「片思い中の人が観たら、ものすごく共感するか、『恋って疲れるよね…』と、改めて自分の恋愛を振り返るきっかけになると思います」

恋を経験した者なら、誰もが一度は通過するであろう片思い。好きな人が自分を決して好きになることはないと知りながらも気持ちをストレートにぶつける、痛々しいまでにピュアな想いを描いた映画『こっぱみじん』が、７月26日から公開。ゲイ男性を一途に思い続ける主演を演じた我妻三輪子さんが、恋について語るーー。
──劇中で演じた楓と我妻さん、ナチュラルな雰囲気が似ている印象を受けましたが…。
「えっ私、楓ちゃんすっごい嫌いなんですよ（笑）周りのほうが大変なのに自分が一番大変だと思ってるし、みんなに甘やかされていることに気づいてないし。（中村）無何有クンが演じた拓也に相談する時も、“女”を使うなら許せるんですけど、ただ甘えるだけ。しかもすぐ泣くから、演っていても試写を観てもイライラしました（笑）でも、末っ子で甘ったれって部分は似てるんですよね。私も、現場では“かまってちゃん”でした」

──我妻さんは私生活でパンツを履かないそうですが、楓は履いていると思いますか？
「ええーいきなり（笑）はい、履いてます！　上下セットで２千円の安い下着を買い始めたぐらいの女の子を想定して演じました。でも私、仕事では履いてますよ。普段、ロングスカートの時は履かないんですけど、世界で自分しかその事実を知らないって、なかなか味わえない感覚ですよ（笑）」

──ですね（笑）それに、楓は美容師見習いですから、そんなワケがないですよね。
「今まで女子高生役を演じることが多かったので、役に職がつくことがうれしかったです。終盤で拓也の髪を切るシーン、あれ本当に切ってるんですよ。１日だけ美容学校でカットとシャンプーの練習をしたんですけど、彼は天パで切りづらいし、監督が意外と長回しをしたので、ヒヤヒヤしました」

──全員片思いの物語ですが、個人的に最も切ない片思いは誰。
「同棲してる彼女がほかの男性の子どもを妊娠する楓のお兄ちゃん、隆太だと思います。う～ん、でも、お兄ちゃんにも悪いところはありますからね…」

──浮気された側なのに？
「個人的には恋愛って、どちらか一方だけが悪いってことはないと思っているんです。だから私も、もし恋人に浮気されたら、自分の非を探すと思います。脱毛してなかったから嫌われたのかな、とか（笑）」

──なるほど。全員片思いでもキチンと気持ちを伝えるところが清々しいですよね。
「大人になると、キチンと告白して失恋するって過程を踏まなくなるっていうじゃないですか。学生と違って社会人は、仕事に使う労力も多いですし。私の年上の女友だちにも、映画のように実らない恋をしてるコがいるんですね。彼女が誘っても返信ナシなのに、彼女と一緒にいた男友だちが誘うと即返信が来るっていう。モテるコなのにうまくいかない現実を間近で見てるので、片思い中の人が映画を観たら、ものすごく共感するか、『恋って疲れるよね…』と、改めて自分の恋愛を振り返るきっかけになると思います」

──楓は初恋の相手、拓也がゲイという理由で両想いになりませんが、ご自身の初恋は？
「小学校の時、単に足が速いという理由だけで好きになった男のコがいました。小学校６年からこの仕事を始めて、仕事が許可されてる学校へ転校したから告白しないまま終わったんですけど、両思いだったらしいんですよ。その彼と偶然、２年前に再会したんですけど、靴が尖ってて腰に何かジャラジャラ付けてて、チャラくてがっかり。しかも私が着てた洋服を、『紫を着てる女ってエッチなんだよな』とか、小学校の時と言ってることが変わっていなくて。いい思い出を“こっぱみじん”にされました…」

──あー（笑）では最近のエピソードは？
「銭湯に行った時、モヒカンのものスゴい美人に、レズビアンと間違われて３回もウインクされたことがありました。見間違いだと自分に言い聞かせてロッカーに戻ったら、その人もついてきて、長年の知り合いのごとく『これからどう？』って。私、ネコに間違われることがあって以前、女友だちに告白されたこともあるんですけど、正真正銘のストレートですっ!!（笑）」