衝撃作「ファザーファッカー」主演でデビュー、キャリア10年以上、出演作は20本近くになる邦画ファンを魅了する実力派女優の中村麻美が初めて挑んだ“癒し系”ラブ&ドッグムービー。「こういう作品が巡ってきたのは、新しい何かが生まれたのかな」と微笑む彼女に迫る!!
凌とペスのロードムービーは柔らかくて心地良い作品です
──完成披露試写会の舞台あいさつでは、どんなお話しをされたんですか。「当日はフレンチブルドッグのペスも来ていたので、裏に回って彼の声もやりつつ、見どころを話しました。主人公の凌を演じた阿部クンがタイミング良くペスを揺らして、しゃべっているように演出してくれて」
──作品に関するお客さんの反応はどうでしたか?
「ありがとう! 良かったです! そのひと言、ひと言がうれしかったですね。伝わってる、通じてるって。劇中ではペスの声も担当したんですが、上映前は笑ってくれるかな、と心配だったけどちゃんと笑いが起きて助かりました(笑)」
──作品を見たのは、その時が初めてですか。
「前日まで声入れしてましたし(笑)。アフレコをやったので作品の流れは分かってましたが、通して見たのは初めてでした」
──映画「イヌゴエ 幸せの肉球」を中村さんはどんな作品だと紹介しますか。
「阿部クンとペスの表情がいいんです。コンパクトだけどスピード感があるし、小さな感動がいっぱいある、タイトルにもあるけど、肉球のように柔らかくて心地良い作品です」
──完成披露試写の直前まで声入れ、出演初日もつい最近とすごいスケジュール(笑)。それに、いきなりラストシーンの撮影だったと伺いましたが、難しさは。
「涼子の写真が何枚か劇中に登場するんですが、初日前にスタジオで撮影をして。その時に横井監督から役柄についてお話しがありました。それがなくてテスト、本番だったら苦労したと思います」
──当日はどんな感じだったんですか。
「気弱で頼りないダメ男の凌が意を決して涼子に想いを伝える感動シーンだから、涙もアリかなと私は思ったんですけど、それがあっさり演出で。ちょっと拍子抜けしたけど、新鮮だったし、作品を見たら良かったんですよ。涙、涙のエンディングじゃないけど見ている人に余韻と考える時間を与えるような感じで」
初めての声優は岐阜弁が難しくてタイミングにも苦労した
──監督からの具体的な指示とかは?「このシーンに関しては『日常を描きたいから』って。サラッとしていていいんだって。他も密なやり取りはなく、感覚を大事に演じました。やっていくうちに何となく、お互いが言わなくても分かるでしょという空気感が芽生えてきたので…」
──主人公の元彼女、吉田涼子という役について、中村さんはどんな女性だと。
「気が強くて、ハッキリした性格。我も強いと思います。あと母性も強い女性でしょうね。だって、彼女の誕生日を1日ぐらい間違えても許せるけど、同棲してて彼女の実家がどこかさえ知らないダメ彼氏に長年、付き合ってきたんですから(笑)」
──声優は初めてなんですか。あの強烈なのは名古屋弁?
「初めてです。監督の出身地の岐阜弁で、正直、岐阜弁と言われてもピンとこないし、とにかく難しかったですね。京都っぽい、今度は大阪、名古屋のニュアンスになっているとダメ出し連発で」
──しかも合わせるのは可愛いワンちゃんだし。
「そうなんですよ、自分自身が動くなら間とか間隔とか分かるけどタイミングが。でも正解がないことに気づいて、自分では『このタイミングが正解!』と決める必要がないんだと。お客さんに判断を委ねて、監督と話し合いながら頑張りました」
──その大切な共演者、ペスのエピソードを教えてください。
「生後4、5カ月ですからもう自由奔放、餌で釣って何とか。初めて会った時に衣裳にフンをされて、みんなで『運がついたね』って盛り上がったこともありました(笑)。分かっているのかいないのか、でも最後まで付いてきてくれました。スタッフ、キャストみんな犬好きで、阿部クンも私も犬を飼っていて。うちのはパグとパピヨンのハーフで成犬、名前はアリです」
──最後に、凌はありえないくらいのダメっぷりですが、こんな男「性に付いていけますか?
ありえないですよね(笑)。男性を陰で支えたいのに、逆に大黒柱状態じゃ荷が重いし気分がいいものじゃない(笑)。私は選ばないですね」
──では、中村さんが選ぶ男性は。
「人として、時に揺らいでも構わないから芯のある男性にひかれます。自分を信じられる強さを持った。阿部クン演じる凌は、最後は頑張ったけど揺らぎっぱなしで」
INFORMATION
■イヌゴエ 幸せの肉球
INFO&STORY
いつまでたっても頼りない凌(阿部力)が、恋人の涼子(中村麻美)を怒らせてしまったところから始まります。一緒に住んでいた部屋から出て行ってしまい、落ち込む凌はペットショップで、涼子の声をしゃべるイヌのペスと出会う。その声に促されるように、彼女の行方を探すことを決意したが…。
CAST&STAFF
監督/横井健司
脚本/山本浩司・横井健司
出演/阿部力・ペス・中村麻美・伴杏里・大下源一郎・霧島れいか・山本浩司・温水洋一
配給/バイオタイド 渋谷シネ・ラ・セット、横浜シネマ・ジャック&ベティで公開中
PROFILE
中村麻美(なかむら・まみ)
1979年1月14日生まれ
神奈川県出身
95年に荒戸源次郎監督の「ファザーファッカー」のオーディションで4000人の中から主演に選ばれ、女優デビュー。以後、映画、テレビ、CMと幅広く活躍。
「富江」「東京ゴミ女」「白い船」「せかいのおわり」など映画主演作では常に強烈な印象を残す一方、「クロネコヤマトの宅急便」「クリアクリーン」などのCMでの好感度も高い。
公開待機作に「うん、何?UN-NAN?~やまたのおろち伝説~」「檸檬のころ」がある」
■イヌゴエ 幸せの肉球
INFO&STORY
いつまでたっても頼りない凌(阿部力)が、恋人の涼子(中村麻美)を怒らせてしまったところから始まります。一緒に住んでいた部屋から出て行ってしまい、落ち込む凌はペットショップで、涼子の声をしゃべるイヌのペスと出会う。その声に促されるように、彼女の行方を探すことを決意したが…。
CAST&STAFF
監督/横井健司
脚本/山本浩司・横井健司
出演/阿部力・ペス・中村麻美・伴杏里・大下源一郎・霧島れいか・山本浩司・温水洋一
配給/バイオタイド 渋谷シネ・ラ・セット、横浜シネマ・ジャック&ベティで公開中
PROFILE
中村麻美(なかむら・まみ)
1979年1月14日生まれ
神奈川県出身
95年に荒戸源次郎監督の「ファザーファッカー」のオーディションで4000人の中から主演に選ばれ、女優デビュー。以後、映画、テレビ、CMと幅広く活躍。
「富江」「東京ゴミ女」「白い船」「せかいのおわり」など映画主演作では常に強烈な印象を残す一方、「クロネコヤマトの宅急便」「クリアクリーン」などのCMでの好感度も高い。
公開待機作に「うん、何?UN-NAN?~やまたのおろち伝説~」「檸檬のころ」がある」
撮影◎谷口達郎 取材・文◎椎葉 泉