑っていたのでこれはイケると。角刈りに貝殻、下は赤ふんどしに変えてベースができました。女芸人No.1決定戦 THE Wの時、どうしてもやりたいキャラクターのひとつで2本目にやらせてもらったんですけど、問題になってしまい…」
──ご自身ではどのあたりで認知度が上がったと思いますか。
「演出の藤井健太郎さんが使ってくれたTBS系『水曜日のダウンタウン』での〝この格好で情報番組のコメンテーターの仕事が来たら引き受けるかの説〟は反響が大きく多くの方に知ってもらえました。THE Wの時はいろいろ言われましたけど、あの時のこのネタがあって良かったと。藤井さんが私の使い方を見せてくれました(笑)あとフジテレビ系『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』はデカかったですね。野呂佳代さん、菊地亜美ちゃんが一緒にやってくれてポップなイメージにしてくれた。有り難かったです」
賞レース参戦でも寄せずに〝私らしさ〟は消したくないんです! ──23年のTHE Wでは二度目の決勝進出。空白の4年間は。
「毎年、2回戦で落ちてました。悔しかったですね。ある程度は大会側に寄せるけど、らしさは残しておきたい。くだらないことをやりたい。賞レース向きの計算されたネタはできないけど譲りたくない部分があって」
──5年ぶりに決勝の舞台へ返り咲き、ゆりやんレトリィバァさんに勝利!
「ようやく許してもらったのか、スタッフさんが変わったのか。正直な話、どっちかですよね。Cブロックで強敵のゆりやんちゃんに勝てたということはイケたと。その後、ぼる塾と対戦した時、世間は許さなかったと思いました(笑)反響は大きかったですね。芸人仲間からも面白かったと声を掛けられて良かったなあって。ネタの相談に乗ってくれたり、私の活かし方を熟知しているランジャタイの国ちゃんのお陰でもあるんです。『角刈りオバちゃんってどうですか?』『面白そうだなあ』からの角刈りなので。髪型には免疫ついてますから(笑)」
──事務所グレープカンパニーについても話を聞かせてください。
「マネージャーに救われたので付いてきている。彼女のお陰でココまで来れた、恩を感じてます。サンドさんとの活動から離れて、SMAには10年ぐらいいたのかな。ザコシショウに大変お世話になって、芸人同士がアドバイスをしあう事務所なのでネタが強い。ただ所属芸人が多くてオーディションすら行けない。頑張っても状況が好転しない。現在のマネージャーとはずっと付き合いがあって、そんな話をしたら『ウチに来れば』と誘ってくれた。それが16年。でも売れてない40歳を入れるのは事務所的にリスクで彼女も立場的にキツかったと思います。2年後に賞レースで結果を残せて彼女の顔を立てることができ、よかったです」
──下積み時代が20年以上、それでも諦めなかったのは?
「芸歴23年目ですけど辞める発想がなかった。人から言われて辞めるのは絶対に後悔するし、辞めろと言った人のせいにしたくない。大事なことは自分で判断したいがまずあって。あとは始めのほうでも話しましたが『おかしいなあ。面白いはずなんだけどなあ』という小学校の頃のピーク時を思い出して諦め切れない(笑)卒業文集やアルバムで、クラスで一番面白い女子1位に選ばれた勲章があるんです。旦那も面白いのに、どうやったら伝わるのかな、と言ってくれたり理解のある人だったので続けてこられた」
──最後に今後の抱負や展望、目標を聞かせてください。
「フジテレビで放送していた『グータンヌーボ』みたいなヤツをやりたい(笑)江角マキコさんみたいなポジションで、もちろんこの格好で。子ども番組、教育番組にも出たい。Eテレの『みいつけた!』の人気キャラ、オフロスキーが羨ましい。『2355』『0655』とか大好きなのでNHKに出してくれないかなと思ってます。お笑いでいうとずっとフザけていたいですね。なんでしょうね(笑)フザけたポジションでいたい。自分がメインはまったく浮かばない。イジってもらいたいだと語弊があるからずっとフザけていたい!でお願いします」
INFORMATION
あぁ~しらき
1976年11月21日生まれ 福岡県出身
01年10月から活動開始。フラットファイヴ、SMA NEET Projectを経て、16年からグレープカンパニーに所属。サンドウィッチマンさんとは師弟関係にある。11年に結婚。18年の「女芸人No.1決定戦 THE W」に続き23年に「女芸人No.1決定戦 THE W」で2度目の決勝進出。4月14日(日)18時から新宿Fu-+801にてトークライブ「スナック千春」を開催。5月19日(日)愛知・一宮市民会館での「抽選笑いイチ in一宮」、6月9日(日)東京・江戸川区総合文化センターでの「抽選笑いイチ in 江戸川」に出演予定。
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あぁ~しらき
1976年11月21日生まれ 福岡県出身
01年10月から活動開始。フラットファイヴ、SMA NEET Projectを経て、16年からグレープカンパニーに所属。サンドウィッチマンさんとは師弟関係にある。11年に結婚。18年の「女芸人No.1決定戦 THE W」に続き23年に「女芸人No.1決定戦 THE W」で2度目の決勝進出。4月14日(日)18時から新宿Fu-+801にてトークライブ「スナック千春」を開催。5月19日(日)愛知・一宮市民会館での「抽選笑いイチ in一宮」、6月9日(日)東京・江戸川区総合文化センターでの「抽選笑いイチ in 江戸川」に出演予定。
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Interview&Text/立花みこと Photo/渋谷和花