『OXANA/裸の革命家・オクサナ』
ウクライナの女性運動団体「FEMEN」の創設者のひとり、オクサナ・シャチコの生涯を描いた『OXANA/裸の革命家・オクサナ』。本作は、自由と尊厳を求め、自らの身体と芸術を武器に抗い続けたひとりの女性の姿を見つめた作品だ。
舞台は、ロシアによる侵略が始まる十数年前のウクライナ。社会に根強く残る抑圧や差別の中で、オクサナは仲間たちとともに声を上げ、やがてその活動は国境を越えて広がっていく。花冠をまとい、胸にメッセージを記した抗議スタイルで世界に衝撃を与えた彼女の姿は、いまなお強い印象を残している。
監督は、『スラローム 少女の凍てつく心』で注目を集めたシャルレーヌ・ファヴィエ。主人公オクサナを演じるのは、本作が映画初主演となるウクライナ出身のアルビーナ・コルジ。英雄としてではなく、迷い、傷つき、それでも立ち上がり続けた“ひとりの人間”としてオクサナを描き出す。自由とは何か、闘うとはどういうことかを、静かに、そして鋭く問いかける。

2002年、ウクライナ西部フメリニツキー。
オクサナは、アルコール依存症の父と、その父を支え続ける母と暮らしながら、イコン画を描いて家計を助けていた。しかし、教会での不当な扱いや、社会に根深く残る男尊女卑の価値観に耐えきれず、家を飛び出す。
2008年、街頭討論で出会った仲間たちとともに、フェミニスト活動団体「FEMEN」を結成。女性患者の死に対する抗議をきっかけに、その活動は大きく広がっていく。さらに注目を集めるため、オクサナは自らの身体を“戦闘服”として使う表現にたどり着く。
やがて運動は国外へも広がるが、それに伴い権力からの監視と弾圧も激しさを増していく。ベラルーシでは拘束と拷問を受け、モスクワではプーチン政権への抗議の中で重傷を負うなど、命がけの闘いは続いていく。自由を求めるその叫びは、やがてオクサナ自身を政治難民としてパリへ向かわせることになる――。
本作の魅力は、オクサナ・シャチコを単なる象徴的な活動家としてではなく、葛藤や痛みを抱えたひとりの女性として描いている点にある。社会に抗う強さだけでなく、その裏にある孤独や傷つきやすさまで丁寧にすくい上げることで、彼女の存在がより切実に浮かび上がる。
また、シャルレーヌ・ファヴィエ監督は、女性の身体、権力との対立、そして尊厳をめぐるテーマを本作でも一貫して追い続けており、激しい抗議活動の場面だけでなく、その背後にある感情の揺れまでしっかり映し出している。
自由や平和をめぐる問題が世界中であらためて問われるいま、オクサナの生き方は過去の出来事としてではなく、現在へとつながる問いとして響いてくる。時代を超えて観る意味のある一本だ。



5月22日(金)より、ヒューマントラスト有楽町ほか全国公開
【監督】シャルレーヌ・ファヴィエ
【脚本】シャルレーヌ・ファヴィエ、ダイアン・ブラッスール、アントワーヌ・ラコンブルズ
【出演】アルビーナ・コルジ、マリア・コシュキナ、ラダ・コロヴァイ、オクサナ・ジュダノワ、ヨアン・ジメル、ノエ・アビタ
【配給】スターキャットアルバトロス・フィルム
©2024 – Rectangle Productions – 2.4.7. Films – Hero Squared – France 3 Cinema – Tabor Ltd
公式HP











































