『DIE MY LOVE/ダイ・マイ・ラブ』
愛しているはずなのに、心は少しずつ壊れていく。
『DIE MY LOVE/ダイ・マイ・ラブ』は、穏やかなはずの日常が、いつしか狂気と紙一重の世界へと変わっていく夫婦の姿を描いた衝撃作だ。ニューヨークを離れ、田舎町で新しい生活を始めた作家グレース。だが出産をきっかけに、執筆は止まり、夫との関係にも微かなひずみが生まれていく。孤独、不安、満たされない感情、そして現実に滲むように現れる幻覚――。愛と正気の境界が揺らぎ始めたとき、彼女の世界は静かに崩れていく。
主演はジェニファー・ローレンス。夫役にロバート・パティンソンを迎え、監督は『少年は残酷な弓を射る』『ビューティフル・デイ』のリン・ラムジー。大胆で感覚的な映像表現によって、観る者を主人公の精神の奥深くへと引きずり込む。愛の物語でありながら、同時に危うく、美しく、痛ましい。心を大きく揺さぶる一本だ。

情熱的に愛し合い、結婚したグレースとジャクソン。二人はニューヨークを離れ、静かな田舎町で新しい生活を始める。やがて子どもを授かり、幸せな日々が続くはずだった。しかし、その暮らしは少しずつ軋み始める。
作家であるグレースは思うように言葉を紡げなくなり、創作は滞る。夫との関係も次第にすれ違い、孤独や苛立ち、行き場のない感情が積み重なっていく。周囲の気遣いも彼女には届かず、閉ざされた日常のなかで、現実と幻想の境界はゆっくりと崩れていく。
やがて、激しさを増す夫婦の衝突と、追い詰められていく心。極限まで張りつめた先で、グレースがたどり着く場所とは――。愛と狂気のあわいで揺れるひとりの女性の姿を、鋭く、そして濃密に描き出す。
本作の見どころは、ジェニファー・ローレンスのむき出しの演技と、リン・ラムジー監督ならではの感覚的な映像表現にある。感情の揺らぎを説明ではなく映像と空気で伝えていく手法によって、観客は主人公グレースの不安や混乱を“見る”というより“浴びる”ことになる。
また、ロバート・パティンソンが演じる夫ジャクソンとの関係性も大きな軸だ。愛情があるからこそすれ違いが深くなり、互いの距離が少しずつ壊れていく過程が痛々しくも生々しい。
35mmフィルムによる粒立った映像、閉塞感を生むフレーミング、わずかに歪んで見える風景。そのすべてがグレースの内面と呼応し、映画全体を不穏で濃密な体験へと変えていく。単なる夫婦劇では終わらない、感情そのものに飲み込まれるような一本だ。



2026年6月12日(金)全国公開
【監督】リン・ラムジー
【出演】ジェニファー・ローレンス、ロバート・パティンソン
【INFO】2025年/アメリカ・イギリス/118分
【配給】クロックワークス
© 2025 DIE MY LOVE, LLC.
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