『ドゥランダル作戦』
実際に起きたテロ事件をベースに、国家同士の対立、スパイとテロリストの攻防、そして裏社会の覇権争いを一気に描き出すリアル・スパイ・アクション『ドゥランダル作戦』。国家存亡を懸けた極秘任務に送り込まれるのは、死刑を宣告された男ただ一人。フィクションと現実の境界をあえて曖昧にしながら、観る者を怒涛の展開へと引きずり込んでいく。
主人公ハムザを演じるのは、圧倒的な存在感を放つランヴィール・シン。共演にはサンジャイ・ダット、アクシャイ・カンナーら実力派が名を連ね、危険な世界に生きるそれぞれの人物像を濃密に立ち上げる。監督は『URI サージカル・ストライク』のアーディティヤ・ダール。実際の事件や実在人物から着想を得た設定を下敷きにしながら、緊迫の潜入劇と壮絶な銃撃戦、さらに極限状態で揺れ動く人間ドラマを融合させ、スケールの大きなエンターテインメントへと昇華させた。

相次ぐテロに揺れるインド。情報局長サニヤルは、報復と再発防止のために極秘任務「ドゥランダル作戦」を始動する。任務は、リヤリ地区のギャング組織に潜入し、テロの兆候を探ること。選ばれたのは、死刑囚ハムザだった。
過去も名前も捨て、飲食店を隠れ蓑に裏社会へ足を踏み入れたハムザは、対立する二大組織の抗争を監視しながら、少しずつ危険な世界の深部へと入り込んでいく。功績を認められた彼は、やがて組織の中枢へ近づき、復讐心を煽りながら勢力争いの中心へと踏み込んでいく。
しかし、任務が進むほど状況は複雑さを増し、ハムザ自身の運命も大きく揺らぎ始める。政治家の娘ヤリーナとの出会い、国家と裏社会の思惑、そして次々と交錯する欲望と陰謀。これはフィクションなのか、それとも現実なのか。観る者は最後まで、その危うい境界の中を走り続けることになる。
本作の大きな魅力は、スパイ映画、クライム映画、アクション映画の面白さを一作の中で一気に味わえる点にある。死刑囚が国家のために潜入任務に身を投じるという設定自体が強烈だが、そこに国際情勢を思わせる緊張感と、裏社会の生々しい暴力性が重なり、物語全体に独特のリアリティが生まれている。
さらに注目したいのは、登場人物の造形だ。実在の人物を思わせるキャラクターたちが配置されることで、単なる作り話では終わらない危険な空気が作品全体を包み込む。裏社会を支配する男、法を超えて悪を狩る警視、国家の影で陰謀を操る男。彼らの関係性が交錯することで、物語の相関図もより濃く、スリリングなものになっていく。
206分という大作ながら、苛烈な諜報戦、壮絶な銃撃戦、そして極限下で揺れる人間ドラマがノンストップで展開する本作。スパイ・アクションの醍醐味を全身で浴びるような一本だ。



2026年7月10日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー
【監督】アディティヤ・ダール『URI サージカル・ストライク』
【出演】ランヴィール・シン『ガリーボーイ』、サンジャイ・ダット『K.G.F: CHAPTER 2』、アクシャイ・カンナー
【INFO】2025年/インド/206分/R-15
【配給】ツイン
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