約９年の沈黙を破って、遂にキングギドラことKGDRが再結成し活動をスタート！　チャリティソング「アポカリプス　ナウ」を引っ下げて今夏、ファン待望のライブイベントにも出演する。震災後の現実を直視している３人に、これから私にできること、夢を叶える方法について取材を敢行。革命を起こし続けたヒップホッパーの貴重な魂の声を聞くべし!!


　長い時を経て再結成＆再始動した、キングギドラ改めＫＧＤＲさんに単独インタビュー！　東日本大震災後の取り組み方や夢の叶え方まで徹底的に聞きました!!

──今回は約９年ぶりの再結成ですよね。まずは、再結成の経緯を教えて下さい。
K DUB SHINE（以下Ｋ）「直接のきっかけは東日本大震災。今までは１人、１人がソロ活動をしていたけど、３人の力を合わせたほうが３倍、それよりも、もっと大きな力になるんじゃないかと思ったんだよね」

ZEEBRA（以下Ｚ）「再結成のタイミングとしては、何か特別な出来事があった時に…と考えていたけど、東日本大震災は、世界的に見ても大きな出来事。各自がいろんなところで『ギドラ、復活しないんですか？』っていうのを言われ続けてたから、『望まれてるし、大きな場所でのライヴとかなら、ちょっとずつやりたいね』っていうのは話してたけど」

DJ OASIS（以下Ｄ）「だから、K DUBに、『もう一度ギドラをやって、みんなを元気づけるのに協力して欲しい』と言われた時は『そんなの言わなくても分かってるよ！』って感じ。一気に話が進んでいった。自然の力というか、流れに突き動かされたというか」

Ｋ「意思じゃなくて、衝動に押された感があるよね。それまでわだかまりもあったかもしれないけど、いても立ってもいられなかったのが、正直な気持ち。それこそ『K DUBとZEEBRAは仲悪いんじゃないか？』って言われてたけど、もし何か立ち向かわなければいけない事態があるなら、そんなのは水に流して手を組むことも出来る。それが大人として、人間として普通のことっていうのも感じ取ってもらいたかった」

──再始動を機にグループ名を変えた理由とは。
Ｋ「名前を変えたというよりは、表記をそうしただけ。読み方は任せるよ。〝キングギドラ〟って名前を使うとライセンス・フィーを支払わなくちゃいけないんだけど、売り上げから出来る限りの寄付をしようと思ってる今回の企画で、そんなところにお金を使うのは嫌だったからさ」

──リリースされた「アポカリプス　ナウ」は強烈なメッセージソングですよね。
Ｄ「タイトルの意味は、現代の黙示録。リリックは、『嘘が嘘を呼び袋小路に騙されやしないいつも通りに』とか『こんなの生まれて初めての体験全部ウソだった記者会見』。他もろもろ、今の日本にストレートに切り込む内容にしたつもり」

Ｋ「今のうちにみんなで、できることをすべてやっておいて、次の危機に準備しておこうって思いを伝えたかったから、必然的にそういうリリックになった」

Ｚ「リスナーも全部、巻き込んで備えておこうっていう、ね。震災が未曾有のデカさだったから、まさかあの痛みを忘れることはないだろうけど、俺たちにできることはしておきたいから」

──ライブ出演もありますよね。
Ｋ「8月27日は愛知の伊良湖海水浴場で、30日は新木場のSTUDIO COASTだったかな、確か」

Ｚ「で、9月18日が横浜スタジアムでAIR JAM に。往年の曲もやる予定、たぶん」

Ｄ「3日間、どれも出演時間は短いけど、楽しんでほしいよね」

──３人は東日本大震災について、どんな考えをお持ちですか。
Ｚ「情報が多過ぎて身動きが取れなくなってる人が多いかもしれないけど、動けないとしても、何も考えないのは最悪のパターン」

Ｄ「先日のニュースで九州地方の人たちもやっと目覚めただろうから、思考停止している場合じゃないんだよね、本当は」

Ｋ「もう、情報を操作されて騙されていることに気づかないと。で、自分に今、何ができて、何をすべきかを考えないといけない」

──個人として何をすべきですか。
Ｚ「普通なら募金っていうところだけど、それもできない人っているよね。だったら、とにかくこの原発問題を、誰かとの会話で話題に出そうよ。話すだけでいい」

Ｄ「常に話題にしておかないと、原発問題を身近に感じられなくなっちゃうからね」

Ｚ「俺みたいに子どもがいると、いつも身近に感じるけどね。自分の子どもには雨には絶対、濡れないようにと言ってるし、マスクをつけて通学させてる」

Ｋ「どう推移するか俺たちにも分からないけど、もしかしたら女性や子どもは避難したほうがいい地域だって出てくるかもしれないよね。だからその時に備えて、情報を取捨選択する能力は身につけておいたほうがいい。俺は男だし独身だから、放射能を浴びた野菜を食べたら被災地が助かると言われたら喜んで食べるけど、日本の未来を考慮したら、全員にそれを強制はできないよね。だけど、放射能と共存しなければいけない国になった。それが日本の現状なんだと思う。個人として、そこは知っておくべきかな」

Ｚ「他にも個人として今の日本の現状を把握したいなら、過去の記録と照らし合わせればいいよね。チェルノブイリ事故を参照すれば、日本がどれぐらいヤバイか本当に分かってびっくりするから」

──話は変わりますが、読者のために小誌の定番ですが、夢を叶える秘訣を教えて下さい。
Ｄ「実は俺、過去に２回ほど音楽を離れようとした時期があったんだよね。でも、２人に迷惑をかけつつ助けられつつ、こうやって続けてこられた。理想通りの形ではなかったかもしれないけど、続けることで夢には確実に近づいてる。それって自分が音楽に向いていたからだと思う。逆に言えば、自分に向いてない夢をいかに早く見つけて別の道に進むか。これもある意味、夢を叶える秘訣じゃないかと」

Ｋ「要は自分がどこで納得するか、だよね。夢が叶わない人生を送る人もいるだろうけど、人の役に立って人に愛されて、幸せに生きることができたら、それもありなんじゃないかと。…って、これじゃかなり老成した意見だな（笑）」

Ｚ「じゃあ、夢を叶えるための方法を。『誰かになろう』と思ったら決して夢は叶わない。自分の動物的本能に従って、ビビビッとくるものが、結局は自分に合っている夢だと思うな。俺的には、夢を叶えたいなら革命を起こせって感じだけどね。俺らが日本語でヒップホップを始めた頃って、同じことをやってる奴らは日本に30組ぐらいしかいなかった。もれなくトップ40に入れる世界（笑）。それって同時に認知度が低いってことでもあったから、自分たちでレールを敷いて、道を開拓してきたんだよね。道なき道を進む、革命」

──では、そんな３人のこれから歩む道は…。
Ｋ「今回のように、原発問題を俺たちが噛み砕いたラップすることで、自分の意見として考えてくれる人が増えればいいと思う」

Ｚ「自分のことは判断するのがヒップホップのメンタリティだから、現実を伝えることも音楽の一環なんだよね、俺らにとって」

時に大真面目に、時に取材班を笑わせつつ、自らのポリシー語ってくれたＫＧＤＲの３人。今後の活動にも期待です!!