「初めてセリフのある役でした」と語る女優・中神円さんが体当たりの初フルヌードを披露した、主演・縄田かのんさんとの共演映画『空の瞳とカタツムリ』が2月23日にロードショー。交尾を行う際に「恋矢(れんし)」と呼ばれる生殖器官を互いに突き刺しあうカタツムリをモチーフにした作品は人間の恋に絡み、何を生み出すのか。共演者とのエピソードや撮影秘話を交えつつ聞いた。
ベッドシーンで叫び不快感や
トラウマが洗い流されました
──インスタグラムで「本作は私にとって救済」と記していましたが、真意を聞かせて下さい。「台本を読んだ時に、演じた十百子と自分が似ていると感じたんです。十百子は極度の潔癖症なんですけど、私は中学から大学までずっと女子校だったので男性に免疫がなくて。十百子とは方向が違いますが、男性の視線を避けるために、冬でも日傘を差して登校していました。その思いを最終オーディションで斎藤(久志)監督にお話したら、『この映画で一番救われなきゃいけないのはあなただ』とおっしゃって頂いたんです。藤原(隆介)さんが演じた鏡一とのベッドシーンで叫んでいるんですけど、あのシーンを経たことで不快感やトラウマが洗い流された気がしました」
──演じたいと思ったからこそ、ヌードもいとわなかった、と。
「役者は人の生活の一部を見せる仕事ですし、脱ぐまでの過程がしっかりと描かれていたので出たいと思いました。撮影後に(縄田)かのんさんと一緒に温泉に入って共感し合いました。『周りに大勢のスタッフさんがいる中で脱いでいると、何やっているんだろう?って思う時があるよね』と。この映画はかのんさんと私だけではなく、キャストのみなさん大変だったと思います。特に藤原さんは…」
──オールアップの日が19歳の誕生日で、しかも…。
「私との濡れ場のシーンだったんです。“前貼り”で迎えた壮絶な誕生日だと言っていました(笑)ねぎらいの意味も込めて、撮影後にかのんさんと2人でプレゼントを渡しました。自炊を頑張っているらしいので、ジャムやパスタソースを。本当はもっと凝ったものを渡したかったんですけど、スケジュールがタイトでずっと撮影している感じだったので、現場近くの24時間スーパーで調達しました」
日常で傷つき疲れている方に
自由な感覚で観てもらいたい
──斎藤監督はやや変わった演出をされる方だとか。「カメラを回すまで何度もお芝居をするんです。『いつになったら(カメラが)回るのかな』と思うほどで、お芝居をしているかどうかが分からなくなるくらい“麻痺”させて、素の状態がポロッと出た瞬間を拾いたかったんだと思います。だからこそ、日常を覗き見しているような画に仕上がったのでは、と。私はあの演出に助けられました。最初は緊張していて監督から、『お前は最悪だ!』と叱られていたんですが(笑)繰り返すことで、ぎこちなさがとれたので」
──それは三浦貴大さんも?
「ドラマ撮影の後で疲れているはずなのに、文句1つ言わずに繰り返す姿を見て尊敬しましたし、勉強にもなりました。私がおんぶしてもらうシーンも、カメラを回さずに何度も繰り返したんです。しかも、だんだん距離が伸びていったのに、ですよ。撮影の合間も私が質問するのを遠慮していることを察して、休日の過ごし方や漫画のお話をしてくださったんです。緊張がほぐれたのは三浦さんのおかげです」
──好きなシーンは?
「完成作は十百子と自分を切り離して観ていたんですけど、かのんさんが演じた夢鹿が語るシーンを観ていると、十百子に戻って観るたびに泣いてしまいます。自分が出ているシーンでは、鏡一が飲んだ後の瓶ビールに口をつける瞬間が好きです。潔癖症から脱却して変わったと分かるシーンなので」
──最後に作品の魅力を。
「タイトルだけなら爽やかな青春映画をイメージするかもしれませんが三角関係あり、女性同士が抱き合うシーンがありとかなりディープな内容なんです。でも、タイトルと中身のギャップがあっていいと私は捉えています。ただ、セクシャルマイノリティー枠には入れてほしくないんです。日常でちょっと傷ついて疲れている方々に、自由な感覚でご覧頂けたらうれしいです」
INFORMATION
■映画『空の瞳とカタツムリ』
INFO&STORY
夢鹿(縄田かのん)は消えることのない虚無感を埋めるため、男となら誰とでも寝るが、一度寝た男とは二度と寝なることはない。夢鹿の美大時代からの友人である十百子(中神円)は極度の潔癖症で性を拒絶し、夢鹿にしか触れることができない。そして、2人の友人である貴也(三浦貴大)は夢鹿への思いを捨てきれずにいた。学生時代から仲のよかった3人だったが、そのバランスは長い年月を経て少しずつ崩れていった。夢鹿に紹介され、ピンク映画館でアルバイトを始めた十百子は行動療法のような毎日に鬱屈していく。映画館に出入りする鏡一(藤原隆介)は満たされない思いを抱える十百子への思いを募らせていく…。
CAST&STAFF
出演/縄田かのん・中神円・三浦貴大・藤原隆介・利重剛・内田春菊・クノ真季子・柄本明
監督/斎藤久志 脚本/荒井美早 企画/荒井晴彦 タイトル/相米慎二 配給/太秦
2月23日(土)より池袋シネマ・ロサほか全国順次公開
公式HP
(C)そらひとフィルムパートナーズ
PROFILE
中神円(なかがみ・えん)
1993年7月30日生まれ 東京都出身
15年よりスカウトを経て、芸能活動を開始。近年の出演作は短編映画『世界で一番最後の魔法』、MVビッケブランカ「ウララ」、Sumika「sara」、舞台「おんなのこたちのはなし」など。特技は幼少時より続けている阿波踊り。
公式Instagram
■映画『空の瞳とカタツムリ』
INFO&STORY
夢鹿(縄田かのん)は消えることのない虚無感を埋めるため、男となら誰とでも寝るが、一度寝た男とは二度と寝なることはない。夢鹿の美大時代からの友人である十百子(中神円)は極度の潔癖症で性を拒絶し、夢鹿にしか触れることができない。そして、2人の友人である貴也(三浦貴大)は夢鹿への思いを捨てきれずにいた。学生時代から仲のよかった3人だったが、そのバランスは長い年月を経て少しずつ崩れていった。夢鹿に紹介され、ピンク映画館でアルバイトを始めた十百子は行動療法のような毎日に鬱屈していく。映画館に出入りする鏡一(藤原隆介)は満たされない思いを抱える十百子への思いを募らせていく…。
CAST&STAFF
出演/縄田かのん・中神円・三浦貴大・藤原隆介・利重剛・内田春菊・クノ真季子・柄本明
監督/斎藤久志 脚本/荒井美早 企画/荒井晴彦 タイトル/相米慎二 配給/太秦
2月23日(土)より池袋シネマ・ロサほか全国順次公開
公式HP
(C)そらひとフィルムパートナーズ
PROFILE
中神円(なかがみ・えん)
1993年7月30日生まれ 東京都出身
15年よりスカウトを経て、芸能活動を開始。近年の出演作は短編映画『世界で一番最後の魔法』、MVビッケブランカ「ウララ」、Sumika「sara」、舞台「おんなのこたちのはなし」など。特技は幼少時より続けている阿波踊り。
公式Instagram
撮影◎おおえき寿一 取材・文◎内埜さくら