「栗原さんの引退をリングの下で見るのは悔しすぎる。欠場中もケガの治り具合に 　関係なく、この日に復帰するって最初から決めてました」（飯田）

「自分がどれだけ成長したか試される試合。師匠に勝たなきゃやめられないっていう 　気持ちがあります。勝つのが師匠への恩返しだって」（栗原）

女子プロレスラー栗原あゆみさんと妹分・飯田美花さんのユニット『栗ご飯』。そこに栗原さんの師匠AKINOさんを加えた自主興行『夏だけど秋の栗ご飯興行』が、7月21日に新宿FACEで開催される。栗原さんは8月4日に引退を控えており、これが最後の栗ご飯興行。現役生活のラストスパート、女子プロレス界を引っ張ってきたトップファイターは何を思うのか。栗原さんの引退に間に合わせるようにケガからの復帰を決めた飯田さんの思いは……。師弟インタビューで、その胸中をたっぷり聴きました！
──栗原選手は８月４日に引退を控えています。大きな原因はケガですか？
栗原「それだけではないんですけど。数年前に鎖骨をケガして今もプレートが入ったままなんです。練習も試合も全力でできないことがあって、それに納得がいかないんですよ。何ごとも１００％でやりたいので」

──今は最後の試合に向けて、ラストスパートの時期ですね。
栗原「引退を決めてからいろんな団体で試合が決まって。月に20試合近くやってるんで、必死過ぎて寂しさを感じてる暇がないんですよね（笑）それが私らしいと思ってます。最後まで上を目指していきたいので。最後の試合をベストバウトにするくらいの気持ちでやってます」

──そんな中、今回は最後の栗ご飯興行になります。
栗原「この子（飯田）もヒザのケガで長期欠場してたんですけど、この大会で復帰できるのがうれしいです」

飯田「最後まで栗原さんと組んだり闘ったりしたかったので。リングの上で見送るのと、下で見てるのとでは全然違う。見てるだけでは悔し過ぎて。ケガの治り具合で復帰を決めたんじゃなくて、最初からこの日に復帰しようと決めてたんです」

──飯田選手の相手はＧＡＭＩ選手。『ＷＡＶＥ』という団体の代表も務める大ベテランです。
飯田「以前、眼窩底骨折で欠場した時も復帰戦がＧＡＭＩさんだったり、節目節目で当たらせていただいてたんです。心強いというか、思いっきり当たっていける相手ですね」

栗原「自分もデビュー戦がＧＡＭＩさんだったんです。ホントに凄い人なんですよ」

飯田「団体で選手を育ててるからか、一人ひとりの選手を凄くよく見てるなって。ＧＡＭＩさんも今年で引退されるので、シングルマッチでできるのはたぶん最後。復帰戦ですけど、何か新しい自分を出していけたらと思います」

栗原「飯田は体が小さいので、大きい相手にぶつかっていく、やられてもやられても立ち向かっていく姿が魅力。気持ちが伝わってくるんですよ。あと、意外と器用ですね（笑）」

──栗原さんは師匠であるＡＫＩＮＯ選手とのシングルが決定しました。久々の対戦ですね。
栗原「新人の頃に１回か２回やっただけですね。本当に基礎の基礎から教わった人なので……正直、恐いです（笑）どんなに大きな相手でも当たって砕けろでやってきたんですけど、ＡＫＩＮＯさんが相手となると緊張し過ぎてボロボロみたいな。だから今回は自分がどれだけ成長したかが試されますね。ベルトを獲ったり海外でやったり、自信をつけてきたつもりなので。ずっと『ＡＫＩＮＯさんに認められたい、いつか超えたい』と思ってきたので、勝たなきゃやめられないっていう気持ちがあります。勝つのが師匠への恩返しだって」

──最後の栗ご飯興行、お互いに期待するのはどんな部分ですか。
栗原「飯田には欠場していた間の悔しさとか、いろんな気持ちがあると思います。それを爆発させてほしいですね。私もそれに負けない試合がしたいですし。二人で切磋琢磨してきたのが栗ご飯。別々の試合でもタッグを組んでも、最後まで勝負していきたいです」

飯田「栗原さんの下について２年以上経って、栗原さんに似てきたって言われることも多いんですよ」

栗原「ホントに？（笑）」

飯田「はい（笑）でも、似てるだけじゃなくて自分なりのものも探してきたつもりなので。飯田美花ならではのプロレスを見せていけるようになりたいです。一緒にいたからって“第二の栗原あゆみ”って言われるだけでは満足できないので」

──そういうドラマ、成長物語もプロレスの大きな魅力ですよね。
栗原「全力で闘って、見ている人に勇気とか感動を与えられるのがプロレスだと思うんですよ。生き様を見せるっていうか。一度生で見てもらえれば、それは絶対に伝わると思います」

飯田「やっぱり言葉ではうまく表現できない部分もあるので……。すべてをリングにぶつけたいと思うので、ぜひ見に来てください。栗ご飯、最後までアツアツでいきたいと思います」