森岡「僕が極限まで頑張った労働する姿が映ってるから『めっちゃ働いてるんだな』と感じて下さい(笑)そして、『明日も仕事頑張ろう』という糧にしてもらえたらうれしい」
前野「必ず訪れる挫折や人の死は、乗り越えて生きていかなきゃならない。その時、実道がどう向き合ったのかが見どころの1つでもあるし、共感できたり参考にもなると思います」
「あまちゃん」「64」など話題のドラマに次々と出演を果たした森岡龍さんと、映画やテレビに幅広く活躍し、auの三太郎シリーズCMで一寸法師役に抜擢され注目の前野朋哉さんがダブル主演した映画『エミアビのはじまりとはじまり』が9月3日(土)より公開。劇中の漫才コンビさながらの掛け合いで、撮影秘話を語ってくれた。登場人物になぞらえて、自身の挫折経験や乗り越え方にも迫る!
中学生のカップルみたいに最初はよそよそしくて(笑)
──クランクイン前に漫才の稽古を1ヶ月間したそうですが、仕事では久しぶりの再会だったとか。森岡龍(以下、森岡)「だから最初は何から話そうかな、という感じだったし、稽古してみても見るに耐えない漫才だったんで、CDの貸し借りをするという、中学生のような方法で少しずつ距離を縮めていきました(笑)前野君にお子さんが生まれてから一緒に飲みに行く機会が自然と減っていたんですけど、飲みに行ったりカラオケに行って『浅草キッド』を歌ったりして、 少しずつ」
前野朋哉(以下、前野)「お互いよそよそしく探り合っていった感じだったよね(笑)カップルみたいに、お互いのいいところを少しずつ見つけようとした感じでした。毎朝起きた瞬間に、 『森岡君の顔を見なくちゃ!』と思ってましたし」
森岡「僕も、家でも常に前野君のことを考えてましたもん。自分のやりたい芝居や漫才は分かってるけど、どうしたら前野君を輝かせることができるかな、とか」
──距離を縮めていくなかで、お互いの長所は見つかりましたか?
前野「ここまで距離が近い間柄の役を演じるのは初めてでしたけど、森岡君を好きになったのは…弱い部分を見せられた時ですね」
森岡「その口ぶり、恋と同じじゃない(笑)そういう僕も、前野君の優しさにかなり助けられましたけどね。僕、この作品に関わっている期間はどこか実道のようにドライな部分があって、 『人は人、自分は自分』みたいな感覚になってましたけど、前野君から誘ってくれたんですよ。『撮影が終わったし1杯どう?』って。ただ仲がよくてつるむ友だちじゃなく、適度な距離感を持ったコンビとして映像にもこの関係が出ていると思うんですけど、これは、前野君のおかげだと僕は思っています」
逃げ出したいほど辛かった前野君が支えてくれました
──役作りですが、森岡さんは苦労されたようですね。渡辺謙作監督から直に指導されるのではなく、新井浩文さんが間接的に〝壊した〟とか。森岡「そうなんですよ。全然OKが出ないし、特に新井さんが演じた黒沢の家での撮影なんて、新井さん、本気で『ちゃんとやれよ!』って怒鳴るし。ガチで怖がってます」
前野「あれは誰が経験しても怖いよ」
森岡「渡辺監督にも怒鳴られるしカツラをかぶってて暑いし、その上サングラスをかけていて自分が映るのかっていういろんな不安があるなかで階段落ちした後に、新井さんに柿ピーをガンガン投げつけられてさあ」
前野「あの撮影が初日(笑)」
森岡「逃げようと思いましたもん。きつかった!」
前野「森岡君に電話で『撮影はどうだった?』と聞いたら、かなり落ちてたもんねえ」
森岡「ホントやばかった。ただ、あの撮影が初日だったからこそ、実道がカチッと固まったんだと今は実感しています。きつすぎて僕が『どうしよう』と崩壊して泣いてしまって、周りの方々を不安にさせてしまった時も、前野君は横に寄り添って堂々としてくれていたんです」
前野「いや、堂々とはしてないよ。内心『どうしたらいいんだ!』って不安だらけだったよ(笑)だから映画が完成して本当によかった」
森岡「ね。インタビューを受けるこの日を迎えられて本当によかった!」
──劇中で登場人物は挫折を経験しますが、お二人は経験ないですよね。
森岡・前野「いや、ありますよ!」
──言葉が揃いましたが、その挫折をどうやって乗り越えましたか?
前野「誰かに言われたひと言をふとした時に思い出して、『もう一度頑張ろう』と気持ちを切り替えることは結構、あります。僕が俳優業を本格的に始めていいものか悩んでいた時に、友だちのカメラマンに言われた言葉で『君は監督の才能がないんだから、役者で売れたらいいんだよ。そうしたら監督をする機会が増えるんだから』と言われて、俳優をやろうと決めたんです。あの時言ってもらえなかったらたぶん、今でも監督に固執していたでしょうね。監督は『やらなきゃ』という気持ちだけで当時、現場はボロボロで挫折していたんです。でも俳優をやることで視点が変わって希望が見えた。あの言葉をもらえていなかったら人生が大きく変わっていた気がします」
2人が過去に体験した挫折した時の乗り越え方とは!?
森岡「そうやって親身になって言ってくれた人の言葉が後からジワジワ効いてくることって、あるよね。僕は石井(裕也)監督の言葉かなあ。若い頃って誰もが自分は特別な存在で、何者かになれると信じて疑わない時期があるじゃないですか。僕自身もそう考えていたのに、自分には才能がないと挫折していた時に言われたんです。『一度、諦念を覚えてから開き直ると楽になるよ』と。自分らしさなんて捨てていいんだと分かったら、救われましたね。大学の先生には『自分の才能の限界が見えると戦略が分かる。それが分かれば後は楽しむだけだ』と教えて頂き、なるほどな~、と。それを知ってから、この難しい問題をどうクリアしてやろうかと思えて、変に落ち込まなくなったんですよね」前野「すごい打たれ強いじゃないですか。あの現場が嘘みたい(笑)」
森岡「あの現場は死んでたよ(笑)」
──最後に今一度PRをお願いします。
前野「僕はこの作品を幅広い層に観てもらいたいですね。というのも必ず訪れる挫折や人の死って、乗り越えて生きていかなきゃならないじゃないですか。その時、実道がどういう顔をしてどう向き合ったのかが見どころの1つでもあるし、共感できたり参考にもなると思うので」
森岡「純粋に楽しめる映画になっているのですが、この作品には、僕らの紛れもない労働が映っているんです。特殊な仕事だとは思うけど、僕らが極限まで頑張った働きっぷりが映っているから映画を観て『めっちゃ働いているなぁ』というのを感じて下さい(笑)そして、『明日も頑張ろう!』という糧してもらえたらうれしいですね。どう? このドカントらしいまとめ方は(笑)」
INFORMATION
■映画『エミアビのはじまりとはじまり』
INFO&STORY
人気上昇中の漫才コンビ・エミアビの海野(前野朋哉)が同乗者の雛子(山地まり)とともに自動車事故で死んだ。相方の実道(森岡龍)はマネージャーの夏海(黒木華)と雛子の兄である黒沢(新井浩文)に会いに行く。数年前までお笑いの世界にいた黒沢はエミアビの先輩であり恩人でもあった。「『エミアビ』の大ファンだった雛子を最期にもう一度笑わせてくれ」という黒沢の要望に、実道はピンネタを披露するが、黒沢からはダメ出しが連発されてしまう…。遺された者たちが繰り広げる、“笑い”が繋ぐ希望と再生の物語。
CAST&STAFF
出演/森岡龍・前野朋哉・黒木華・山地まり/新井浩文ら
監督・脚本/渡辺謙作
製作/『エミアビのはじまりとはじまり』製作委員会
配給/ビターズ・エンド
公式HP
9月3日(土)より、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー
(C)2016「エミアビのはじまりとはじまり」製作委員会
PROFILE
森岡龍(もりおか・りゅう)
1988年2月15日生まれ 東京都出身
04年に映画「茶の味」でデビュー。俳優、映画監督。近年の出演作にドラマ「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」「64」「天皇の料理番」「予告犯 -THE PAIN-」、映画「ピース オブ ケイク」「イニシエーション・ラブ」「超能力者研究部の3人」「ハロー!純一」などがある。最新作「彼岸島 デラックス」は10月15日公開。
公式Twitter
PROFILE
前野朋哉(まえの・ともや)
1986年1月14日生まれ 岡山県出身
学生時代から自主映画の制作を始め俳優、映画監督として活動。近年の出演作にドラマ「エアーズロック」「空飛ぶ広報室」「マッサン」「重版出来!」などがあり、「石川五右衛門」は本年10月期放送決定。映画「桐島、部活やめるってよ」「少年H」「図書館戦争」「万能鑑定士Q モナ・リザの瞳」「日々ロック」「娚の一生」「イニシエーション・ラブ」「秘密 THE TOP SECRET」など。最新作「闇金ウシジマくんPart3」は9月22日公開。
公式Twitter
■映画『エミアビのはじまりとはじまり』
INFO&STORY
人気上昇中の漫才コンビ・エミアビの海野(前野朋哉)が同乗者の雛子(山地まり)とともに自動車事故で死んだ。相方の実道(森岡龍)はマネージャーの夏海(黒木華)と雛子の兄である黒沢(新井浩文)に会いに行く。数年前までお笑いの世界にいた黒沢はエミアビの先輩であり恩人でもあった。「『エミアビ』の大ファンだった雛子を最期にもう一度笑わせてくれ」という黒沢の要望に、実道はピンネタを披露するが、黒沢からはダメ出しが連発されてしまう…。遺された者たちが繰り広げる、“笑い”が繋ぐ希望と再生の物語。
CAST&STAFF
出演/森岡龍・前野朋哉・黒木華・山地まり/新井浩文ら
監督・脚本/渡辺謙作
製作/『エミアビのはじまりとはじまり』製作委員会
配給/ビターズ・エンド
公式HP
9月3日(土)より、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー
(C)2016「エミアビのはじまりとはじまり」製作委員会
PROFILE
森岡龍(もりおか・りゅう)
1988年2月15日生まれ 東京都出身
04年に映画「茶の味」でデビュー。俳優、映画監督。近年の出演作にドラマ「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」「64」「天皇の料理番」「予告犯 -THE PAIN-」、映画「ピース オブ ケイク」「イニシエーション・ラブ」「超能力者研究部の3人」「ハロー!純一」などがある。最新作「彼岸島 デラックス」は10月15日公開。
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PROFILE
前野朋哉(まえの・ともや)
1986年1月14日生まれ 岡山県出身
学生時代から自主映画の制作を始め俳優、映画監督として活動。近年の出演作にドラマ「エアーズロック」「空飛ぶ広報室」「マッサン」「重版出来!」などがあり、「石川五右衛門」は本年10月期放送決定。映画「桐島、部活やめるってよ」「少年H」「図書館戦争」「万能鑑定士Q モナ・リザの瞳」「日々ロック」「娚の一生」「イニシエーション・ラブ」「秘密 THE TOP SECRET」など。最新作「闇金ウシジマくんPart3」は9月22日公開。
公式Twitter
Interview&Text/内埜さくら Photo/おおえき寿一