「僕みたいに悪のヒーローに憧れて科学者になる子がいたっていい」
サブカル界隈をザワつかせた『危ない28号』や、〝東大不合格確率100%〟をうたう『図解アリエナイ理科ノ教科書』といった、クセのある理系書籍を多数手がける秘密結社『薬理凶室』のリーダー、ドクタークラレ氏とはいったい何者なのか。今回はそんな彼の正体を暴くべく、キツネの仮面の下で不敵な笑みを浮かべる男の素顔に肉迫した!!
〝マッド〟な科学者の仮面の下の素顔とは!?
──人気シリーズ『図解アリエナイ理科ノ教科書』(ア理科)は、そもそもどんないきさつで誕生を?
「科学って堅苦しく思われがちですけど、理系の学者の〝ナマ〟の姿っていうのは、基本的にすごくマッドなものなんです。だったら、そういう部分を露悪的におもしろおかしく紹介する本があってもいい。悪のヒーローに憧れて科学者を目指す子がいたっていいんじゃないかと思ったんですね。実際、僕は『ヤッターマン』のボヤッキーに憧れて現在に至りますし、応用化学の学者連中の飲み会なんかだと、だいたいみんな子どもの頃に××を作ったとかそんな話は多く、悪意は抜きに好奇心旺盛な子ども時代の話はわんさとありますね」
──学問を突きつめるにはマッドな要素も少なからず必要だと。
「〝邪悪〟とまでは言わないにしても、優秀な人ほど安い倫理観に縛られていない。それは間違いないですね(笑)だいたい、そこに縛られるようでは自由な発想なんてできませんし、人が考えつかないことを『よし、やろう』とは思えない。そういう人は大学側もすすんで表に出そうとはしないから、世間に知られる機会が少ないってだけでね。まぁ、裏をかえせば、口がウマくてメディアで重宝がられているような人は、得てしてたいしたことないことが多いです(笑)」
──日本人はとかく肩書きに弱いですから、〝教授〟と聞けば、ついありがたがってしまいます。
「それこそが、閉塞しきった日本の理科教育の弊害だと僕は思っていて、そういうことへのアンチテーゼも込めて作ったのが『ア理科』っていう部分は少なからずありますね。
僕自身は諸外国の教科書なんかも2~3年に1回ぐらいはチェックしていますけど、たとえばアメリカでは百科事典並に分厚い教科書を使って、学問を薄く広くやるわけです。それに対して日本では、40年間内容が変わっていないペラペラの教科書を丸暗記させて、重箱の隅をつつくような問題にただ答えさせることを〝教育〟だと言っている。
そんなバカバカしいことをやっているから、たいていの人が〝自称・識者〟の言葉を『信用できそう』とかいう理由だけで、すぐ鵜呑みにしちゃうんです。自分の目で見て考える脳をもっていたら、流行の〝水素水〟がインチキなことぐらい、すぐ分かると思うんですけどね」
──問題は〝ゆとり教育〟なんかよりよっぽど根深いですね。
「僕は大学で講師をする傍ら、小中学校の先生向けの実験ガイダンスとかを手伝うこともあるのですが、豆球の銅線についてる赤と青の絶縁体チューブを剥かずに電池に貼りつけて『つきません』とか言ってる先生が普通にいる。回路図でしか見たことがないから、実際の方法を知らないわけです。いくら現場が〝脱・ゆとり〟になっても、新しく入ってくる先生たちがそんな調子だったら、意味はない。いまや理科室が開かずの物置と化している学校も多いですしね」
──えーっ!? それは衝撃です。
「そうなんですよ。ヒドいと『youtube』で動画を見せて終わりなんてところもありますしね(笑)率先して危ない目に遭う必要はまったくないですけど、なにかを作ろうと思えば、それなりのリスクもともなうのは当然のこと。こと理化学に関して言えば、100冊の本を読むより1回の実験のほうが得られるものが大きいってことも多々ありますし、身をもって経験をするという実学は、生きるうえでも絶対に必要なことだと思うんですけどね」
──こうして話を聞いてると、マッドなのは、昨今の学校教育のような気がしてきましたよ(笑)
「それが現実です。だからこそボクはこんな仮面をかぶりながらも、本音の部分では、学者の素顔の一面でも見せることができればと考えています。ボクにとっての科学は、芸術以外でモノを想像しうる唯一の世界。言ってみれば、この世で人間が使える本物の魔法ですからね」
INFORMATION
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著・薬理凶室/定価▶1300円+税
三才ブックス・刊
PROFILE
秘密結社『薬理凶室』のリーダーも務めるマッドサイエンティスト。有害図書に指定されるなど様々な物議を醸した季刊誌『危ない28号』の創刊に携わり、同誌休刊後に、結社の面々と共同で執筆した『図解アリエナイ理科ノ教科書』を上梓。現在は大学講師のほか、映画・ドラマの科学考証など多方面で活躍中。
公式HP
公式Twitter
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PROFILE
秘密結社『薬理凶室』のリーダーも務めるマッドサイエンティスト。有害図書に指定されるなど様々な物議を醸した季刊誌『危ない28号』の創刊に携わり、同誌休刊後に、結社の面々と共同で執筆した『図解アリエナイ理科ノ教科書』を上梓。現在は大学講師のほか、映画・ドラマの科学考証など多方面で活躍中。
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