業界唯一の“シンガーソングラドル”として作詞作曲ができる上に美形でスタイル抜群の藤田恵名さん初主演映画『EVIL IDOL SONG』が、8月20日より開催される「第3回夏のホラー秘宝まつり2016」で公開される。「血が出るシーンはあるけれどサスペンス色の強いホラー」と語る作品の内容と、着実に成長を遂げる秘訣――彼女の人柄を紐解く。

──演技経験がほぼない中で，本作では初主演ですが、経緯は。
「実は５～６年前にやった路上ライブをキングレコードの方が目に留めてくれていたんです。その後、映画の主題歌を３作歌わせて頂いて、昨年はこの映画祭のイメージガール、今回は主役に選んで頂きました。自分が活動の水準を上げていくことで引っ張りあげてもらった形です。初めてお会いした時に『メジャーデビューさせて下さい』と身の丈に合わないお願いをしたら実現しなかったと思うと、感慨深いものがありますね」

──努力が実ったんですね。だから脚本も当て書きなんですか。
「そうなんです。大畑（創）監督と二度ほどお会いして、私のパーソナルな部分を深くまでお話しました。主人公の佳奈は事務所の社長に枕営業をさせられそうになって精神のバランスを崩すんですけど、これって私が中学時代、学校を転校しなければならないほどのイジメに遭った経験を膨らませて書いたのかなと思います。だから過去の自分と向き合うことになりましたけど、私の中のブラックな部分を拡大して演じました」

──ブラックな部分ありますか!?
「ありますよ～。佳奈は後輩に自分の曲を盗作されてしまうんですけど、もし私が同じ目に遭ったらネットで原曲を流して自分の曲だとアピールしますもん」

──なるほど。映画に出演して初体験したことも教えて下さい。
「主演だから出ずっぱりではあったんですけどたまにある休憩時間に寝ていたんですね。熟睡しているはずなのに出番が来て起こされると寝言で『まだ前のシーンのカットがかかってないんで動けません』と答えていたらしいです（笑）あとはマグカップを投げるシーンがあるんですけど、床に敷かれた毛布の上に投げる予定が壁に当たって割ってしまったんです。代わりは用意されていましたが罪悪感を覚えました。初心者の私が時間を無駄にしないよう、常に気を張っていたのに…って」

──時間との戦いですからね。
「だから佳奈の気持ちを作れずスタッフさんが『気持ち待ちです！』と声を出した時は、俳優のみなさんはこんな経験をしているんだと思うと、同時にプレッシャーもかかりました。常にいつもの声より低めに発声することも自分の中ではネックでした」

──映画では主題歌も担当し、５曲入りミニアルバムも発売されますね。
「表題曲は“佳奈が人を殺すメロディーを作る能力”になぞらえて作ったんですけど、幸せを感じてもらいながらハッピーに死ねる曲って、歌いたかったテイストの曲なんです。このアルバムで再度、メジャーデビューするんですが、映画とのタイアップだから結果を出さなければ次はないとも覚悟しています」

──相変わらず謙虚なんですね。
「本音ではもっと有名になって紅白にも出たいし、ランキング１位も獲りたいんですよ（笑）でもファンのみなさんありきの私ですから、ファンの方を置き去りにした夢は語りたくないんです。少し上の目標を設定して、一緒にクリアしていきたい。もしその夢が叶わなくてもネタになるから美味しいですし。今は近い存在ではあるけれど１個頭が出たぐらいが目標です」

──でも、着実に成長していますよね。キングレコード担当者の目に留まる前の自分に言葉をかけるなら？
「くすぶっていた時期があるからこそ今ここにいられるし、１つずつ疎かにしないで『今日ミラクルが起こるかもしれない』と思いながら腐らずやっていれば結果が出るよ、と言ってあげたいです。手を変え品を変え、お金がないなら頭を使おう！とも言ってあげたいですね（笑）」