「兄弟と姉妹がテーマではありますが、人間なら誰もが抱える葛藤や嫉妬心、愛情が描かれているので共感できる場面があると思います」

窪田正孝さん、新井浩文さん、ニッチェ江上敬子さん、筧美和子さんという豪華キャストが兄弟姉妹を演じることで公開前から話題の新感覚ヒューマン・ムービー『犬猿』が２月10日より全国ロードショー。芸能活動をしている幾野真子役を演じた筧さんに、ご自身の姉弟エピソードとともに作品の魅力を語ってもらった。筧さんが「序盤であのからくりはすごい！」と驚いた、ある“仕掛け”に騙されてしまう人が続出するかも!?　冒頭から見逃せないッ!!
──吉田恵輔監督は筧さんが幾野真子役に決まった後「胸がデカいだけで何もない」と台詞を書き換えたとか。
「最初は不思議だったんです。どうしてこんな豪華な役者さんの中に私がオファーを頂いて演じることができるのかって。でも台本を読んだら涙が出そうになるほど悔しくて、逆に今、この役を演じられるのは私しかいないと思い直せたんです。怖いぐらい見透かされている感じもしたので」

──ではご自身を投影して芝居を？
「そういう部分もありました。私も真子同様、不器用だったりコンプレックスを抱えていた部分がすごく似ているんです。しかも真子と同じような経験を私もしているので」

──どの場面ですか？
「きわどい仕事を断ろうとした真子が事務所でマネージャーに指摘されるシーンとかです。監督、どこかで見てました？と思いました」

──筧さんは姉と弟がいる三姉弟の次女。姉がいる点は真子同様ですね。ご自身の幼少期の関係は。
「ケンカになると私が孤立して、姉と弟がタッグを組んでいました（笑）それでより拗ねてワガママなコになり、２人とは距離があったんです。でも孤立したことで目を向けた外の世界を経験して成長したら『私ってなんてひどいことをしていたんだろう…』と反省しまして。以降は２人に優しくできるようになって、今はメチャクチャ仲良しです」

──では真子の姉役、由利亜を演じた江上敬子さんと共演した感想は。
「江上さんがとにかく距離を縮めてくれました。撮影の合間に旦那さんと喧嘩した話をしてくれたり、かなりさらけ出してくれたんです（笑）私もすべて言えるようになって撮影後に２人で飲むようになりました。今も関係が続いていて、相方の近藤（くみこ）さんや学生時代のお友だちも参加して一緒に飲むこともあるんです。江上さんと私は似ているところが多いので、たくさん話をしたことで実の姉妹のような関係性を築けたような気がします。救急車のシーン以外でも姉と重ねて見ているところもありましたし、江上さんは私にとって第二のお姉ちゃんになりました」

──窪田正孝さん、新井浩文さんと共演した印象も教えて下さい。
「窪田さんが演じた金山和成と真子は恋人同士になりますが、素直に付き合うのではなくお互いに抱えている事情が複雑なんです。それを踏まえてお芝居をしている姿は見ていて勉強になりました。ご本人は意識していらっしゃらなかったかもしれませんが、肩の力を抜いて演じられる空気に自然と引っ張って頂いたんです。新井さんは何作も出演作を観ていたので、江上さんと『新井さんと仲良くなりたいね』と、２人で作戦を立てて話しかけたりしました」

──お二人ともファン目線！（笑）吉田監督の演出はいかがでしたか。
「普段は穏やかで私たちに緊張感を与えないように接してくださいました。でも緊迫するシーンの前になると、フラーッと近寄ってきて『ココ、筧ちゃんにかかっているから』と笑顔でおっしゃるんです（笑）いい意味で操られたというか、コントロールして頂いた感じがしますね」

──タイトルになぞらえた質問も。筧さんにとって犬猿なモノは。
「納豆とネズミが天敵です。納豆は幼い頃大好きだったらしいんですけど、食べすぎてダメになったみたいで。毎年、誕生日にチャレンジしているんですけど、いまだに克服できません。ネズミはあのフォルムと動きが苦手で、 見ると気絶しそうになって息が止まります…」

──あはは！逆に大切な存在は？
「家族と愛猫のぽんずです。ぽんずとは１年ほど前から一緒に暮らし始めたのですが、由利亜と真子のようにお互いイヤなところが見え始めてケンカすることもあります。だけどぽんずがいるから仕事を頑張ろうと思えることもあって、大切ですね」

──有難うございます。最後に改めて映画の魅力を教えて下さい。
「兄弟と姉妹がテーマではありますが、人間なら誰もが抱える葛藤や嫉妬心、愛情が描かれているので共感できる場面があると思います。監督は真子の職業である着エロにこだわっていて、グラビアとの違いも語っていらっしゃいました。私も納得した上で、思いを込めて演じたのでぜひ楽しんで頂けたらうれしいです」