永瀬正敏さんや井浦新さん、夏川結衣さん、佐藤浩市さんら豪華キャストが集結した濃密なミステリー・サスペンスが誕生。映画『赤い雪 Red Snow』が2月1日より劇場公開される。本作で容疑者の娘・江藤早百合という作品のキーマンともいえる難役を演じた菜葉菜さんに、撮影の裏話や大御所俳優からの言葉、作品の魅力を語ってもらった。
佐藤浩市さん夏川結衣さんに鼓舞やケアをして頂き…
──本作で初脱ぎを披露していますが、以前から女優として脱ぐことはいとわなかったそうですね。「本当はもっと若い頃に脱ぎたかったんです(笑)『ザ・レイプ』(82年)という映画での田中裕子さんの濡れ場が美しく色っぽく、私も憧れていたので。台本を読んだ時点で覚悟はできていましたが、お相手の(佐藤)浩市さんにも撮影前に鼓舞して頂きました。『こういうシーンは俺も何十年ぶりだ。思いきってやろう。菜葉菜にとって勝負の作品になると思うから、それくらいの覚悟を持って頑張れよ』とおっしゃってくださったんです。熱いお言葉を掛けてもらったので、いいシーンにしようという思いが強まりました」
──佐藤さんが演じた宅間隆のクズ男ぶりには驚きました。
「ご自身も役のことを、クズの悪党とおっしゃっていました。爪を伸ばしてきたり、歯を黄色くしたりして、とにかく役作りへのこだわりがすごかったんです。なかなかこの作品のような浩市さんは観られないですし、『楽しかった』とおっしゃっていたので、ぜひ堪能して頂きたいです」
──菜葉菜さんが演じた江藤早百合の母親、江藤早苗を演じた夏川結衣さんも凄味がありました。
「撮休でしたけど早百合の子ども時代の撮影なので、こっそり見学させて頂いたんです。映画女優である夏川さんのお芝居と子役のあの目を見た時、大人の早百合のイメージが沸いたので、生で観たことで演じる上での助けになりました。ただ、あの子はこの作品が初めてのお芝居なんです。夏川さんがかなりケアされていたのですが、実は私も初脱ぎということで配慮して頂きまして。男性キャストが多いですし、役者同士ではないと分からないことを相談に乗ってくださったんです」
──その上での役作りの方法は?
「街中ですれ違う人の中に、たまにちょっと怖いというか、避けたくなるような人っているじゃないですか。そういう存在でいてほしいと甲斐監督に言われたんです。台詞で表現するのではなく醸し出すものなので、最初は難しい役だなと思いました。ただ、撮影前に監督と何度もディスカッションする機会があったので『一心同体で撮影に臨める』と心強かったんです。でも、実際にクランクインしたら自分でも理由が分からないんですけど『何だかすごく孤独だな』という気分に陥ってしまって。すごく近くにいたはずの監督もかなり遠くに感じましたし、スタッフさんも敵まではいかないんですけど信じられなくなってしまって。結果的には作品にも早百合役にも好影響をもたらしたと思いますけど、毎日苦しかったですし、イン直後だけは監督が嫌いでした(笑)」
30年後は『赤い雪』があるから今があると言いたい!
──白川一希役を演じた、永瀬正敏さんとのシーンも圧巻でした。「お互い本気でぶつかりあったんです。他の道でテストはしましたが、雪に足跡をつけられないので一発勝負でしたし、思わぬところで足を取られたり、木があったりもしたので。永瀬さんは私がケガをしないような動きをしなければいけなかったので『ハラハラした』とおっしゃっていました。緊張感はありましたけど作品全体や役、現場のことを大きな視点で捉えている永瀬さんだからこそ、『私が何をしてもどうにかしてくれるだろう』という安心感もありました。今思うと永瀬さんは私がひと息つく場も作ってくださってもいたので、感謝しています」
──本作の舞台は30年後。菜葉菜さんにとってこの作品は30年後、どういう存在になっていると思いますか?
「役者人生で大きな転機となるような作品にしたいですし、そうなってほしいという思いで挑みました。だから30年後は『赤い雪』があったから今があるね、と言えるようになっていたい。なっていた~い!(笑)」
──あはは!作品の魅力も。
「オリジナル脚本なので監督の世界観にあふれているのはもちろんのこと、私は第一印象で今までの日本映画にはないような重厚感と衝撃を受けたんです。台詞や説明もできる限り排除されていて、観る方が想像しながら味わう作品ですし、どういう方向にでも捉えられる終わり方なので、どう受け取ってくださるか私自身も楽しみです。浩市さんが演じたクズ男ぶりも観る価値アリですよ!」
INFORMATION
■映画『赤い雪 Red Snow』
INFO&STORY
雪が降り続く小さな村で1人の少年が姿を消し、一緒にいた兄・白川一希(永瀬正敏)の記憶が曖昧だったことから捜査は混乱する。捜査線上に他に何件もの殺人容疑がかかる江藤早奈江(夏川結衣)が浮かび上がるが、完全黙秘を貫いた早奈江は無罪となる。事件から30年、早奈江の一人娘である早百合(菜 葉 菜)を見つけ出した事件記者の木立省吾(井浦新)が、一希のもとへとやってくる。30年という長い年月を経て、出会った被害者の兄と容疑者の娘。それぞれ心に傷を持つ2人の出会いによって、予想外の結末へと収束していく…。日本映画界屈指の俳優陣が集結の少年失踪事件を題材にしたミステリー・サスペンス。
CAST&STAFF
出演/永瀬正敏・菜 葉 菜・井浦新・夏川結衣・佐藤浩市・吉澤健・坂本長利・眞島秀和・紺野千春・イモトアヤコ・好井まさお
監督・脚本/甲斐さやか 配給/アークエンタテインメント
公式HP
2月1日(金)テアトル新宿ほか全国順次公開
(C)『赤い雪』製作委員会
PROFILE
菜葉菜(なはな)
7月17日生まれ 東京都出身
05年に主演映画『YUMENO』で本格的に女優デビューし以降、映画を中心に活躍。近年の映画出演作に『Bad Moon Rising』『64-ロクヨン-(前後編)』『孤独』『太陽の蓋』『後妻業の女』『ケアニン~あなたでよかった~』『追憶』『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』『モルエラニの霧中』など。『君がまた走り出すとき』は3月2日、『雪子さんの足音』は19年初夏公開。
公式Twitter
■映画『赤い雪 Red Snow』
INFO&STORY
雪が降り続く小さな村で1人の少年が姿を消し、一緒にいた兄・白川一希(永瀬正敏)の記憶が曖昧だったことから捜査は混乱する。捜査線上に他に何件もの殺人容疑がかかる江藤早奈江(夏川結衣)が浮かび上がるが、完全黙秘を貫いた早奈江は無罪となる。事件から30年、早奈江の一人娘である早百合(菜 葉 菜)を見つけ出した事件記者の木立省吾(井浦新)が、一希のもとへとやってくる。30年という長い年月を経て、出会った被害者の兄と容疑者の娘。それぞれ心に傷を持つ2人の出会いによって、予想外の結末へと収束していく…。日本映画界屈指の俳優陣が集結の少年失踪事件を題材にしたミステリー・サスペンス。
CAST&STAFF
出演/永瀬正敏・菜 葉 菜・井浦新・夏川結衣・佐藤浩市・吉澤健・坂本長利・眞島秀和・紺野千春・イモトアヤコ・好井まさお
監督・脚本/甲斐さやか 配給/アークエンタテインメント
公式HP
2月1日(金)テアトル新宿ほか全国順次公開
(C)『赤い雪』製作委員会
PROFILE
菜葉菜(なはな)
7月17日生まれ 東京都出身
05年に主演映画『YUMENO』で本格的に女優デビューし以降、映画を中心に活躍。近年の映画出演作に『Bad Moon Rising』『64-ロクヨン-(前後編)』『孤独』『太陽の蓋』『後妻業の女』『ケアニン~あなたでよかった~』『追憶』『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』『モルエラニの霧中』など。『君がまた走り出すとき』は3月2日、『雪子さんの足音』は19年初夏公開。
公式Twitter
撮影◎おおえき寿一 取材・文◎内埜さくら