人気お笑いコンビ・ガレッジセールのゴリさんが本名の照屋年之名義でメガホンを執った話題のヒューマンドラマ『洗骨』が、来たる2月9日から公開される。そこで今回は、河瀬直美監督の『光』、そして本作と、重要な役どころでの映画出演が続く、水崎綾女さんにインタビュー。ヒロイン優子として過ごした沖縄での日々をうかがった。
「“重み”を感じるため」撮影中は妊婦姿で日常も
──今回は妊婦役ということで。聞けばオフのときでもずっと、大きなお腹のままで過ごされていたとか。「そうなんです。もう、お風呂に入るとき以外はずっと。“生と死”というのが作品の大きなテーマでもあったので、産まれてくる命の“重み”の部分はやっぱり大事にしたいなと。なので、衣装合わせのときにワガママを言って『自腹を切ってもいいので、シリコン製のものを用意してほしい』ってお願いしました」
──でも、舞台の粟国島のような場所だと本当に妊婦と間違われたのでは?
「つけたまんま、ひとりで地元のお店やご飯屋さんにも行ってたので、よく言われましたよ。『もうすぐ産まれるねぇー。この張り方は男の子だねぇ』って。私もなんとなく『撮影中なんです』とは言えなくて『そうなんですよ~』と返したり(笑)」
──撮影中にご自身でアップされた妊婦姿の写真には、ネットのファンもかなりザワザワしていたようです。
「実は私たちも『週刊誌に撮られたらどうしよう』と現地で心配してたんです。と言うのも、おとう役の奥田瑛二さんとふたりでご飯屋さんに行ったときに、ちょうど監督も同じ店の別の席にいらっしゃって、『周りの人がすごいヒソヒソしてたよ』って。どうやら奥田さんが私を妊娠させて、産まれるまで島に逃げてきてるんじゃないか、という話になってたみたいで(笑)」
──知らないと、どんどん想像が膨らんでしまう展開ではあります(笑)
ウチナンチュも認めた沖縄方言習得法とは!?
──ちなみに、監督であるゴリさんとの現場はいかがでしたか?「衣装合わせのときから、芸人さんではなく“監督と役者”っていう関係性だったので、そこはもうなんの心配もありませんでした。現場でも映画が大好きな方なんだなというのがすごく伝わってきて、より信頼感は増しましたね。監督としても、私がすごく好きなディレクションをされる方なので、それも含めて振り返ればストレスフリーな現場だったなって」
──その「好き」とは、具体的にどんな演出方法でしょうか?
「俳優部って難しいんですよね。ぜんぶ任せっきりだと『大丈夫かな』って不安になるし、押しつけられても『じゃあ、私じゃなくてもいいじゃん』となる。監督の場合は、決して口うるさくはないけど、だからってなんでもいいってタイプでもない。そのサジ加減がすごく絶妙なんです。頭のいい方だから、思い描いている画を伝えるのもすごく上手でした」
──方言はどのように習得を。
「これは沖縄に限らず、どんな地方に行ってもそうなんですけど、地元の人が集まるようなご飯屋さんや喫茶店などに行って、ずっと聞き耳を立ててます。台本に書かれたセリフをいくらうまく話せるようになっても、アドリブとかに咄嗟の対応ができなかったら、やっぱり意味はないですから」
──そこはリスニングを重視でということですか。
「そうですね。とにかく聞いて、使って、応用して日常からシフトしていく感じです。今回だと、現地のキャストの方にクイズを出してもらったり、たまたまホテルに売ってた沖縄弁のトランプで、いろんな文章を作ったりしました。おかげで、現地の人からも『水崎さんってウチナンチュだよね?』と言われたりして、やっとこの濃い顔が活かせるときが来たなって(笑)」
──では最後に、聞きなじみのない言葉でもある『洗骨』の見どころを。
「風葬された遺体の骨を洗う、とそれだけ聞くと、なんだかすごく怖そうですけど、何年も経ってその人のためにまた集まるというのは、よっぽど縁が深くないとできないこと。そういう意味でも“命をつなぐ”ということの意味をとても考えさせられるいい作品だと思いますので、ぜひ観て、感じてもらえたらうれしいです」
INFORMATION
■映画『洗骨』
INFO&STORY
新城家の長男・剛(筒井道隆)が母恵美子の「洗骨」のために故郷の粟国島に帰ってきた。母がいなくなった実家にひとりで暮らす父の信綱(奥田瑛二)の生活は、妻の死をきっかけに荒れ果てていた。さらに、長女の優子(水崎綾女)も名古屋から帰ってくるが、優子の変化に家族一同驚きを隠せない。久しぶりに顔を合わせ、一見バラバラになったかにも思えた新城家の人びと。数日後には亡くなった恵美子の骨を洗う大事な洗骨の儀式が迫っていた。短編映画「born、bone、墓音。」を原案に、ガレッジセールのゴリが本名の照屋年之名義で監督・脚本を手掛け、家族の絆や祖先とのつながりをユーモアを交えて描いていく。
CAST&STAFF
出演/奥田瑛二・筒井道隆・水崎綾女・大島蓉子・坂本あきら・鈴木Q太郎・筒井真理子ら 監督・脚本/照屋年之 製作総指揮/白岩久弥
配給/ファントム・フィルム
公式HP
1月18日(金)から沖縄先行公開、2月9日(土)より全国公開
(C)「洗骨」製作委員会
PROFILE
水崎綾女(みさき・あやめ)
1989年4月26日生まれ、兵庫県出身
04年、デビュー。06年にドラマ「吉祥天女」で女優デビューを飾りその後、映画やドラマ、舞台で活躍。17年の映画『光』(河瀬直美監督)で「第70回カンヌ国際映画祭」に参加。近年の映画出演に『進撃の巨人』『HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス』『ReLIFE リライフ』『キモチラボの解放』『一人の息子』などがある。
公式Twitter
公式Instagram
■映画『洗骨』
INFO&STORY
新城家の長男・剛(筒井道隆)が母恵美子の「洗骨」のために故郷の粟国島に帰ってきた。母がいなくなった実家にひとりで暮らす父の信綱(奥田瑛二)の生活は、妻の死をきっかけに荒れ果てていた。さらに、長女の優子(水崎綾女)も名古屋から帰ってくるが、優子の変化に家族一同驚きを隠せない。久しぶりに顔を合わせ、一見バラバラになったかにも思えた新城家の人びと。数日後には亡くなった恵美子の骨を洗う大事な洗骨の儀式が迫っていた。短編映画「born、bone、墓音。」を原案に、ガレッジセールのゴリが本名の照屋年之名義で監督・脚本を手掛け、家族の絆や祖先とのつながりをユーモアを交えて描いていく。
CAST&STAFF
出演/奥田瑛二・筒井道隆・水崎綾女・大島蓉子・坂本あきら・鈴木Q太郎・筒井真理子ら 監督・脚本/照屋年之 製作総指揮/白岩久弥
配給/ファントム・フィルム
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1月18日(金)から沖縄先行公開、2月9日(土)より全国公開
(C)「洗骨」製作委員会
PROFILE
水崎綾女(みさき・あやめ)
1989年4月26日生まれ、兵庫県出身
04年、デビュー。06年にドラマ「吉祥天女」で女優デビューを飾りその後、映画やドラマ、舞台で活躍。17年の映画『光』(河瀬直美監督)で「第70回カンヌ国際映画祭」に参加。近年の映画出演に『進撃の巨人』『HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス』『ReLIFE リライフ』『キモチラボの解放』『一人の息子』などがある。
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撮影◎おおえき寿一 取材・文◎鈴木長月