女優としての活動だけではなく早稲田大学映像学科で学び、映画監督としても評価が高い才女小川紗良さんが主演を務めた映画『聖なるもの』が公開。4年に一度現れる幽霊を被写体に撮った映画は必ず大傑作になるという映画の魅力や監督としての話を伺いました。
煩悩が流される滝行のはずが痛すぎて邪念が増えた気が…
──本作の主演に選ばれた経緯は?「岩切一空監督は、もともと私が所属する早稲田大学の映像学部と映画サークルの先輩なんです。仲がよくもあるので『出てくれない?』と聞かれた時に快諾した感じです」
──では役作りに関する相談などもしやすかったのでは。
「それが、私が演じた小川は監督の後輩で映画を撮るという、実際の設定とほぼ同じなんです。キャラクターもアテガキというか素のままの私を書いてくれていたので、撮影中は演じているという感覚をほぼ味わいませんでした。だから役作りというよりは、どのぐらい素の私でいいかを相談しました」
──出演されている岩切監督ご自身も頑張っていますよね。
「監督ご自身が登場人物の中で一番、身体を張っていたことが私も最も印象深かったです。黒塗りになって爆発したり転んだり。だから現場では『自分も身体を張らなければ』みたいな空気が出来上がっていました」
──小川さん、滝行に挑戦されてましたがいかがでしたか?
「最初の脚本にはなかったんですが、『私も滝ぐらい打たれておかないと』と思い行ってきました。初めてでしたし、もう二度と経験できないかもと思ったら少し楽しみにもなったんです。ところが打たれている時はすごく痛くて。怪我はしないんですけど、物語の中の小川と同じように『今、私はなぜ滝に打たれているんだろう?』という気持ちになりました。滝行は煩悩が洗い流されると言われていますけど、逆に邪念が増えてしまった気が…」
──あはは!映画で好きなシーンも教えて頂けますか。
「いっぱいあるんですけど、特撮のシーンはすごいなと思います。美しい上に迫力があるから素直に感動しました」
あらゆるカルチャーの融合作どこか刺さる場面があります
──劇中に「いい映画を作りたければ、まず自分の生活を撮れ」というセリフがあります。映画監督として共感できますか?「分かります。映画には監督の人間性や生活、人間関係がすべて反映されると思うんです。私も映画を撮る時は、過去の出来事を徹底的に掘り起こしたり、周りの人を改めて観察するので」
──大学では是枝裕和監督の門下生ですが、学んだ点は。
「1年から3年すべて是枝監督の元で学ばせて頂きましたが、監督の映像を制作する力や人を巻き込む力、映画に対する姿勢という“是枝監督的な芯”が、自分の中でできた気がしています。何度か撮影の現場を見学させて頂いたんですけど、スタッフさん1人1人の力を100%吸収しながら引き出すことにすごく長けているんです。スタッフさんを束ねるチームワーク力を見て、こういう現場を目標にできたらいいなと思うようになりました」
──では是枝監督から学んだ上で映画を作る醍醐味は何ですか。
「撮影中は大変なことが多いんですが上映されて誰かに届いた瞬間にそれまでの苦労がどうでもよくなるんです。誰かに届く瞬間の感動を味わいたくて、撮り続けているんだと思います」
──有難うございます。改めて『聖なるもの』の魅力は?と聞かれたら。
「岩切監督はかなりの本数の映画を観ていらっしゃるので、いろんな要素が含まれています。古典のオマージュもあれば最近のカルチャー、アニメも取り込まれていて、たくさんの文化が融合しているんです。この形がすごく今っぽいし最前線だと私は感じていて、誰が観てもどこか刺さるシーンがあるので、ぜひ劇場で確かめて下さい」
INFORMATION
■映画『聖なるもの』
INFO&STORY
ある大学の映画研究会。大学3年になる僕は、4年に一度、映画研究会に現れる謎の彼女と作った映画は必ず大傑作になるという噂を耳にする。そしてある日、僕の目の前にミステリアスな黒髪の美少女・南(南美櫻)が現れる。彼女に魅了された僕は後輩の小川(小川紗良)らを巻き込み、衝動的に南主演の映画を撮り始めるが……。「MOOSIC LAB 2017」でグランプリ、最優秀女優賞など4部門を獲得。
CAST&STAFF
出演/南美櫻・小川紗良・山元駿・縣豪紀・希代彩・半田美樹・佐保明梨・青山ひかる・松本まりか
監督・脚本・編集/岩切一空
配給/SPOTTED PRODUCTIONS
公式HP
4月14日(土)ポレポレ東中野ほか全国順次ロードショー
PROFILE
小川紗良(おがわ・さら)
1996年6月8日生まれ 東京都出身
高校生の時にモデルデビューし、その後、早稲田大学に通いながら女優として活動。映画出演作に『イノセント15』『ウィッチ・フウィッチ』などがある。女優業とともに監督業にも進出し、『あさつゆ』『BEATOPIA』『最期の星』を手掛けた。
公式Twitter
■映画『聖なるもの』
INFO&STORY
ある大学の映画研究会。大学3年になる僕は、4年に一度、映画研究会に現れる謎の彼女と作った映画は必ず大傑作になるという噂を耳にする。そしてある日、僕の目の前にミステリアスな黒髪の美少女・南(南美櫻)が現れる。彼女に魅了された僕は後輩の小川(小川紗良)らを巻き込み、衝動的に南主演の映画を撮り始めるが……。「MOOSIC LAB 2017」でグランプリ、最優秀女優賞など4部門を獲得。
CAST&STAFF
出演/南美櫻・小川紗良・山元駿・縣豪紀・希代彩・半田美樹・佐保明梨・青山ひかる・松本まりか
監督・脚本・編集/岩切一空
配給/SPOTTED PRODUCTIONS
公式HP
4月14日(土)ポレポレ東中野ほか全国順次ロードショー
PROFILE
小川紗良(おがわ・さら)
1996年6月8日生まれ 東京都出身
高校生の時にモデルデビューし、その後、早稲田大学に通いながら女優として活動。映画出演作に『イノセント15』『ウィッチ・フウィッチ』などがある。女優業とともに監督業にも進出し、『あさつゆ』『BEATOPIA』『最期の星』を手掛けた。
公式Twitter
撮影◎おおえき寿一 取材・文◎内埜さくら