芸歴11年、東京出身の同級生コンビきしたかのさん。岸大将さんは競泳の自由形でジュニア五輪、全日本学生選手権大会(インカレ)に出場、高野正成さんは剣道四段の腕前というアスリート芸人でもある。チャンネル登録者数が18万人に迫るYouTubeチャンネル「高野さんを怒らせたい。」をきっかけにメディア出演が増え、人気上昇中の2人だ。ツッコミの〝フロントマン〟高野さんのキレ芸&ドッキリでもブレイクの千鳥さん激推しコンビが、お笑いシーンのど真ん中を駆け抜ける――。
『5年ぐらい言ってますけど今が頑張り時!やれることを全部やってる感じですね』
千鳥さんがMCの「チャンスの時間」はお母さんで精神安定剤です ──人気上昇中のお二人ですが現状をどう捉えてますか。
高野「今が頑張り時。ココで頑張って人生を変える、やれることを全部やってる感じですね」
岸「YouTubeがハネたのを機に『高野を使ってみたい』と呼んでもらえたり。賞レースとかで結果を出すとその後、様々な番組に呼ばれることを〝一周する〟と言うじゃないですか。高野は一周してないのに何コかの番組だけ4周、5周するよく分からない状況になってます」
高野「売れていると思うような出来事はないです。三四郎の小宮さん、歌舞伎町で大勢の人に囲まれて胴上げされてめっちゃ怖かったと言ってたじゃん。キャーキャー言われたことがないので」
岸「でも、この間ライブ前に新宿でネタ合わせをしてたらカップルの男性の方が高野を指差して『有名人だ。スゲえ、本物だ!』と。その人に対して『うるせえ!』と言ってましたよ」
高野「ツッコミね。ホントのヤツ言ったら怖いって」
岸「うるせえ!うるせえ!うるせえ!と連呼して」
高野「ヤバッ。思い出した、あったなあ。すっげえ声がデカかったんだよ」
──そんな高野さんには、そろそろご結婚の予定も。
高野「そうですね。籍は入れてないですけど一緒に住んでます」
──岸さんに続いて入籍発表はABEMA「チャンスの時間」で?
高野「オレが決めることじゃないんですよ(笑)面白がってくれたらやりますけど」
──プロポーズは関西テレビの「マルコポロリ!」でした。
高野「東野さんが『収録巻いたからプロポーズせえや』と言い出して。その場で電話でプロポーズして成功しました」
岸「ノリで結婚して」
高野「ノリでとか言うんじゃねえよ。チャンスの時間でも結婚するための企画を数回やってもらいました」
──その「チャンスの時間」はどんな存在ですか。
高野「月に2回しかテレビ出演がなかった時期はその2つともチャンスの時間で。MCの千鳥さんは『みんな面白いと言ってるのに、なんで他では呼ばないんだろうな』と。僕らのことを千鳥さんしか観てくれてなかったんです」
岸「つまり?」
高野「お母さん(笑)チャンスの時間がお母さんってなんだよ!売れてないのに使ってくれて、売れっ子2組と僕らの3組で対決とかよくやりました」
──岸さんはどうですか?
岸「19年の『おもしろ荘』だったり少しはテレビに出させてもらっていた時期もあるけど、そこから何もない時代のメンタルを支えてくれたという意味では精神安定剤ですね。他の番組で千鳥さんが俺らの名前を出してくれたりしても呼ばれない。そういう時代が続いてテレビ東京の『にちようチャップリン』とかで一緒になるとめっちゃ喜んでくれるんです。『おー、ココまで来たなあ』みたいなことを言ってくれて嬉しいです。千鳥さん?先輩…?」
高野「先輩なんだよ!」
──YouTubeの立ち上げにも関係しているんですよね。
岸「番組のロケを観た友人で元芸人の大河内(敦揮)から声を掛けられて20年に『きしたかのなかよしチャンネル』を開設しました。ただ、こんなことになるとは思わなかったですね。せっかく芸人なんだから高野の良さを出す感じにしよう、で高野へのドッキリ企画がメインの今の形になったんですけど大前提として動画自体が面白くないと意味ないので、そこのバランスを編集を担当している大河内が取ってくれていて有り難いです。たくさんの人に観てもらって驚いてます」
三四郎・小宮さんの執拗なイジりがブレイクのきっかけに ──最近、高野さんはお一人での活躍も増えて。
高野「絶対にオレの方が面白いですから」
岸「ホントに」
高野「ホントにって言うなよ、オレの方が面白いとか言えよ。人を悪者にして」
岸「褒めてるんだよ」
──どんなことを意識されてますか。
高野「〝違和感〟にはならなきゃいけないと。異質なヤツでいたい…いや、ちょっと違うなあ~」
岸「芯を食ってないね」
高野「きしたかのという名前を有名にすること。1人でもいいから売れないことには始まらない」
──巷では出川さん、狩野さん、小宮さんに高野さんで〝マセキ四兄弟〟なんて声もあるそうですが。
高野「僕ですか?違いますよ、ポンコツじゃないし、ミラクルを起こせない。でもスゴいですよね。全員、神様がついている人たちですから。素晴らしい尊敬している先輩方です」
──ターニングポイントと語る三四郎・小宮(浩信)さんとのエピソードを聞かせてください。
岸「高野って怒らない、ネタでも大声を出すキャラじゃなかったのに三四郎さんがMCのライブに出た時、小宮さんから執拗なイジりをされて高野が本気で怒っちゃって。『おめえ、しつけえよ!』と言ったらウケて。そしたら小宮さんが『高野、それだよ』と。帰り道に『オレ、あの感じでいくわ』と告げられました」
高野「言ってねえよ!三四郎さんは相田さんも含めオラー!といっても受け止めてくれる。どこかでブチぎれられるかもしれないけど怒られるまでやります」
岸「相田さんはオレも連れて行ってくれるけど2人とも高野ばかり可愛がるんですよね」
高野「絡みがうまくいくから呼んでくれてるんだよ。大悟さんが呼んでくれた時にハライチの岩井さんと初めて一緒になって『芸人の高野です!』と挨拶したら『芸人か?大悟さんがオジサンの運転手を雇ったかと思った』って言われました。売れなかったら謎の人間になっちゃいます」
岸「高野が売れないと終わりなんで頑張って欲しいですね」
──この流れでそれぞれ相方自慢をして頂けますか。
岸「トークの引き出しがよく開くなあと感心します」
高野「開かなくてこの間、オマエに相談したじゃん!」
岸「ツッコミが速い。度胸と根性がある。大概のことではへこたれない。剣道で培った忍耐力と根性はスゴい」
高野「岸はオンオフ関係なくずっとしゃべってますね。小宮さんとウエストランドの井口さんと岸の3人はおしゃべりが好きすぎる。人の話を聞きたいと思ってない」
岸「井口さんはそんな感じだね」
高野「オマエがそうなんだよ。小宮さんだけちょっと聞いてくれるかな。気持ちが強いですね」
岸「高野、さっき『マセキ三兄弟みたいなミラクルは起こせない』と言ってましたがちょいちょい起こすんです」
高野「それはマセキの変なパワーのせいだな(笑)」
岸「この前はTHE SECONDが終わった直後に大学生に飛び止められて『優勝おめでとうございます』と言われたり(笑)」
──小誌が求人情報誌なのでバイトの話もいいですか。
岸「弁当屋で1年だけ一緒にやってました。午前中に注文を受けて正午までに届ける。料理ができない高野が盛り付け、オレは米を炊いたり調理を担当で」
高野「養成所を卒業して1年間フリーでやってた時ですね。弁当屋は月から金まで入らないといけなくて今の事務所に所属したので、毎日は難しいと辞めました」
『高野に頑張って売れてもらって僕は娘と楽しく過ごすことができたら幸せです』
前説やっていた「世界の果てまでイッテQ!」に出演してみたい ──お二人は東京出身ですが、貧乏時代はありましたか。
高野「実家にいた時はバイト代を自分で使えたので貯金があるぐらいで。その後に、芸人とサラリーマンのヤツと同級生3人でルームシェアを始めたら極貧生活に。水で腹を膨らませたり先輩におごったもらった時は翌日の分まで食ってました」
──1月放送の「マルコポロリ!」で『先月の給料は10万ぐらい』と明かしてましたが今は?
高野「今はおいくらぐらいってなんだよ!」
岸「2万増えました」
高野「先月は少なかったんだよ」
──本業のお笑いだけで飯が食えるようになったのは。
高野「最後にバイトしたのが3、4ヶ月前です。立ち飲み屋で、コロナ禍の時は清掃のバイトをしてましたがほとんどなくなって」
岸「バイトをするたびにちょっと嫌われて辞めるのが続いていて、その立ち飲み屋だけは可愛がってもらってました」
高野「清掃のバイトで机の上に1台づつパソコンがあってアクリル板で仕切られている大企業に行った時の話なんですけど、机の上に乗って仕切り板に触れないようにエアコン掃除をしてたらアクリル板に触れてしまったんです。ドミノ倒しで倒れパソコンにも当たって液晶が…みたいになって。ヤバい、壊しちゃった、弁償だと頭を抱えていたら警備員が飛んできて『大丈夫ですか?』。その警備員が偶然、同期の芸人だったんですよ。バイトしてて助かったと思ったらチェックしてキズを発見して報告したんですアイツ(笑)」
岸「それが仕事だから」
高野「そんな時にコロナ禍で夜の営業ができない立ち飲み屋が弁当販売を考えていて手伝ってくれないかと紹介されて。緊急事態宣言が明けてオープンできるようになるとカウンターでお酒を作ったり2年ぐらい働いてました」
──最後に今後について。高野さんは出演したい番組に日本テレビ系『世界の果てまでイッテQ!』を挙げられていますが。
高野「海外ロケでの挑戦企画に出てみたい。あの番組は日曜夜に家族がみんな揃うような時間帯の放送で子どもからお年寄りまで観られる。ザ・テレビって感じがして面白いですし、僕ら前説をやってましたから一回ぐらいは」
──出川さんのご尽力で。
高野「内村(光良)さんもマセキの大先輩ですからね」
岸「そこがひとつゴールって話をしてたよね。めちゃめちゃ売れてる人しか出られないから僕らはまだ足りてない」
──岸さんはどうですか。
岸「今は高野がドッキリをかけられてそれが面白いといろいろ番組に呼んでもらっていますが、そこ以外にも面白いところがあると思うので。トークだったり、意外と大喜利が強かったり」
高野「なことねえよ。IPPONグランプリ出てみろ、とんだ赤っ恥かくぞ」
岸「ドッキリ以外で一回使ってほしい。そこで結果を残せるようになってお昼の情報番組に当たり前のように高野が座っていて」
高野「うはは~(笑)それはパラレルワールドだよ。別の世界」
岸「売れてもらって、TBS系の『ゴゴスマ』とかにも」
高野「ゴゴスマに高野!?なんか言いそうで言わないヤツ。政治とか分からねえよ」
岸「そんな高野を観てみたい」
高野「なんだよそれ!僕も出たいでいいじゃねえか」
岸「一番近くで見守っていきたい。高野にだけ頑張ってもらって僕は娘と楽しく過ごせたら幸せです」
高野「娘のために戦うんだよ!」
INFORMATION
きしたかの
中学校の同級生として出会い、12年にコンビを結成。コント中心だが19年末から漫才も演じるようになり、「M-1グランプリ2022」では準々決勝に進出。TBSラジオPodcast『N93 きしたかののブタピエロ』(毎週月曜更新)配信中。YouTube「高野さんを怒らせたい。【きしたかの】」のチャンネル登録者数は17万人超。7月31日(月)座・高円寺2でのお笑いライブ「MasekiGeinin economy Collection 2023夏」に出演予定。
岸大将(きし・たいすけ)
1990年2月3日生まれ 東京都江東区出身
公式Twitter
公式Instagram
高野正成(たかの・まさなり)
1989年5月20日生まれ 東京都江東区出身
公式Twitter
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きしたかの
中学校の同級生として出会い、12年にコンビを結成。コント中心だが19年末から漫才も演じるようになり、「M-1グランプリ2022」では準々決勝に進出。TBSラジオPodcast『N93 きしたかののブタピエロ』(毎週月曜更新)配信中。YouTube「高野さんを怒らせたい。【きしたかの】」のチャンネル登録者数は17万人超。7月31日(月)座・高円寺2でのお笑いライブ「MasekiGeinin economy Collection 2023夏」に出演予定。
岸大将(きし・たいすけ)
1990年2月3日生まれ 東京都江東区出身
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高野正成(たかの・まさなり)
1989年5月20日生まれ 東京都江東区出身
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Interview&Text/立花みこと Photo/渋谷和花