97年12月にストリッパーとしてデビュー後、休止期間を経てもなおトップクラスの人気を誇り、今は大勢の女性ファンからも熱烈な支持を得ている矢沢ようこさんが出演する映画『彼女は夢で踊る』が4月10日より公開。圧倒的な画力とストーリー展開で魅せる本作の見どころのほかに、矢沢さんが踊る浅草ロック座についても聞きました。
なぜか初心を忘れられず今もステージ直前は緊張します…
──近年、スト女(ストリップにハマる女子)が増えています。矢沢さんが踊る最大手で老舗の劇場、浅草ロック座も客層は変わってきていますか?「5年ほど前から女性の1人客やグループの方々が増えつつあります。カップル割引があるので、男女一緒にご来場されるケースも増えていますね。浅草は他の劇場とは少し趣向が変わっていて、群舞形式のレビューなんです。自分の出番以外でも全員で踊って、中から主役の踊り子が1人、前に出てステージを務めます。老若男女問わず、誰が観ても楽しめるステージ作りを心掛けているので、女性のお客様が増えたことはとてもうれしいですね」
──矢沢さんのステージを観て泣いたというスト女もいるそうですが。
「私は最初、理由が分からなかったんですけど、男性のお客様からはよく、『明日を頑張る活力になった』という言葉を頂くんです。涙を流す行為にはデトックス作用があると言われていますし、女性は浄化しながら活力を得てくださっているのかもしれませんね。でも、私はお客様から頂いたパワーを還元しているので、ギブアンドテイクの関係だと捉えています」
──素敵な言葉です! 劇中での踊りは時折、少女のような一面もあり、息を呑んで見惚れてしまいました。
「幼く見えたのはもしかしたら、本番直前はいまだに緊張するからかもしれません。毎ステージ前に、脇の下も手のひらも汗びっしょりになります。なぜか初心を忘れられないので、私は毎ステージが成長期で常に新たなものを得ています。『今の踊りはすごくよかったかも』と思えるのは、ごく稀ですね。1人で踊っている時も、まだ間違えることがありますし。顔に出てしまうタイプなので、お客様に『黙っていれば分からないのに』と言われます」
ストリップの印象を払拭した作品で人間模様も観てほしい
──映画の役作りのお話も。事前に何か準備はされたのでしょうか。「(主演の)加藤雅也さんが、岡村いずみちゃんと私向けに、ワークショップを開いてくださったんです。加藤さんは芝居論を熱く語る情熱的な方で、私たちは“加藤塾”と呼んでいました。役作りも『さすが役者さんは違う!』と尊敬するほど、広島第一劇場の社長に寄せてきていました。身長と顔立ちがまったく違うのに、社長が『ワイの若い頃や!』と喜んだほどです(笑)社長は愛されキャラなので、映画をご覧になった方は機会があれば広島に行って、実物の社長と加藤さんを見比べて頂きたいです」
──ストリッパー役を演じる岡村さんには、心構えなどを教えたとか。
「いずみちゃんはベッドショーを演じるので、曲や歌詞、雰囲気で表情を変えるという心構えは教えました。あとは、ストリップの基本の踊り方です。飲み込みがすごく早かったので教えやすかったです」
──お二人が踊った広島第一劇場ですが、矢沢さんにとっても馴染み深い場所ですよね。
「97年のデビュー後間もなく、ロック座の特別興行でお伺いしました。私は出前が苦手なので、映画に出てくる食堂でもお味噌汁を作ったりパンを焼いたりしていました。何度も行っているんですけど広島は、劇場自体を愛してくださっているファンの方が多い印象です。誰が劇場へ興行に来ても、広島だから行くというお客様が多いんです。しかも、この映画がSNSで発信されたことで、女性のお客様が増えたそうです。私はしていないんですけど、SNSってすごいですね」
──ロック座も大人気じゃないですか。今後のステージの予定は。
「3月20日(金・祝)までは横浜ロック座、5月1日(金)からは浅草ロック座に出演する予定です」
──最後に改めて映画の魅力を。
「時川英之監督の狙い通り、ストリップ劇場は薄暗くて入りづらく、淫靡でアンダーグラウンドな世界というイメージを払拭できている作品だと思います。ストリップシーンは幻想的で美しい映像ですし。私は監督に『かなりカットしたんですね』と嫌味を言いましたけど(笑)泣く泣く切るぐらい完璧な映像だったそうです。広島第一劇場の壁には踊り子さんたちのキスマークがついているんですけど、私は撮影で初めてキスしました。加藤さんが演じた木下信太郎と、私が演じたストリップを引退する大御所のお姉さんの間に起きる大人のアレコレや、交差する人間模様を映画館で楽しんで下さい」
INFORMATION
■映画『彼女は夢で踊る』
INFO&STORY
閉館の時が迫る広島の老舗ストリップ劇場で、社長の木下(加藤雅也)はかつてのきらびやかな時代を思い出していた。劇場のラストステージを飾るのは、この舞台で幕を引く有名ストリッパーや謎めいた若い踊り子。最後の幕が上がり、観客たちはステージの踊り子たちの裸の先にある何かを見つめていた。劇場の終演に木下は、忘れていたありし日の恋、そして胸の奥に隠していたダンサーとの秘密を思い出していた…。何度も閉館の危機を乗り越えながら、多くのファンに愛される広島県の実在するストリップ劇場「広島第一劇場」を舞台にしたラブストーリー。
CAST&STAFF
出演/加藤雅也・犬飼貴丈・岡村いずみ・横山雄二・矢沢ようこ
監督・脚本・編集/時川英之
企画/横山雄二
配給/アークエンタテインメント
4月10日(金)より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
公式HP
(C)2019 映画「彼女は夢で踊る」製作委員会
■映画『彼女は夢で踊る』
INFO&STORY
閉館の時が迫る広島の老舗ストリップ劇場で、社長の木下(加藤雅也)はかつてのきらびやかな時代を思い出していた。劇場のラストステージを飾るのは、この舞台で幕を引く有名ストリッパーや謎めいた若い踊り子。最後の幕が上がり、観客たちはステージの踊り子たちの裸の先にある何かを見つめていた。劇場の終演に木下は、忘れていたありし日の恋、そして胸の奥に隠していたダンサーとの秘密を思い出していた…。何度も閉館の危機を乗り越えながら、多くのファンに愛される広島県の実在するストリップ劇場「広島第一劇場」を舞台にしたラブストーリー。
CAST&STAFF
出演/加藤雅也・犬飼貴丈・岡村いずみ・横山雄二・矢沢ようこ
監督・脚本・編集/時川英之
企画/横山雄二
配給/アークエンタテインメント
4月10日(金)より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
公式HP
(C)2019 映画「彼女は夢で踊る」製作委員会
PROFILE
矢沢ようこ(やざわ・ようこ)
1月5日生まれ 静岡県出身
96年、AVデビュー。テレビ東京系「ギルガメッシュナイト」出演を機にストリップへ挑戦。97年に浅草ロック座でデビューを果たす。04年に引退するも、09年に復帰。以後、ロック座を代表するストリッパーと
して活躍中。映画公開待機作に『愚か者のブルース』(横山雄二監督)がある。
公式HP
矢沢ようこ(やざわ・ようこ)
1月5日生まれ 静岡県出身
96年、AVデビュー。テレビ東京系「ギルガメッシュナイト」出演を機にストリップへ挑戦。97年に浅草ロック座でデビューを果たす。04年に引退するも、09年に復帰。以後、ロック座を代表するストリッパーと
して活躍中。映画公開待機作に『愚か者のブルース』(横山雄二監督)がある。
公式HP
撮影◎大駅寿一 取材・文◎内埜さくら 撮影協力/bar rj