「古代から続く日本女性のしなやかな強さとしたたかさが描かれているので 今回の震災のことも含め、日本人は強いと再認識して頂きたいです」
第64回カンヌ国際映画祭に正式ノミネートされた、河瀬直美監督の最新作「朱花(はねづ)の月」が9月3日に公開決定! 万葉の地を舞台に人間ドラマを描いた話題作でヒロイン役を演じた大島葉子さんに、撮影裏話や見どころをトコトン語り尽くしていただきました!!
撮影中なのにやつれてしまい点滴を打って乗り切りました
──大島さんが主演した映画「朱花(はねづ)の月」が9月3日に公開ですね。主演が決まった時はどんなお気持ちでしたか。「私のデビュー作でもご一緒させていただいた、河瀬直美監督の映画へのこだわりは存じていましたが、今回は想像以上…。この作品に出させていただいたことで私、大概のことには耐えられる自信がつきました」
──その監督のこだわりとは、具体的に?
「役を『演じる』のではなく、加夜子に『なる』よう言われていて、加夜子として出てきたものを一発で拾いたかったらしくて、本番前のテストが一切、禁じられたんです。本番で少しでも演じようとすると、それがバレて撮り直し。精神的に乗り越えるべき点がいくつもあって、撮影中にもかかわらずどんどんやつれてしまい…点滴を5回も打つハメに陥りました(笑)。役になるべく、一人ぼっちで1ヶ月半、奈良県の飛鳥地方で暮らした月日も寂しかったですね。私、孤独が最も苦手なので」
──それは大変でしたね。
「と言いつつ、一人暮らしをしている期間に、私を心配してくれた近所の方々と一緒にしょっちゅう、ご飯を食べていましたけど。これは、河瀬監督には秘密です(笑)」
──あはは! 「朱花」とは赤を指しますが、ご自身で赤に思い入れは。
「赤は偶然、部屋のインテリアにポイント的に使っているんですよ。だから、馴染み深い色ですね、赤は」
映画で美しい風景を見て日本の強さを再認識してほしい!
──改めて、作品の見どころを教えて下さい。「この映画には持統天皇と万葉集がベースにあるんですけど、歴史や時代背景を知らなくても楽しめる内容です。映画を観て、奈良・飛鳥の美しい風景を目に焼きつけて下さい。あとは、古代から続く日本女性のしなやかな強さとしたたかさが描かれているので、今回の震災のことも含め、日本人は強いと再認識していただきたいです」
──本作で大島さんは、体当たりの濡れ場にも挑戦していますね。
「あの時は既に加夜子になっていたから、濡れ場は自然な流れでした。完成作を観たら、現場で見えていたほどすべてが映っていないのでホッとしましたけど。それよりも、もっと苦労した場面が…」
──というのは? それはどの場面ですか。
「自転車で走るシーンです。撮影現場に着いた初日に、2時間も自転車で山越えをしたんですよ。雨が降っている上に、自転車はママチャリ。バスケ経験者で体育会系の河瀬監督に、『私ができるんだから、あなたにも絶対できる!』と言われて、スポーツが得意じゃないのに自転車をこぎ続けました。おかげで体力にも自信がついたので、河瀬監督には感謝しきりですけどね(笑)」
自分の前世だと信じ続けてる遊女役をいつか演じてみたい
──今後も仕事が目白押しだと思いますが、今年も残り約4ヶ月。年内にプライベートで経験したいことは。「旅行ですね。年に一度は海外旅行へ行って、現実を忘れて自分を解放したいです。もちろん日本の神社仏閣も好きですけど、習っているスペイン語を本場で試したいという理由もあります」
──なるほど。では仕事の目標を。
「まずはこの映画をたくさんの方に観ていただいて、みなさんに映画ならではの美しい映像美と世界観を味わってほしいです。それからこれは昔からの夢ですけど、もし好きな役を演じさせていただけるなら、前世だと信じている遊女になってみたいですね」
INFORMATION
■映画『朱花(はねづ)の月』
【STORY&INFO】奈良県飛鳥地方。染色家の加夜子(大島葉子)と恋人の哲也(明川哲也)は、一緒に暮らしてから長い年月が経とうとしていた。しかし加夜子は、木工作家の拓未(こみずとうた)と、いつしか愛を育む関係となっていた。そんな生活が続いていたが、ある事実をきっかけに変化が生じてきて…。「殯(もがり)の森」で第60回カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリを受賞した河瀬直美監督が手掛けたヒューマンストーリー。2人の男女が祖父母の意思を受け継ぎ、古より代々伝わってきたある使命を果たそうとする姿を描く。
【CAST&STAFF】 出演/こみずとうた・大島葉子・明川哲也・麿赤兒・小水たいが・樹木希林・西川のりお・山口美也子
監督・脚本・撮影・編集/河瀬直美
原案/坂東眞砂子(「逢いはなくもあやし」集英社文庫刊)
配給/組画
公式HP
(C) 2011「朱花の月」製作委員会
PROFILE
大島葉子(おおしま・はこ)
T170 大阪府出身
高校時代よりモデルとして活躍。多くのファッション雑誌やショーに登場する傍ら、服飾デザイナーとしても活動する。99年、「新動物占い」の作家&キャラクターデザイナーとして8冊の単行本を発売、カリスマ的人気を得る。04年、河瀬直美監督の「影- Shadow-」に主演し、女優としての活動を始めた。以降、数多くの映画に出演。主な出演作に「トロピカルフィッシュ」「TORSO」「ヘヴンズ ストーリー」「DIRTY HEARTS」などがある。
公式HP
公式ブログ
■映画『朱花(はねづ)の月』
【STORY&INFO】奈良県飛鳥地方。染色家の加夜子(大島葉子)と恋人の哲也(明川哲也)は、一緒に暮らしてから長い年月が経とうとしていた。しかし加夜子は、木工作家の拓未(こみずとうた)と、いつしか愛を育む関係となっていた。そんな生活が続いていたが、ある事実をきっかけに変化が生じてきて…。「殯(もがり)の森」で第60回カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリを受賞した河瀬直美監督が手掛けたヒューマンストーリー。2人の男女が祖父母の意思を受け継ぎ、古より代々伝わってきたある使命を果たそうとする姿を描く。
【CAST&STAFF】 出演/こみずとうた・大島葉子・明川哲也・麿赤兒・小水たいが・樹木希林・西川のりお・山口美也子
監督・脚本・撮影・編集/河瀬直美
原案/坂東眞砂子(「逢いはなくもあやし」集英社文庫刊)
配給/組画
公式HP
(C) 2011「朱花の月」製作委員会
PROFILE
大島葉子(おおしま・はこ)
T170 大阪府出身
高校時代よりモデルとして活躍。多くのファッション雑誌やショーに登場する傍ら、服飾デザイナーとしても活動する。99年、「新動物占い」の作家&キャラクターデザイナーとして8冊の単行本を発売、カリスマ的人気を得る。04年、河瀬直美監督の「影- Shadow-」に主演し、女優としての活動を始めた。以降、数多くの映画に出演。主な出演作に「トロピカルフィッシュ」「TORSO」「ヘヴンズ ストーリー」「DIRTY HEARTS」などがある。
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取材・文/内埜さくら 撮影/おおえき寿一