「どんなに頑張ってもジブリにはなれないんだから、万が一コケても後悔しないよう振り切りました。今回はヤバイですよ」
じわじわと熱狂的ファンを増やしつつあるFROGMANさんの鷹の爪シリーズ最新作『DCスーパーヒーローズvs鷹の爪団』が10月21日より全国ロードショー! バッドマンを山田孝之さん、ジョーカーを安田顕さん、ハーレー・クインを知英さんが吹き替えを担当するという史上最大規模の予算を費やした作品だ。ご本人が「ヤバイですねえ」と語る通り、特にラストは呆気にとられてしまうかも!? 作品の魅力とともに、クリエイターとしての仕事観も聞いた。
日本の人気アニメと捉えて先方は騙されたかも(笑)
──本作を作り終えてから髭を生やし始めたそうですが、理由は?「今回の作品を観て怒る人たちを威嚇しようと思ったんです。髭を生やすと〝巨匠感〟を出せるような気がしませんか? 大物っぽいとあまり怒られずに済むかなと(笑)」
──なるほど(笑)確かに今回の作品は面白すぎてヤバイですからね。
「ヤバイですねえ。作っていてメチャメチャ楽しかったですし、スタッフも悪ノリしてやりたい放題でしたから。 どんなに頑張ってもジブリにはなれないんだから、万が一コケても後悔しないよう振り切りましたね。しかもDCコミックスとコラボしたコンテンツって、日本では鷹の爪が史上初なんですよ。先方も劇場作品で他作に入り込むのは初らしいです。よく許可を出したなと。いったい、何が狙いなんでしょうね」
──一部で〝格差コラボ〟と言われていますが、どのような交渉を?
「わりと正攻法でしたよ。昨年が10周年だったので、世界的コンテンツと呼ばれる作品に片っ端からオファーを出したんです。でも、意外にも国内作品は軒並みお断りされて、最も可能性が低いと思っていたワーナーさんから、『興味がある』と打診を受けました。日本では鷹の爪がどういうモノか理解されているから切り捨てられましたけど、ワーナーさんは単に日本の人気アニメと捉えて騙されたんでしょうね」
──(取材陣爆笑)しかもラストが予想を裏切るものすごい展開ですね!
「音がついていないラフ映像の段階からみんな、やいのやいの大騒ぎでしたからね。今回は史上最も豪華な効果音ということでスポンサーである『ヤマキ』や『メガネスーパー』の社長に口で効果音を出して頂いたんですけど、社長が深く考える前に終わるように、社員に根回ししてもらいました。上場企業の社長さんにやって頂いて痛快でしたねえ」
──声優陣も豪華ですよね。
「山田(孝之)君は以前から鷹の爪が好きだと聞いていたので『天才バカヴォン〜蘇るフランダースの犬〜』の時にオファーを出したんですけど、スケジュールが合わなかったんです。でもお姉さんが完成披露試写会に来てくれて『孝之をよろしく』とおっしゃってくださったので、決め打ちでお願いしました」
──安田顕さんも出演されています。
「我が家で『水曜どうでしょう』が流行っていて、ヤスケンさんがジョーカーを演じたら面白いだろうなと。彼自身がトリックスターですが、想像以上にトリッキーなお芝居をしてくれて、並の役者さんでは無理だったろうなと改めて感じましたね」
クリエイター発信の作品が無害になりつつあるけど…
──クリエイターとして仕事をする時に意識していることはありますか。「僕とアニメの関係においては『仕事に対して過度な期待はしない』という思いは昔から変わりません。自分が緻密な作画や老練な演出を持ち合わせていないのは分かっているので、そこを突き詰めても意味がない。かといって失望もしていないから、距離としてはちょうどいいんでしょうね。コメディーライターって疾走して燃え尽きる人が多いんですけど、このままのスタンスなら僕はあと20〜30年は平気でできるだろうなと」
──以前から一貫して「金は力」とおっしゃっているのも印象的です。
「島根で年収60万の時代から会社を上場させるまでのこの10年間で生活が激変して、感じたことがあるんです。超がつく貧乏人もお金持ちも、お金の使い方が下手ということ。僕自身も下手なので今は月5万円のお小遣い制で全部、奥さんに管理してもらっているんです。だから偉そうなことは言えないんですけど、金銭管理が下手な男は、早くしっかりした奥さんをもらったほうがいい。金遣いの荒い人は一生、治りませんから(笑)僕自身は管理してもらうことで作品と向き合う時間を増やせているので満足しています」
──最後に改めて本作の魅力を。
「実は今回の作品、社内では問題になっているんですよ。訴えられたらどうするんだと。だけど訴えられない空気を作るのがクリエイターの仕事だし、パロディーや風刺に許可を取るなんてナンセンスなんですよ。最近は有名人の悪事に血道を上げて攻撃する風潮がありますけど、本当は今回の鷹の爪のように、笑いの中に批判を混ぜて伝えたほうが面白いんです。笑い者にされるほうが、当人だってよほど恥ずかしいんですから。という、昔の日本人が持っていた笑いのセンスをこの作品で蘇らせてほしい。最近はクリエイター発信の作品が無害になりつつありますけど、僕らプロが提示するものも面白いと感じてもらえると思います」
INFORMATION
■映画『DCスーパーヒーローズvs鷹の爪団』
【INFO&STORY】
2017年、東京。シェアハウスで暮らすジョーカーとハーレイ・クインらは、鷹の爪団の天才博士レオナルドが開発した秘密兵器を奪って映画制作の資金を稼ごうとしていた。鷹の爪団はジョーカーたちを追って来たジャスティス・リーグのヒーローたちと手を組むが、ジャスティス・リーグの派手すぎるアクションシーンによって瞬く間に予算が蒸発し、画面が雑になる問題が発生。そこで彼らは、アメリカにいる富豪のヒーロー、バットマンに資金援助を依頼しに行くが…。スーパーマン、バットマンといったDCエンターテイメントのヒーローキャラクターたちが、日本の低予算Flashアニメ「秘密結社 鷹の爪」とコラボレーションを果たした話題作。
【CAST&STAFF】
監督・脚本・声の出演/FROGMAN
声の出演/山田孝之・知英・安田顕・鈴村健一・松本梨香・浪川大輔・中井和哉・高木渉・岩田光央・内田彩・犬山イヌコ・金田朋子ほか
主題歌/GLIM SPANKY
挿入曲/KenKen
製作/「DCスーパーヒーローズvs鷹の爪団」製作委員会
映像制作/DLE
協力/白組・GONZO
配給/ワーナー・ブラザース映画
公式HP
10月21日(土)全国ロードショー
(C)WBJ and DLE. DC characters (C)&TM DC. ET characters (C)&TM DLE.
PROFILE
FROGMAN
1971年4月9日生まれ 東京都出身
本名:小野亮。04年、WEBアニメーション『菅井君と家族石』を発表。監督・脚本・キャラクターデザイン・録音・編集・声の出演などを一人でこなす独自のスタイルで注目を浴びる。06年に『THE FROGMAN SHOW』(「秘密結社 鷹の爪」1stシーズン)の地上波放送を開始。その後も数々のアニメシリーズ・映画を制作し、トップクリエイターとして不動の地位を確立。
公式Twitter
■映画『DCスーパーヒーローズvs鷹の爪団』
【INFO&STORY】
2017年、東京。シェアハウスで暮らすジョーカーとハーレイ・クインらは、鷹の爪団の天才博士レオナルドが開発した秘密兵器を奪って映画制作の資金を稼ごうとしていた。鷹の爪団はジョーカーたちを追って来たジャスティス・リーグのヒーローたちと手を組むが、ジャスティス・リーグの派手すぎるアクションシーンによって瞬く間に予算が蒸発し、画面が雑になる問題が発生。そこで彼らは、アメリカにいる富豪のヒーロー、バットマンに資金援助を依頼しに行くが…。スーパーマン、バットマンといったDCエンターテイメントのヒーローキャラクターたちが、日本の低予算Flashアニメ「秘密結社 鷹の爪」とコラボレーションを果たした話題作。
【CAST&STAFF】
監督・脚本・声の出演/FROGMAN
声の出演/山田孝之・知英・安田顕・鈴村健一・松本梨香・浪川大輔・中井和哉・高木渉・岩田光央・内田彩・犬山イヌコ・金田朋子ほか
主題歌/GLIM SPANKY
挿入曲/KenKen
製作/「DCスーパーヒーローズvs鷹の爪団」製作委員会
映像制作/DLE
協力/白組・GONZO
配給/ワーナー・ブラザース映画
公式HP
10月21日(土)全国ロードショー
(C)WBJ and DLE. DC characters (C)&TM DC. ET characters (C)&TM DLE.
PROFILE
FROGMAN
1971年4月9日生まれ 東京都出身
本名:小野亮。04年、WEBアニメーション『菅井君と家族石』を発表。監督・脚本・キャラクターデザイン・録音・編集・声の出演などを一人でこなす独自のスタイルで注目を浴びる。06年に『THE FROGMAN SHOW』(「秘密結社 鷹の爪」1stシーズン)の地上波放送を開始。その後も数々のアニメシリーズ・映画を制作し、トップクリエイターとして不動の地位を確立。
公式Twitter
取材・文/内埜さくら 撮影/おおえき寿一