「プロなんですから目立ってナンボだし、リングっていうのは目立つための 場所。僕が若い頃なんて、クビぎりぎりのところで主張してましたから(笑)」
今年、旗揚げ45周年の老舗団体・全日本プロレスで社長を務めるのは、名選手としても知られる秋山準さん。自身もデビュー25周年となり、10月21日に記念大会を行います。社長就任時は選手の離脱など苦しい状況だったものの、現在は試合内容も観客動員も充実。社長として、選手としてプロレスとどう向き合ってきたのか。豊富な経験をもとに語って頂きました!
いま好調なのは若い選手の頑張りが一番大きいですね
──最近プロレスを見ていない人には、秋山さんが全日本プロレスの社長と知って驚く人もいるかもしれません。「若い頃を知ってる人は『え、アイツが!?』と思うかもしれない(笑)」
──最近の全日本は好調ぶりが話題になっています。
「一番大きいのは若い選手の頑張りですよ。両国では宮原(健斗)が三冠ヘビー級王座を奪還しましたし、地方でも新しい世代がメインを張ってます」
──前・三冠王者の石川修司選手や世界タッグ王者の関本大介&岡林裕二組など、フリー・他団体の選手も活性化に貢献していますよね。
「彼らにそれだけの技量があるということですよ。いろんな団体、フリー選手の力を借りてますけど、だからといってレベルを下げてはいけないので」
──インディー団体でも関係ないと。
「もともと、メジャーとかインディーとか区別してないですから。できる選手はできるというだけでね」
──秋山さんは新日本プロレスにも参戦していますし、対戦してきた相手も幅広いですよね。その中で噛み合う相手、噛み合わない相手がいたと思います。
「噛み合うということでいえば、同じ全日本で育った先輩たち。新日本プロレスの永田裕志選手にも相通じるものを感じました」
──当時、置かれた状況も似ていました。
「向こうは上に闘魂三銃士、こっちには四天王がいて、その世代になんとかして追いつき、追い越したいっていう。プロレスラーって、そういう部分で反応し合うところもありますね。最近思うのは、今の選手は外、他団体の選手を意識してるのかなと」
──両国大会には新日本から小島聡選手も参戦しました。
「小島選手、タイチ選手、レッドシューズ海野レフェリーですね。過去に全日本に所属していた人たちなので、今回は45周年記念で出てもらいました。でも、新日本のネームバリューには頼らずやっていきたいですね。まず対等に付き合える力を自分たちがつけないと。若手の交流はやっていきますが」
──若手にこそ団体の枠を超えた対戦をアピールしてほしいというか。
「他団体で世代が近い選手を意識して、闘いたいのであればアピールしたっていいと思うんですよ。どんどん主張してほしい」
──そこで団体のトップとして「勝手なこと言うな」とはならない、と…。
「まったく問題ないですよ。プロなんですから目立ってナンボだし、リングっていうのは目立つための場所。僕が若い頃なんて、クビぎりぎりのところで主張してましたから(笑)」
世界タッグ王者にも気持ちでは負けてない!
──(社長の)ジャイアント馬場さんを困らせてたかもしれない(笑)。「今の社長は僕ですから、僕を困らせるようなヤツが一人、二人いたって全然構わないですよ。むしろ出てきてほしいですね、『アイツ困ったなぁ』というくらいの選手に」
──選手が主張したら、社長としてもバックアップを?
「できる限りは。他団体からの参戦オファーにしても、僕は基本的に止めないですから。全部、選手本人の判断に任せます」
──自分で考えてプロデュースしてほしいということですね。
「それは技でもなんでも。オリジナルのものを作っていってほしいですね、今の選手はみんな真面目。それはプロレスに対して真摯だというよさでもあるんですが。エースの宮原もそうですね。その真摯さで、中心にドンと構えていればいいとも言える、昔の小橋(建太)さんと同じです。大事なのは、そんな宮原の対角(相手)にはっちゃけた選手が出てくるかどうか」
──そうなった時に、全日本ももう一段階ブレイクするんでしょうね。
「おかげさまで好調と言われますけど、まだまだこれから。僕は日本武道館や東京ドームも経験してますから。まずは後楽園満員を続けて、今後はそれが地方に波及して……という段階になっていくと思います」
──10月21日には、大森隆男選手とともに横浜文化体育館でデビュー25周年を記念した大会も行われます。
「ここで(秋山&大森組が)世界タッグ王座に挑戦できればと思ってます」
──現在の王者は関本&岡林組。マット界屈指の強豪タッグです。
「凄い相手です。でも気持ちの面では負けてないですよ。それはどの選手に対しても。本当はね、あんまりベテランがタイトル戦線に出しゃばるのもよくないんですけど」
──そういえばシングルのトップ戦線からは一歩、引かれてますよね。
「やっぱりトップ戦線っていうのは若くて体力のある、バリバリの選手が出ていくもの。歳のいった選手は道を譲っていかないと。この世界には、いつまでも目立ちたがる選手もいるんですけどね。それは違うなと」
──では、タッグ王座獲りは25周年だからこその「あえて」というか。
「今の全日本には『これぞ』というタッグチームがいないというのもありますね。シングルは若い選手に任せても大丈夫ですけど、タッグは俺たちで盛り上げようかなと。ベテランの気持ちの強さを見てください」
INFORMATION
■『2017 旗揚げ記念シリーズ【最終戦】〜秋山準&大森隆男デビュー25周年記念大会〜』
【INFO】
10月21日(土)神奈川・横浜文化体育館
開場16時/開始17時
公式HP
PROFILE
秋山準(あきやま・じゅん)
1969年10月9日生まれ 大阪府出身
高校からレスリングを始め、専修大学を経て全日本プロレスに入団。92年9月にプロデビューし、当時トップの“四天王”と渡り合い“五強”と呼ばれる。00年、プロレスリング・ノア旗揚げに参加。13年に全日本に復帰すると、14年に社長就任。三冠ヘビー級王座、GHCヘビー級王座など数々のタイトルを獲得している。現GAORA TV王者。
公式Twitter
■『2017 旗揚げ記念シリーズ【最終戦】〜秋山準&大森隆男デビュー25周年記念大会〜』
【INFO】
10月21日(土)神奈川・横浜文化体育館
開場16時/開始17時
公式HP
PROFILE
秋山準(あきやま・じゅん)
1969年10月9日生まれ 大阪府出身
高校からレスリングを始め、専修大学を経て全日本プロレスに入団。92年9月にプロデビューし、当時トップの“四天王”と渡り合い“五強”と呼ばれる。00年、プロレスリング・ノア旗揚げに参加。13年に全日本に復帰すると、14年に社長就任。三冠ヘビー級王座、GHCヘビー級王座など数々のタイトルを獲得している。現GAORA TV王者。
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取材・文/橋本宗洋 撮影/熊代紀章