林「人って悩んだ時に『現状を変えなくちゃ』と思いがちですが『変わらなくてもいいこともある』と考え方を切り替えられるかもしれません」

栁「撮影が終わってから続編の話をしたんです。次は温泉旅行編だね。旅したいね。シリーズ化して延々と童貞道を続けるという（笑）」

前野「３人別々のシーンは泣けました。僕のように散財してしまうタイプは、カウパーから貯金をする大切さを学んでみてはいかがでしょうか？（笑）」

25歳にして童貞を脱出できない男たちの性春漫画『チェリーボーイズ』が遂に映画化。東京での音楽活動が上手くいかない見栄っ張りな“クンニ”こと国森信一を演じた林遣都さん、乳首にコンプレックスを持つイケメン公務員“ビーチク”こと吉村達也を演じた栁俊太郎さん、典型的なオタク気質の“カウパー”こと高杉誠を演じた前野朋哉さんが取材陣を爆笑の渦に巻き込みながら撮影の裏エピソードと作品への熱〜い思いを語る！
──タイトルがインパクト大の作品ですが、オファーが来た時の感想は。
林「僕が演じた国森信一のあだ名はクンニ。栁さんが演じた吉村達也はビーチクで、前野さんが演じた高杉誠はカウパー。あまりにもハードルが高いので（笑）覚悟を持って演じなければと思いました。ただ原作者の古泉智浩さんの作品は、何作か映画化されていることを知っていたんです。だから『一度はこの世界に飛び込んでみたい』と思っていました」

栁「僕はまず役名にヤラれました。でも若いうちに童貞モノに出てみたいと思っていましたし『今回を逃したらもう二度とこんな役は演じられないだろうな』とも感じました」

前野「台本の途中に〝レイプ〟というワードが出てくるんです。人としてマズい作品だなとは思いましたが、分からない部分が多いからこそ演ってみたいなと。僕ら３人も実際にあのシーンが一番、苦労しましたし」

林＆栁「でしたね〜（笑）」

──３人とも役柄通り〝童貞臭〟が出ていましたが、役作りの方法は。
林「原作を読んで『コイツは童貞に見えない』と思われたらすべてが終わりだなと思っていたので、試行錯誤しました。１日中鏡を見ている日もありましたし、西海（謙一郎）監督に相談した時は、自分の経験や共感できる部分をすべてさらけ出してお話させて頂きました」

──共感できた部分とは？
林「恋愛観とか女性に対する思いとか、マニアックな部分ですかね」

栁「ビーチクは格好いいのに童貞という、こじれた男なんです。今思い出しても恥ずかしい…。西海監督とは乳首で自慰行為をするとどうなるのかをすごく熱く語った覚えがあります（笑）『すごく切なくなるみたいですよ』『そうかも！』みたいな話ばかりを（林さん、前野さん＆取材陣大爆笑）」

前野「僕は…撮影中はなるべく、そういう行為はしないようにしようとは心に決めていました（笑）」

──完成作を観た感想は。
栁「純粋に愛おしい映画だと思いました。パンフレットに書かれている〝青春バイオレンスエロサスペンス作品〟という言葉は、僕が言ったのではなく前野君ですが」

前野「えっ嘘！全然覚えてない」

栁「僕が拝借したんです」

林「確かにすべての要素が含まれている言葉ですね。僕もこの作品が純粋に大好きで、ここまで大好きになることができたのは２人のおかげ。完成作品を観た時はその思いがあふれて２人にメールしてしまいました」

前野「泣けたのが、３人別々のシーンです。各々が闘っている姿を観たらこみ上げてきちゃって…」

林「個別のシーンは完成作品で初めて観ることができました」

前野「クンニはヤバいスレスレのところまでいっちゃってますし、ビーチクはボコボコにされてますし」

──３人が各自闘っている姿になぞらえて、みなさんがスランプに陥った時の対処法も教えて下さい。
林「年齢を重ねるたびに考え方は変わっていきますが、理想の人間像が最近出来上がりつつあるんです。明るさが基本。あとは他人に責任をなすりつけない、人の悪口を言わない、人のためを思って生きているような映画の３人とは真逆の人間が理想なんです（笑）そこを目標にすると悩まなくなります」

栁「作品に掛け合わせるわけではありませんが、僕は『もともと大したことないくせに思い上がるな』と自分を叱咤するようにしています。昔を思い出したらちゃんとしたヤツじゃなかったんだから、開き直って楽しい方向を目指すというか」

前野「僕はやりたいことにかまけてすぐ、大事なことを後回しにしてしまうクセがあるんです。それを仲がいい友達がこまめに指摘してくれるので、無理をしてでも時間を作って会うようにしています。やはり一緒に闘っている同士の言葉は胸に響くものがあるので」

──有難うございます。改めて作品の魅力は？と聞かれたら。
林「エロとコメディーだけではなくて、僕も刺さったところが多かったんです。最後は３人とも大して変化していないのですが、そこがこの作品の素敵なところかと。人って悩んだ時に『現状を変えなくちゃ。自分が変わらなければ』と思いがちですが、変わるのは難しいですよね。でも映画を観たら『変わらなくてもいいこともある』と考え方を切り替えられるかもしれません」

栁「撮影が終わってから続編の話をしたんです。次は温泉旅行編だね。旅したいね。シリーズ化して…」

前野「熱海に行ってコンパニオンを呼びたいねって（笑）」

栁「そして延々と童貞道を続けるという（笑）ビーチクは公務員なので劇中のような事件を起こしたら大変なことになりますが、一歩踏み外す勇気をもらえるかもしれません。あそこまで踏み外すことは絶対にオススメできませんが（笑）」

前野「カウパーはバイトをしているんですけど、結構いい車に乗っているんです。僕の見立てではコツコツと貯金したはいいものの、使い道が分からなくて無駄に車だけグレードが高いのではないかと」

林「最後に土下座して『お金ならいくらでも払います！』と言うんです。すごく説得力がありますよね」

前野「そういう彼が僕は好きなんです。僕のように散財してしまうタイプは、 カウパーから貯金をする大切さを学んでみてはいかがでしょうか（笑）」