「怪談は“怖楽しい”ジェットコースターみたいなものなんですよ。 怖いけれども聞いていると楽しいから、また聞きたくなるっていうね」

怪談の名語り手・稲川淳二さんがMCを務めるDVD「稲川淳二のねむれない怪談オールスターズ1＆2」が7月7日に同時発売。インタビュー中も霊を追い払いつつ話す稲川さんにスタッフ一同慄然！　DVDも実際に体験した話が満載です。この夏は本作で暑さを吹き飛ばしてみては？
──７月７日に「稲川淳二のねむれない怪談オールスターズ」１と２がＤＶＤリリースされますね。完成作を観ましたが、とても怖かったです！。
「このＤＶＤのようにプロの話し手が集まって怪談を話すのって、日本始まって以来の企画らしいんですよ。これを企画した人は鬼才ですよねぇ。障子の向こうに雪が降るシチュエーションで撮りたかったから大田区の本行寺で撮影したんですよ」

──撮影中には突然のハプニングもあったとか。
「途中でライトが落ちたり、具合が悪い人が出たりもしましたね。あとはエスパー伊東。彼、芸歴22年っていうけど、あんなタレントは見たことがない。まさにハプニング。それと浜田ブリトニーの話もね、聞いているうちに具合が悪くなってきましたよ、私は。本当にいいコなんですけど、あれはねぇ…」

──どんなシチュエーションで観るのがオススメですか？
「部屋を暗くする必要はなくて、みんなでワイワイ観ると楽しい ですよね。誰か１人がキャー！　なんて叫んで盛り上がったりして。もちろん１人で観るのもいいですよ。このメンバーに入っているような気分を味わえますから。付き合い始めのカップルなんかもいいかも知れないですね。去年の作品より１２４倍面白いから、ぜひ観てもらいたいですね…って、私もテキトーな数字を言ってますけど(笑)」

──７月19日からは毎年恒例となった「ミステリーナイトツアー2010」も始まりますね。
「昨年は怖いけれども優しくて心が温まる、という怪談のウケが良かったんですよ。今年はどうしようか思案中。このツアーね、毎年レギュラーで観に来てくれるお客さんがいるんですよ。いいオッサンたちが、私と一緒に全国をついて来るんです。新幹線の中でバッタリ会ったりもしますねぇ。会場の客層や空気に合わせて話を変えていますから、毎回内容が違います。だから、どの会場へ来ても楽しんでもらえますよ」

──では、“日本の暑い夏を冷やしまくる男”こと、稲川さんが思う怪談の魅力とは？
「怪談は“怖楽しい”ジェットコースターみたいなものなんですよ。怖いけれども聞いていると楽しいから、また聞きたくなるっていうね。怪談を楽しむためには感性が研ぎ澄まされていないとダメなんですけどね」

──感性ですか？
「現実ではありえない設定で怖がらせるホラーと違って、怪談は身近にありそうな話ばかりでしょう？　自分なりに状況を想像しながら聞いているはずなんです。だから想像する感性がないと、怪談は怖くないんです」

──最近では、“夏といえば稲川さん！”と言われるようになりましたね。
「それは私自らが夏以外はテレビに出ない、と7年前に決めたからですよ。人生、決断する時はすることが大事。実は冬のほうが忙しいんですけどね。執筆活動があるし、心霊スポットへ足を運ばなければいけないし」

──決断ですか。他に満足できる人生を歩むにはどうしたら。
「生きて食べて行けたら大正解だと思いますけどね。生きていたら夢を叶える可能性は誰にでもありますよ。芸人だって、食えない時代に作ったネタが面白かったりもするんですから」

──稲川さんは今後も？
「私の話が昔話のように語り継がれていってもらえたらうれしいですね。生霊や予知夢にプライベートを侵食されて、てこず ってはいますけどね（笑）」