「現実に起きたことを描いているからこそ、他のドラマや映画とは 若干のズレがあります。男たちが命をかけた人間ドラマを劇場で観て下さい」
ドラマ『BG〜身辺警護人〜』や『特捜9』などで渋い役柄を好演した俳優出合正幸さんが出演した映画『第二警備隊』が6月16日から公開。作品で見せる顔とは一変、インタビューでは素朴で純真という意外な(!?)素を出しつつ、取材陣を笑わせながら気さくに語ってくれた。彼が「もう少し若かったら自分も身辺警護人をやってみたかった」と思うほどに至った本作の魅力とは――。
警護人の死や銃を奪う争い実体験をもとにしています
──出合さん、撮影時より今のほうが痩せているような…。「撮影中は今より体重を5キロほど増やしました。以前にフィッティングしたスーツが身体に合わなかったので、 筋肉ではなく脂肪で太りました」
──体重を増やした方法は?
「もとからよく食べるほうではあるんです。一度の食事でご飯2合は食べるんですが、普段は1合か1合半に減らしているんです。その我慢を止めて、 満腹になるまで朝と昼はとにかく食べました。撮影が終わった今でも、一度に1合半ぐらいは平気で食べていますけど」
──スタイル抜群じゃないですか。どうやって痩せたんですか。
「18歳から25歳ぐらいまで筋トレばかりしていたんです。当時の〝マッスルメモリー〟がまだ残っているみたいで、トレーニングをすると比較的早く戻ります。今は週イチで軽いトレーニングしかしていません」
──役に合わせてスタイルを変えられるとは役者向きの体質なんですね。
「鍛えすぎるとスーツが合わなくなるんです。肩幅に合わせるとウエストがブカブカで、ウエストに合わせると肩が入らない。だから今は事務所から、 役作り以外では筋トレ禁止令が出ています」
──今回は似合っていましたよ!
「普段着慣れていないので、撮影前からスーツを着て生活していたせいかもしれません。以前、柿崎(ゆうじ)監督が使っていた警護に使う装具もお借りしました。そのぐらい、事前準備を入念にしないとダメだと思ったんです。監督が経営する警備会社の実話がベースで、セリフの中にも、実際に現場で監督が聞いた言葉が盛り込まれている。しかも自分は高城という、名字は違えど実在する男性を演じたので、細部まで作り込んでおきたかったんです」
──作品と同じく、野村宏伸さん演じる中本さんは亡くなられたとか。
「凶弾に倒れたシーンもリアルに再現されています。高城役のモデルとなった人も、犯人から素手で銃を取り上げたそうです。撮影では使用した銃がリボルバー式で、シリンダーを押さえると発砲できなくなるので、そこだけは意識しました。あとは特に決めずに立ち回りをやらせて頂きました」
完成作を観る時が最高潮の苦痛…役者は苦難続きです
──抜群の運動神経が活かされていた立ち回りでした!「昔は運動神経が悪かったんです。小学生の時は走るのがものすごく遅くて、50メートル10秒弱でした。それでもスタントマンになりたくて上京したんですけど、事務所でも『運動神経が悪いからスタントの練習ではなく芝居をさせていろ』と言われて。それが悔しくて鍛え続けたら、誰よりも速く走れるし、 誰よりも高く飛べるようになりました。吐くほど辛い稽古を終えて家に帰る前に木を1万発蹴って、1ヶ月でどれぐらい木が削れるかを成果の証にしていた時期もありました。続けていたらいつの間にか、アクションを人に教えられるまでになったんです」
──努力の人であり、一点集中型!
「たぶん自分は、集中力が長所なんです。でも集中すると周りが何も見えなくなるので、長所がものすごい短所に変わってしまうこともあって(笑)柿崎監督からは『物事を平面的ではなく多面的に、かつ重層的に見ろ』とよく言われています」
──役者の仕事が好きだからこそ、努力できるということですか。
「個人的には、役者の仕事は全般的に苦痛が続くんです。お話を頂いた時から作り上げていく時の作業にはプレッシャーを感じますし、監督からOKを頂いてもまだ苦痛なんです。試写などで自分の芝居を観る時間が苦痛のピークで、『えっ、こんな芝居じゃダメでしょう!?』となる。今回は12年も一緒に仕事をしてきた監督と観たので非常に辛い…辛かったです…(笑)唯一、やっていて良かったと思える瞬間は、ほかの方からお褒めの言葉を頂いた時でしょうか」
──作品にちなんだ質問も。出合さんが守りたい存在は?
「日本の伝統と文化です。映画の撮影で半年間、海外へ行った時に感じました。日本人の彼女がいる男性に聞かれたんです。『英語ではなく、言葉が美しい日本語で彼女を褒めてあげたい。どんな言葉がいい?』と。出演した映画『47RONIN』という作品では、一時期京都に住んでいた監督に言われました。『アメリカナイズされた芝居は見たくない。日本人の奥底にある、日本人が日本人たる所以である芝居が見たいんだ』と。時代劇も日本にしかない文化ですし役者として表現しながら守って伝えていきたいですね。って、キレイすぎるコメントですかね?」
──(笑)素敵です!最後に映画の魅力を今一度ぜひ。
「実際に起きた出来事をかなりリアルに表現した作品なので、一般的なドラマや映画とは若干のズレがあるところを一番、ご覧頂きたいです。柿崎監督を社長の大崎役で筧(利夫)さんが演じていらっしゃいますが、中本さんが他界した後、警察官とのやりとりは現実ではさらにハードだったそうです。男たちが命をかけて依頼者を守った人間ドラマを劇場で体感して下さい」
INFORMATION
■映画『第二警備隊』
【INFO&STORY】
99年1月、警備会社エステック社長の大崎(筧利夫)は、学生時代の先輩小泉(芦川誠)からの依頼により精鋭チーム・第二警備隊を結成する。大恩寺の住職を務める小泉は、政治団体を標榜しながら、実態は指定暴力団・真政会の関連組織である護国大憂党からの嫌がらせに頭を悩ませていた。寺の利権を狙う護国大憂党から寺を守るため、隊長の高城(出合正幸)以下、中本(野村宏伸)、紅一点の佐野(竹島由夏)ら隊員たちの警護の日々が続くが、中本が凶弾に倒れてしまう…。柿崎ゆうじ監督が自ら経営する警備会社での実体験をもとに描いた衝撃作。
【CAST&STAFF】
出演/筧利夫・出合正幸・竹島由夏・久松信美・河合龍之介・芦川誠・橋本じゅん・柳憂怜・関根大学・伊藤つかさ・石橋保・前田耕陽・伊吹剛・麿赤兒・赤座美代子・出光元・野村宏伸
監督・脚本・エグゼクティブプロデューサー/柿崎ゆうじ
配給/カートエンターテイメント
公式HP
[東京]6月16日(土)より新宿武蔵野館、[大阪]6月30日(土)よりシネ・リーブル梅田にて全国公開
(C)2017 カートエンターテイメント
PROFILE
出合正幸(であい・まさゆき)
1981年1月21日生まれ 大阪府出身
近年の出演作に映画『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』『破裏拳ポリマー』『無限の住人』『大河巡る〜生まれ変わっても忘れない〜」、ドラマ「特捜9」「BG〜身辺警護人〜」「モブサイコ100」などがある。映画『ウスケボーイズ』は18年秋公開。
公式Twitter
■映画『第二警備隊』
【INFO&STORY】
99年1月、警備会社エステック社長の大崎(筧利夫)は、学生時代の先輩小泉(芦川誠)からの依頼により精鋭チーム・第二警備隊を結成する。大恩寺の住職を務める小泉は、政治団体を標榜しながら、実態は指定暴力団・真政会の関連組織である護国大憂党からの嫌がらせに頭を悩ませていた。寺の利権を狙う護国大憂党から寺を守るため、隊長の高城(出合正幸)以下、中本(野村宏伸)、紅一点の佐野(竹島由夏)ら隊員たちの警護の日々が続くが、中本が凶弾に倒れてしまう…。柿崎ゆうじ監督が自ら経営する警備会社での実体験をもとに描いた衝撃作。
【CAST&STAFF】
出演/筧利夫・出合正幸・竹島由夏・久松信美・河合龍之介・芦川誠・橋本じゅん・柳憂怜・関根大学・伊藤つかさ・石橋保・前田耕陽・伊吹剛・麿赤兒・赤座美代子・出光元・野村宏伸
監督・脚本・エグゼクティブプロデューサー/柿崎ゆうじ
配給/カートエンターテイメント
公式HP
[東京]6月16日(土)より新宿武蔵野館、[大阪]6月30日(土)よりシネ・リーブル梅田にて全国公開
(C)2017 カートエンターテイメント
PROFILE
出合正幸(であい・まさゆき)
1981年1月21日生まれ 大阪府出身
近年の出演作に映画『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』『破裏拳ポリマー』『無限の住人』『大河巡る〜生まれ変わっても忘れない〜」、ドラマ「特捜9」「BG〜身辺警護人〜」「モブサイコ100」などがある。映画『ウスケボーイズ』は18年秋公開。
公式Twitter
取材・文/内埜さくら 撮影/おおえき寿一