中川「笑いあり涙ありのうえに、くも膜下出血に少し詳しくなれる作品です。脳さんが体当たりで演じた風俗シーンでは笑って下さい」
(脳)「暖房がない廃病院で芸人の水牛さんが噛みまくってNGを連発した時、裸のまま起き上がって水牛さんを睨みつけました(笑)」
風俗店で絶頂を迎えた瞬間にくも膜下出血を発症――。漫画家・中川学さんの実体験をベースにした作品『くも漫。』が実写化され、2月4日に劇場公開される。主役を演じた芸人・脳みそ夫さんと中川さんが語る、作品の裏話や見どころと、2人が考える人生観とは。 !
浜野謙太さんから僕と聞きどういう並びなのかと(笑)
──脳さんは映画初出演にして初主演ですが、決まった時の感想は?脳「思わずマネージャーに大声で『マジっすか!?』と聞き返したほど驚きました。その時、(前作で中川学を演じた)ハマケン(浜野謙太)さんから僕になったと聞いたので『すごい端折り方だな』という疑問も沸きましたけどね(笑)どういう並びなのかなと」
中川「でも僕は、脳さんに演じて頂いて本当によかったと思ってますよ。僕は漫画を描く時、昔から映画が好きなんで、ハリウッドの構成を参考に起承転結と盛り上げ方を考えるんですね。そして相手を批判するのではなく、自分がいかに情けないかを表現して笑いを取る。そのテイストに、愛嬌がある脳さんは適役でした」
──相手を批判しない手法は、脳さんのお笑いも同じですよね?
脳「そうですね。昔は人を傷つけまくってましたけど(笑)亡くなった方を翌日、ネタにした時によくないなと痛感して、人を喜ばせる方向にシフトしたんです」
──なるほど。では今回の役作りは。
脳「出演が決まった時、事務所の社長に指導を受けました。『映画は監督のものなので、アンタの意思とかどうでもいいから』と(笑)だから僕は自我を消して…と言うのは大げさかもしれませんけど、小林(稔昌)監督の指示通りに動くことを徹底しました」
死ぬのなら告白を(中川)酒を飲んで現実逃避(脳)
──お二人は本作で初対面とのことですが、もう仲良くなれましたか?脳「少なくとも僕はそう思ってます」
中川「僕だって思ってますよ(笑)」
脳「ビートたけしさんが好きという共通点も見つかりましたからね」
──では、連絡先の交換などは。
2人「してないです(取材陣爆笑)」
脳「僕ら文化系男子の特徴としてはいきなり交換するのは白々しいというか、徐々に仲良くなっていくほうがいいかな、というのがあるので」
中川「今はツイッター上で友だちです」
脳「そうそう、ツイッター上の(笑)たまに『いいね!』を押し合う仲です」
──本作は中川さんの実体験がベースですが、もし明日死ぬとしたら、しておきたいことはありますか。
中川「僕は独身なんで、好きな人に告白してから死にたいです」
脳「そう言われてもまだツッコミを入れられるほどの距離感じゃないんで困っちゃうなあ(笑)告るか迷ってるんですか?」
中川「そうそう」
脳「僕も独身なんですけど、明日死ぬということは、自分の子どもを見られないってことですよね?仕込んでも間に合わない(笑)だったらきっと、死ぬのは怖いだろうから酒を飲んで現実逃避しますね」
人からバカにされたくない気持ちを捨てると楽になる
──劇中で中川さんは仕事に迷いが生じてモヤモヤしますが、対処法は。中川「仕事選びに難航してる時って自分でやりたいことがある一方で、世間に嫌われたくない気持ちもあって、その狭間で迷うんですよ。過去、僕も同じ経験をしたので、漫画家を目指した時に『人にバカにされたくない』という気持ちを捨てました。バカにされてもいいから自分の好きなことをやろうと。他人の目を気にしなくなると、モヤモヤが解消されて仕事選びが楽になるんです。自分がやりたい仕事で人聞きがよく、責任を取らずに済む仕事なんてなかなかない。だからどれかを捨てれば、スムーズに進むんですよ」
脳「僕は今年37歳になるんですけど32歳ぐらいまで〝脳みそ〟と漫才をやってたんです。でも、東日本大震災が起こって『僕のやっている脳みそ漫才は意味があるのかな。誰も喜ばないし、慰問にも行けない』と分かってかなり悩みました。だから今の芸風に切り替えたんです。しかも年齢的なこともあって、35歳までに芽が出なかったら芸人を辞めたほうがいいとも感じていたので、震災以降は小さなことにも感謝する習慣を忘れないようになりました。自分のしてきたことが間違いだと知ってから、謙虚になりましたね」
──ありがとうございます。劇中でココを観てほしいというシーンは?
中川「笑いあり涙ありのうえに、くも膜下出血に関しても少し詳しくなれる作品です。後半は泣けるんですけど、前半の脳さんが体当たりで演じた風俗シーンでは笑って下さい」
脳「あの撮影、初日だった上に全体的に裸になるシーンが多くて寒かったんです。暖房がない長野にある廃病院で芸人の水牛さんが噛みまくってNGを連発した時は、さすがにイライラしました。監督が『コレで決めましょう』と言った瞬間、裸のままムクッと起き上がって水牛さんを睨みつけましたから(笑)実際、裸になってばかりで恥ずかしかったから積極的に観てほしいシーンって正直、個人的には…(笑)ただ映画自体は面白いのでぜひ観て下さい」
■映画『くも漫。』
INFO&STORY
長年にわたってニート生活を続けてきた29歳の中川学(脳みそ夫)は、父親の紹介で教育現場での職を得る。ある日、風俗店「オフィスっ娘♥倶楽部」を訪れた彼は、店のナンバーワン風俗嬢ゆのあ(柳英里紗)から最高のサービスを受けている最中に、くも膜下出血を発症してしまう。奇跡的に一命を取りとめた学は、風俗店で倒れたことが周囲にバレないよう悪戦苦闘するが……。風俗店で絶頂を迎えた瞬間にくも膜下出血を発症した男性を描いた実録コミック「くも漫。」の実写化。
CAST&STAFF
出演/脳みそ夫・柳英里紗・沖ちづる・板橋駿谷・坂田聡・立石涼子/平田満ら。
原作/中川学「くも漫。」(リイド社・トーチコミックス)
監督/小林稔昌
脚本/安部裕之
配給/トリプルアップ
公式HP
2月4日(土)新宿バルト9ほか公開
(C)クリエイティブネクサス
PROFILE
脳みそ夫(のう・みそお)1980年生まれ 千葉県出身
05年10月に初舞台。芸歴10年を経て15年、地上波テレビ初出演を果たしたタイタン所属のピン芸人。「OL聖徳太子」「ちびっ子石油王」「モーツァルトの給食当番」など一度見たらクセになる独特のキャラ、個性あふれるネタで活躍。本作で映画初出演にして初主演を飾った。
公式Twitter
中川学(なかがわ・まなぶ)1976年生まれ 北海道出身
大学卒業後、小中学校の臨時講師など様々なアルバイトを経験。11年、トキワ荘プロジェクトに応募して上京。デビュー作のコミックエッセイ『僕にはまだ友だちがいない』はNHK Eテレで実写ドラマ化(主演/浜野謙太)された。その後、『群馬県ブラジル町に住んでみた』『くも漫。』を発表し各方面で話題を呼ぶ。新作の『探さないでください』好評発売中。
公式ブログ
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INFO&STORY
長年にわたってニート生活を続けてきた29歳の中川学(脳みそ夫)は、父親の紹介で教育現場での職を得る。ある日、風俗店「オフィスっ娘♥倶楽部」を訪れた彼は、店のナンバーワン風俗嬢ゆのあ(柳英里紗)から最高のサービスを受けている最中に、くも膜下出血を発症してしまう。奇跡的に一命を取りとめた学は、風俗店で倒れたことが周囲にバレないよう悪戦苦闘するが……。風俗店で絶頂を迎えた瞬間にくも膜下出血を発症した男性を描いた実録コミック「くも漫。」の実写化。
CAST&STAFF
出演/脳みそ夫・柳英里紗・沖ちづる・板橋駿谷・坂田聡・立石涼子/平田満ら。
原作/中川学「くも漫。」(リイド社・トーチコミックス)
監督/小林稔昌
脚本/安部裕之
配給/トリプルアップ
公式HP
2月4日(土)新宿バルト9ほか公開
(C)クリエイティブネクサス
PROFILE
脳みそ夫(のう・みそお)1980年生まれ 千葉県出身
05年10月に初舞台。芸歴10年を経て15年、地上波テレビ初出演を果たしたタイタン所属のピン芸人。「OL聖徳太子」「ちびっ子石油王」「モーツァルトの給食当番」など一度見たらクセになる独特のキャラ、個性あふれるネタで活躍。本作で映画初出演にして初主演を飾った。
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中川学(なかがわ・まなぶ)1976年生まれ 北海道出身
大学卒業後、小中学校の臨時講師など様々なアルバイトを経験。11年、トキワ荘プロジェクトに応募して上京。デビュー作のコミックエッセイ『僕にはまだ友だちがいない』はNHK Eテレで実写ドラマ化(主演/浜野謙太)された。その後、『群馬県ブラジル町に住んでみた』『くも漫。』を発表し各方面で話題を呼ぶ。新作の『探さないでください』好評発売中。
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取材・文/内埜さくら 撮影/おおえき寿一