映画界に大物新人が登場!「最後の1ページまで切ない…」と絶賛された人気小説家・森沢明夫氏原作『きらきら眼鏡』が実写化され、9月15日より全国順次公開。本作で本格的な映画デビューを果たした俳優金井浩人さんが高校時代に恋人を亡くし心を閉ざしたまま生きる立花明海という難役を見事に演じきっている。共演した大滝あかね役の池脇千鶴さん、木場裕二役を演じた安藤政信さんにも引けを取らない芝居をするためにした準備とは。作品の見どころとプライベートも聞いた。
役作りのため勝浦に10日間程バイトで住み込みましたが…
──最初に、俳優を目指した動機を教えて頂けますか。「高校時代に映画が好きになり、漠然と『将来は俳優に限らず映画に関わる仕事をしたい』と思うようになったんです。父に相談したら『それなら大学へ行く必要はない』と言われ、高校を卒業後は上京資金を貯めるためフリーターになりました。1年目は、結婚式を行える規模のレストラン。2年目は郵便局の中の人。バイトをしていた18歳の時、大林宣彦監督が僕の地元(新潟県)に映画の撮影にいらっしゃったんです。ボランティアスタッフ募集の記事を見つけて応募したのですが、バイトで日程が合わず参加できなくて。そうしたら後日、スタッフさんから電話が掛かってきて『キャストで出てみませんか?』とお声掛け頂いたんです(12年公開の映画『この空の花 長岡花火物語』で金井さんのデビュー作)。短い時間ではありましたがひとつの作品を作るみなさんの姿に感動し、資金が貯まった20歳の時に東京に出てきました」
──では、本作の主演に抜擢された時は嬉しかったのでは。
「犬童(一利)監督とプロデューサーの方に深夜、新宿の居酒屋に呼び出されて話を聞いた時、全く思いもよらないことだったので、嬉しいという感情もよく分からないまま頭が真っ白になりました。それ以前にも監督とは何回か居酒屋で呑みながら、自分自身の今までの恋愛歴や家族のことを沢山話していました。かなりグイグイ、突っ込まれて深い部分まで聞かれたので」
──役作りでは千葉・勝浦に10日間住み込む力の入れようだったとか。
「飲食店にバイトとして住み込みました。当初はランチタイムだけ働き、午後は自転車で街を散策する予定だったんです。ですが人気店でディナータイムも働くことになり、完全にフルタイムのバイト生活を送ってしまいました(笑)お金は貯まりましたし、夜中に街の散策はできましたけど」
単に希望だけを提示せず辛さを省いていないのが魅力です
──事故で恋人を亡くした、立花明海の役作りはどのように?「大切な人がいなくなる経験は明海にとって過去の出来事ですが、乗り越えることはできていません。だからこそ僕は、彼の抱えているものを忘れず、想わない日はありませんでした。明海は池脇千鶴さんが演じた大滝あかねと出会って少しずつ心を開いていきますが、あの芝居は池脇さんの佇まいや芝居があってこそだと感謝しています」
──明海とあかねの関係は、絶妙なバランスでした。
「僕、明海とあかねがアンデルセン公園で別れる時の池脇さんの表情が一番好きなんです。ご覧になる方によって捉え方が違うと思うので」
──作品になぞらえた質問も。最近“きらきら”した出来事は。
「休日に昼から酒を飲みながら映画を観ている時…って、全くきらきらしていませんね(笑)休日って何をしていいか分からないんです。映画の撮影現場にいることが一番の幸せで、心身ともに安定します」
──根っからの映画人なんですね。最後に金井さんが思う本作の魅力を教えて下さい。
「人と人とのつながりが繊細に描かれていて、人は人によってしか成長できないし新たな価値観も得られないと思わせてくれる作品だと思います。起伏がなく静かに進むので、今の映画に慣れている人にはウケづらいかもしれないと不安ですが、単純に希望を提示せず辛さを省略していない部分がこの映画の一番の魅力だと思っています」
INFORMATION
■映画『きらきら眼鏡』
INFO&STORY
高校時代の恋人の死後、周りに心を閉ざしたまま駅係員の仕事でやり過ごすように日々を送る立花明海(金井浩人)。ある非番の日、普段は手にしない自己啓発本を古書店で購入すると、その本には栞代わりに元の持ち主の名刺が挟み込んであり、すでに線が引かれたある文章に、明海の心は動かされた。気になった明海は名刺の「大滝あかね」(池脇千鶴)に思い切って連絡をとるが……。「夏美のホタル」「ふしぎな岬の物語」など著作の映画化が続く森沢明夫氏の同名小説を原作に、恋人の死を乗り越えられず苦しむ青年の成長を描く人間ドラマ。
CAST&STAFF
出演/金井浩人・池脇千鶴・古畑星夏・杉野遥亮・片山萌美・志田彩良・安藤政信ら
原作/森沢明夫「きらきら眼鏡」(双葉文庫) 監督/犬童一利 脚本/守口悠介
配給/S・D・P
公式HP
9月7日(金)TOHOシネマズららぽーと船橋にて先行公開、9月15日(土)有楽町スバル座ほか全国順次公開
(C)森沢明夫/双葉社 (C)2018「きらきら眼鏡」製作委員会
PROFILE
金井浩人(かない・ひろと)
1992年5月12日生まれ 新潟県出身
12年に『この空の花 長岡花火物語』(大林宣彦監督)で銀幕デビュー。その後もショートフィルムや舞台などに出演が相次ぎ、高い演技力に注目が集まる。本作で本格的な映画デビュー。公開待機作に『嵐電』(鈴木卓爾監督)がある。
公式HP
■映画『きらきら眼鏡』
INFO&STORY
高校時代の恋人の死後、周りに心を閉ざしたまま駅係員の仕事でやり過ごすように日々を送る立花明海(金井浩人)。ある非番の日、普段は手にしない自己啓発本を古書店で購入すると、その本には栞代わりに元の持ち主の名刺が挟み込んであり、すでに線が引かれたある文章に、明海の心は動かされた。気になった明海は名刺の「大滝あかね」(池脇千鶴)に思い切って連絡をとるが……。「夏美のホタル」「ふしぎな岬の物語」など著作の映画化が続く森沢明夫氏の同名小説を原作に、恋人の死を乗り越えられず苦しむ青年の成長を描く人間ドラマ。
CAST&STAFF
出演/金井浩人・池脇千鶴・古畑星夏・杉野遥亮・片山萌美・志田彩良・安藤政信ら
原作/森沢明夫「きらきら眼鏡」(双葉文庫) 監督/犬童一利 脚本/守口悠介
配給/S・D・P
公式HP
9月7日(金)TOHOシネマズららぽーと船橋にて先行公開、9月15日(土)有楽町スバル座ほか全国順次公開
(C)森沢明夫/双葉社 (C)2018「きらきら眼鏡」製作委員会
PROFILE
金井浩人(かない・ひろと)
1992年5月12日生まれ 新潟県出身
12年に『この空の花 長岡花火物語』(大林宣彦監督)で銀幕デビュー。その後もショートフィルムや舞台などに出演が相次ぎ、高い演技力に注目が集まる。本作で本格的な映画デビュー。公開待機作に『嵐電』(鈴木卓爾監督)がある。
公式HP
取材・文◎内埜さくら