──「小学校4年生の頃に自分の手で昭和の漫画の画風を現代へ引き継ぐことを決意した」と公式サイトに書かれていましたが、なぜ古い漫画を好きに?
「父の本棚にあった昭和の漫画を、小学校入学前から読んでいたんです。いちばん好きなのは、やっぱり手塚治虫さん。マンガの描き方もストーリーの作り方も『ブラックジャック』で学びました!」
──ほかにはどんな漫画家さんが好きなんですか?
「ちばてつやさん、永井豪さん、松本零士さんも大好きです! 最近は吾妻ひでおさん、つげ義春さんもよく読んでいますし、高橋よしひろさん、本宮ひろ志さんも好きです。もちろん自分で描くことも好きで、小学生の頃からマンガや動物の絵などをよく描いていました」
──ツイッターにアップされている「今日の漫画」にも動物はよく登場しますね。
「言葉を喋らずに、感情をストレートにぶつけてくる動物が大好きで、憧れの感情もあるんです。私が様々なコンプレックスを溜めこんできた人間なので」
──学校に馴染めない時期もあったそうですね。
「中学生の頃は不登校の時期もありました。自分の感情をクレパス画で表現するようになったのも、その頃です。10代の後半は『学校に行きたくないなら好きなことをやっていいよ』と両親にも言ってもらえて、アルバイトで対人恐怖を克服しながらマンガやクレパス画を描き続けていました」
──作品を人前で発表しはじめたのはいつから?
「3年前に知人の紹介で出会ったライブペインターの菩須彦さんに『発表してみたら?』と提案していただいてからです。ツイッターに漫画をアップしはじめたのも、菩須彦さんの助言がきっかけで。漫画のストーリーがちぐはぐになっちゃうことに悩んでいる時期に、『4コマか1ページの漫画を描いてみたら?』と勧められてもらったんです。それで描いているうちに、1ページ漫画という形式に、自分も魅力を感じるようになりました」
──昭和の漫画のような画風の作品を若い女性が描いていると知り、驚いた人も多かったと思います。
「昭和の漫画が大好きな人はたくさんいると思っていたし、それを私は現代に引き継ぎたいと思っていたので、多くの方に反応していただけて本当に嬉しかったです。あと、個展を見にきてくれた20代の方から『若者を救う漫画です』と言ってもらえたのも嬉しくて。私自身が引きこもりの時代があったので、漫画を通して悩んでいる若い人たちにエールを送れたらいいなと思っています」
──史群さんの漫画はときには暗いテーマも扱いますが、いつもどこかに温かみがありますよね。
「私は『シンプソンズ』も大好きなんですが、あのアニメも世の中を鋭く風刺しつつも、根底には家族愛があり、作品には暖かみがありますよね。私も明るい中にも闇があったり、暗い中にも希望があったりする漫画を描いていきたいです」
──今後の目標や予定などは?
「ツイッターに漫画などをアップする活動を続けながら、それを紙の本にしていきたいです。夏~秋にはナナロク社さんという出版社から作品集を出す予定で、描き下ろしの短編漫画も発表予定です! また原画を展示して見てもらう機会はもっと増やしていきたいと思っています」
PROFILE
史群アル仙(しむれ・あるせん)
漫画家、クレパス画作家。90年11月11日生まれ。
14年からツイッターにアップし始めた1ページ漫画「今日の漫画」が話題を読んでいる。
今夏~秋にはナナロク社から初の漫画作品集を発表予定。
公式Twitter
史群アル仙(しむれ・あるせん)
漫画家、クレパス画作家。90年11月11日生まれ。
14年からツイッターにアップし始めた1ページ漫画「今日の漫画」が話題を読んでいる。
今夏~秋にはナナロク社から初の漫画作品集を発表予定。
公式Twitter
取材・文/古澤誠一郎