叶井「『ムカデ人間』は食物リサイクルというエコロジーとして宣伝していきます！」

北村「えーエコ…!?　この作品をそう宣伝しているのは叶井さんだけですよ（笑）」

ヤバい！ 凄い！ 面白い！ と全世界で話題を呼んだ映画「ムカデ人間」がいよいよ日本でも解禁!!　作品を買い付けた映画プロデューサーの叶井俊太郎さんと、劇中で日本のヤクザを強烈アピールしたカツロー役の俳優北村昭博さんの対談が実現。お二人につながって頂きました!?　ご覧あれ。
──各国の映画祭で話題になった「ムカデ人間」が７月、いよいよ日本で公開されますが、完成作品を観た感想をそれぞれお聞かせ下さい。
北村「爆笑しながら見ました。ヤバ面白いぞと。ホラーと謳っているけどコメディーに思えましたね。真剣に演じることで出てくるユーモアというか…。叶井さんはこの映画を見た時、ホラーだと思いました？」

叶井「いや、思わない。コメディーだと思った。口と肛門をつなぐってありえないでしょ？　オープニングを見た時点で誰でもコメディーだと思うよ」

──叶井さんが買い付けた作品ですが、イケるぞ！　と思ったのはどういう部分ですか？
叶井「競合しなかった。誰も買おうとしなかったんですよ、そこはおいしいですよね」

北村「そんな理由…なんなんですか、それって（笑）」

叶井「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭でも上映され話題になっていたのに誰ひとりとしてこの映画を買おうという動きがなかった。昔、僕が買いつけた『アメリ』も競合がいなかったんですよ」

北村「いなかったんですか!?」

叶井「うん。誰もいない。『アメリ』のジャン＝ピエール・ジュネ監督は『デリカテッセン』や『エイリアン４』を撮っていたから、シュールでアメリというヤバイ女が出る映画なんだろうとみんな思っていたらしく、競合がいなかった。だから競合がいない状況で買った作品は、この『ムカデ人間』が２本目ですね（笑）」

──最大の決め手は。
叶井「タイトルと中身の発想の差。『ムカデ人間』って聞くと巨大なムカデの人間が出てくるイメージが湧くけど、実は人間の口と肛門がつながっているというその発想。あと、宣伝する立場から言わせてもらえば、宣伝しやすいほうが伝わりやすい。『ムカデ人間、口と肛門がつながっているんですけど、大丈夫ですか？』って、それで終わりだから」

北村「それは分かりやすい！ それでムカデ人間の先頭部は、日本人俳優なんですよーって」

──監督がオランダ人で撮影もオランダ。出演者がドイツ人にアメリカ人と国際色豊かですが現場の雰囲気はどうでしたか。
北村「オランダに行ってからのほうが安心しましたね。スムーズで拍子抜けでした。監督の最初の作品がゲイ映画だったので、ゲイ映画を撮り始めたらすぐに帰ろうと思っていましたから」

叶井「それは不安だよね。タイトルからして怪しいからね」

北村「アメリカから美人女優２人が来る、そして結合する…と聞かされても美女風のオトコじゃないのって信用してなかったし（笑）最初は役名すらなかったんですから。でも、医師役のディーターはむちゃくちゃ怖い顔してるけど、撮影後にはジョークも言うしお茶目な人でしたね」

──話は変わりますが、読者のためにお二人のモットーなどをお聞かせください。
北村「根拠のない自信をつけろということですね。『俺、ナンバーワン』という自信を持ってガツガツ行けと。するとそれが本当の自信になると思うので、10代、20代の若いうちはいろんなことに飛び込んで、いろんな経験をしていったほうがいいと思いますよ」

叶井「そうそうそう。俺もね、自己破産したり、バツ３で訴えられて３千万の慰謝料払えとか今も裁判が続いてるけど、あの、なんとかなるよと」

──えっ!?　なんとかなってるんですか？。
叶井「うん、なってる。逆にネタとして生きていくつもりでいないと。自己破産して落ち込んで自ら命を落としちゃう中小企業の社長が多くて、俺もそれに当てはまるけど、そんなんで死んでらんないからね」

北村「そうそう、死んでらんないですよ！」

──あはは。では最後に改めて「ムカデ人間」のＰＲをお願いします！
叶井「これはもう食物リサイクルというエコロジーとして宣伝していきます。一食分の食事で３人分が賄なえるムカデ人間。食物が段々なくなっていく今、排泄物だけでも人間は生きていけるんだと、それって究極のエコでしょ!?　だからチラシもほら、見て下さい。緑な感じでエコでしょ？　だからエコロジーが伝わればいいかなと」

北村「あははー。すごいっすね。世界中で公開されましたけど、エコロジーで売っているのは叶井さんぐらいですよ（笑）」