「テーマで敬遠しちゃう方もたくさんいると思いますけど体を張った体当たりの演技を見てもほしいです」 (大谷澪)
「私自身、お芝居をしてる感覚があんまりなかったんで撮影中は感情移入しちゃって、ドキドキしてました」 (花井瑠美)
竹中直人監督による『自縄自縛の私』に続く「女による女のためのR-18文学賞」からの映画化第2弾となる『ジェリー・フィッシュ』が、8月31日からいよいよ公開される。そこで今回は、痛く、儚い、まさにジェリーフィッシュ(=クラゲ)のような女子高生同士の繊細な恋模様を演じた大谷澪さん、花井瑠美さんの二人にインタビュー。一糸まとわぬ大胆なラブシーンにも果敢に挑んだその女優魂に迫ってみた!!ー。一糸まとわぬ大胆なラブシーンにも果敢に挑んだその女優魂に迫ってみた!!
若手らしからぬ肝っ玉で魅せる二人の新進女優
──お二人とも、なかなかの脱ぎっぷりなわけですが、演じるにあたって躊躇などは?大谷「それが特になかったんですよ。夕紀も叶子もすごく魅力的な人物だったから、台本を読んだ時点で、純粋にこの作品の一部になれたらいいなって」
花井「私の場合は、オーディションに応募するのも初めてで、とにかく受けてみようって感じだったから、受かったことにまず感謝でしたね。当時は事務所にすら入ってなくて、宣材写真もプロフィールも全部、自分で用意して…っていう状態だったんで(笑)」
──撮影は去年の今ごろだったとか。現場は大変でした?
大谷「全部で2週間強しかなくて特に最終日は叶子の部屋のシーンをまとめて撮るって感じだったんで、カラミもあったし27時間ぐらいずっと撮りっぱなしでしたね。私のほうはそれまでにピークを越えていたからよかったけど、出ずっぱりだった瑠美ちゃんは、すごく大変だったんじゃないかな」
花井「確かに(笑)。でも、逆にそれがよかったんじゃないかなと今は思いますね。余計なことを考えてるヒマもなく集中してできたって意味で」
──大谷さんは花井さんより4歳も年下ですが、女優としては先輩。お二人の関係性は?
花井「澪ちゃんはすっごくしっかりしてるんで…。分からないなりにこういうふうに演じようとかいろいろ考えて現場には行ってたんですけど、演技のセオリーみたいなものをまったく知らないから、澪ちゃんには『自由すぎる』ってよく言われてましたしね」
大谷「ホントに自由なんで、予測がつかないんですよ(笑)。本番でリハと全然違う動きをしてくることも普通にあるから、これは固定観念にとらわれてたら成立しないなって。だから、叶子とのシーンは、なるべくあれこれ考えないようにして演じるようにしてました」
──監督からも特になにも?
大谷「こっちが『なんかないですか?』と聞きたくなっちゃうくらい、私たちの作りだすものを信用して、全部、任せてくれてたんで、それはありがたかったですね」
花井「そうだね。気持ちが高まりすぎて、私がつい台本になかったセリフを言っちゃった時も『それ、いいね』ってそのまま採用してくれたり」
ただ相手が女性なだけで同性愛も“自然なこと”…
──ところで、やはりラブシーンは同性でもドキドキします?花井「してましたねぇ(笑)。叶子を演じてるってことはもちろんインプットされてるんですけど、澪ちゃんが引っぱってくれたおかげで、私自身あんまりお芝居をしているっていう感覚がなかったんですね。だから、カメラが回ってる時はもう完全に感情移入しちゃって」
大谷「私は逆にオン・オフの区別がしやすかったかな。瑠美ちゃんが自由すぎて(笑)。最初は役に入りこみすぎて好きになったりするのかなぁ、とかってちょっと心配もしてたんですけど、カットがかかると、意外と自然に素に戻れてましたし」
──同性を好きになるという感情には共感する部分も?
大谷「女のコのことを『かわいいなぁ』って思うことはたくさんあるけど、それ以上の一線を越える一歩ってやっぱりすごく大きい。そういう強さは自分にはないなと思いますね」
花井「私も未知の世界ではあったけど、ずっと新体操をやってきたこともあって、そういうコたちはわりと身近にいたんです。だから、今回叶子を演じてみて当時のことがリンクしたっていうか、それもアリだなって素直に思うことができた。本人たちにとっては、好きになったのがたまたま女のコだったってだけで、実はごく普通なことなんですよね」
──同性愛はまだまだ日本ではタブー視されているテーマでもありますが、それぞれの作品に対する想いをお願いします!
大谷「テーマがちょっと重たいだけに敬遠しちゃう方もたくさんいると思うんですけど、二人の間にあるのは、異性の恋人に抱くいろんな感情とまったく同じだし、共感してもらえる部分もたくさんある。だから、私たちのハダカ目当てでもなんでもいいので、一度観に来てもらえればなと思います」
花井「見方によっては、敷かれたレールに乗っかるしかない不自由な今の世の中に、夢を与えてくれる映画でもあると思うんです。男のコとも肉体関係をもっちゃう叶子は物語をかきまわす存在だけど、彼女はあくまでも自分の欲求に素直なだけ。それだけ自由に生きているってことでもありますからね」
自分の名前が最初に出るエンドロールはやみつきです
──ちなみに、お二人は今後女優としてどうなっていこうと?花井「私にとってはこの作品がスタートだし、これからが日々勉強。将来的には、いい意味でうまくないっていうか、芝居に見えないくらいの自然な会話や存在感を出せる女優さんになっていきたいです」
大谷「私はやっぱり芝居が好きだし、テレビはもちろん映画にもどんどんチャレンジしていきたい。難しい役を自分なりに楽しめるようになって、その上でだんだん反省点が少なくなっていけばいいなと思います。あと今回初めて主演をさせて頂いて、エンドロールで自分の名前が一番最初に出て、そのあとに数えきれないくらい多くのキャストやスタッフさんの名前が流れていく光景に、すごく感動しちゃって…。もうやみつきになっちゃいそうですよ(笑)」
──次の主演作も期待してます。ありがとうございました!
INFORMATION
■映画『ジェリー・フィッシュ』
INFO
出演クラスの中で浮いている孤独な女子高生・宮下夕紀(大谷澪)は、水族館のクラゲの水槽の前で同じクラスの篠原叶子(花井瑠美)に声をかけられ、唇を重ねる。そのことをきっかけに2人はひかれあい、夕紀にとって叶子の存在はかけがえのないものになっていく。しかし、叶子はそんな夕紀の思いを知りながらも、クラスメイトの男子からの告白を受け入れ、男との関係にのめり込んでいく…。新潮社の「女による女のためのR-18文学賞」受賞関連作を映画化していく「R-18文学賞」シリーズの第2弾。雛倉さりえが16歳の時に執筆し、第11回の同文学賞で最終候補に残った小説を、金子修介監督のメガホンで映画化した。
CAST&STAFF
出演/大谷澪・花井瑠美・川田広樹(ガレッジセール)・川村亮介・柿本光太郎・千大佑・りょう・清水真緒・仲田つばさ・桑名里瑛・山下春花・野見隆明・松林慎司・中村映里子・奥菜恵・秋本奈緒美・竹中直人
監督/金子修介
原作/雛倉さりえ『ジェリー・フィッシュ』(新潮社刊)
脚本/高橋美幸
配給/よしもとクリエイティブ・エージェンシー
公式HP 8月31日(土)シネマート六本木ほか全国順次ロードショー
(C)2013「ジェリー・フィッシュ」製作委員会
PROFILE
大谷澪(おおたに・みお)
1992年7月13日生まれ 大阪府出身
「ミスマガジン2008」で審査員特別賞を受賞。フジテレビ系「めざましテレビ」のいまドキ★ムスメで人気を博し、現在は主に女優として活動。主な出演作は「おひとりさま」「熱いぞ!猫ヶ谷!!」「方言彼女。0」など。映画は「アバター」「FASHION STORY~Model~」に出演。公開待機作に「ソウル・フラワー・トレイン」(8月31日公開)「僕は友達が少ない」などがある。
公式HP
公式Twitter
PROFILE
花井瑠美(はない・るみ)
1988年9月30日生まれ 東京都出身
元新体操選手。3歳から始め18年間で数々の大会に出場し、全日本チャンピオンのタイトルを2度獲得するなど輝かしい実績を残す。ケガのため21歳で引退後、10年に芸能界入り。11年9月の神戸コレクションのワンライフモデルオーディションで審査員特別賞を受賞するなどモデルとして活躍。同作の映画初主演で女優デビューを飾り、大胆な濡れ場シーンが話題になっている。
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■映画『ジェリー・フィッシュ』
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出演クラスの中で浮いている孤独な女子高生・宮下夕紀(大谷澪)は、水族館のクラゲの水槽の前で同じクラスの篠原叶子(花井瑠美)に声をかけられ、唇を重ねる。そのことをきっかけに2人はひかれあい、夕紀にとって叶子の存在はかけがえのないものになっていく。しかし、叶子はそんな夕紀の思いを知りながらも、クラスメイトの男子からの告白を受け入れ、男との関係にのめり込んでいく…。新潮社の「女による女のためのR-18文学賞」受賞関連作を映画化していく「R-18文学賞」シリーズの第2弾。雛倉さりえが16歳の時に執筆し、第11回の同文学賞で最終候補に残った小説を、金子修介監督のメガホンで映画化した。
CAST&STAFF
出演/大谷澪・花井瑠美・川田広樹(ガレッジセール)・川村亮介・柿本光太郎・千大佑・りょう・清水真緒・仲田つばさ・桑名里瑛・山下春花・野見隆明・松林慎司・中村映里子・奥菜恵・秋本奈緒美・竹中直人
監督/金子修介
原作/雛倉さりえ『ジェリー・フィッシュ』(新潮社刊)
脚本/高橋美幸
配給/よしもとクリエイティブ・エージェンシー
公式HP 8月31日(土)シネマート六本木ほか全国順次ロードショー
(C)2013「ジェリー・フィッシュ」製作委員会
PROFILE
大谷澪(おおたに・みお)
1992年7月13日生まれ 大阪府出身
「ミスマガジン2008」で審査員特別賞を受賞。フジテレビ系「めざましテレビ」のいまドキ★ムスメで人気を博し、現在は主に女優として活動。主な出演作は「おひとりさま」「熱いぞ!猫ヶ谷!!」「方言彼女。0」など。映画は「アバター」「FASHION STORY~Model~」に出演。公開待機作に「ソウル・フラワー・トレイン」(8月31日公開)「僕は友達が少ない」などがある。
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花井瑠美(はない・るみ)
1988年9月30日生まれ 東京都出身
元新体操選手。3歳から始め18年間で数々の大会に出場し、全日本チャンピオンのタイトルを2度獲得するなど輝かしい実績を残す。ケガのため21歳で引退後、10年に芸能界入り。11年9月の神戸コレクションのワンライフモデルオーディションで審査員特別賞を受賞するなどモデルとして活躍。同作の映画初主演で女優デビューを飾り、大胆な濡れ場シーンが話題になっている。
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Interview&Text/鈴木長月 Photo/おおえき寿一