[ベルリン国際映画祭」で女優賞を受賞した黒木華さんを輩出した京都造形芸術大学から、新たなヒロインが誕生。それが、9月12日より全国ロードショーされる映画『赤い玉、』で奥田瑛二さん演じる時田を翻弄する律子役の村上由規乃さん。21歳とは思えない重みある存在感で、ベテラン俳優を相手に体当たりの艶技を魅せています。試写会のために京都から上京した彼女に、作品にまつわる秘話や見どころを聞きました。
律子が脱がないと成立しない過激な性描写が多い作品です
──本作が村上さんのデビュー作ですが、まずは女優を目指したきっかけを教えて頂けますか。「以前から芸術に興味があって、高校時代は放課後、趣味で陶芸用の土をいじったり、油絵にも興味を持っていたんです。絵は今でも好きで、今年3月にルーブル美術館展を観に父と東京まで来ました。あとは、価値を見極めたり買ったりするわけではないんですけど、骨董市を覗くことも好きで。それで、自分でも芸術を表現したくなって、作品と自分が分離せず、体と精神を直接使ってできる方法は何だろう? と考えた時に、芝居しか思い浮かばなかったんです」
──そしてデビュー作でヒロインに大抜擢されたわけですが、ヌードになることに抵抗はなかったのでしょうか。
「女優を目指す時点で裸になることもあると覚悟していたので、抵抗はありませんでした。作品をご覧になると分かりますけど、R-18指定だけあって、過激な性描写がたびたび出てくるんですね。その中で、私が演じた律子が裸にならないと成立しないシーンもたくさんあるんです。律子がもったいぶっている印象になってしまうんです」
──その覚悟は、土居志央梨さんが演じた大学で映画を学ぶ愛子と重なりますね。
「愛子は学生たちで作る映画のベッドシーンが嘘っぽいことに抵抗を覚えて、『脱いでもよかった』と言いますから同じですね。私が今、芝居を学んでいる大学でも学生たちが濡れ場を演出すると、少し遠慮気味になってしまう部分があるんですよ。学生同士は講義が終われば、一緒にご飯も食べるしカラオケにも行く仲間ですから。ただ、高橋伴明監督は映画を作る学生が性表現から逃げてほしくないという思いもこの映画に込めているので、私自身は体当たりで演じることができてよかったです」
時田が持つ男の哀愁や切なさ女3人の強さを観てほしい!
──好きなシーンはありますか?「奥田瑛二さんが演じる時田と律子が、初めてラブホテルへ行くシーンです。オーディションで演じたという理由で思い入れもあるんですけど、時田の中年男性が持つ虚しさや哀愁が心に刺さるんですよね」
──村上さんは21歳ですが、中年の哀愁が理解できるんですか?
「満員電車で疲れている顔のサラリーマンを見ると感じますよ、何となくですけど。あとは、中学時代に老人ホームへ体験学習に行ったり、実家で飼っていた愛犬、4匹中3匹が亡くなった経験もしているので、時田のように生と死は身近ですね、私にとっては」
──哀愁といえば、劇中で披露しているピアノの曲調も切ないですね。
「実はあの曲、私が弾けるレベルの曲じゃなかったんですよ。楽譜を渡された時に驚いて、本番まで1ヶ月毎日、泣きそうになりながら練習しました。脱ぐことよりも、ピアノを上手く弾けるかどうかに気を取られるほどだったんです。大学の体育館にあるピアノでこっそり、練習を重ねました」
──初めて披露するダンスよりも難しかった?
「かなりセクシーな踊りではありますけど、それでもピアノのほうが難易度は高かったです。私が踊っているのはガールズヒップホップなんですけど、下着のようなセクシーな衣装を着て踊っているから、そうは見えないかもしれません。そのダンスに魅入る時田のどこか哀しくなるような切なさも観て頂きたいですし、律子と不二子さん演じる唯、土居さんが演じる愛子、3人のたくましい女たちの強さも楽しんで頂きたいですね」
INFORMATION
■映画『赤い玉、』
INFO&STORY
映画監督の時田修次(奥田瑛二)は、大学で映画撮影の教べんをとりながら、新作の撮影に入れない状況にいた。自身の経験が映画に投影されると考え、人生を流浪している時田の私生活には、理解ある30代の美しい女性・大場唯(不二子)がいた。しかし、時田を現実から虚構=映画の世界に誘うかのように女子高生の北小路律子(村上由規乃)が時田の前に現れる。律子という存在により、時田の人生が狂わされていく…。「愛の新世界」の高橋伴明監督が老いと性の間で葛藤する男を描き、第39回モントリオール世界映画祭のワールド・グレイツ部門出品作。
CAST&STAFF
出演/奥田瑛二・不二子・村上由規乃・花岡翔太・土居志央梨・山田奈保・上川周作・福田あさひ・吉井優・林諒一・水上竜士・柄本佑・高橋惠子
監督・脚本/高橋伴明
配給/渋谷プロダクション
公式HP
9月12日(土)テアトル新宿ほか全国ロードショー
(C)「赤い玉、」製作委員会
PROFILE
村上由規乃(むらかみ・ゆきの)
1994年5月8日生まれ 山口県出身
高校時代は油絵や陶芸、農業に興味を持つ。卒業後、もっと自分の身体を使って多くの人と作品を作りたいと、京都造形芸術大学映画学科俳優コースに入学。現在も学生で、女子高生・律子役はオーディションで選出された注目の新人女優だ。
公式Twitter
■映画『赤い玉、』
INFO&STORY
映画監督の時田修次(奥田瑛二)は、大学で映画撮影の教べんをとりながら、新作の撮影に入れない状況にいた。自身の経験が映画に投影されると考え、人生を流浪している時田の私生活には、理解ある30代の美しい女性・大場唯(不二子)がいた。しかし、時田を現実から虚構=映画の世界に誘うかのように女子高生の北小路律子(村上由規乃)が時田の前に現れる。律子という存在により、時田の人生が狂わされていく…。「愛の新世界」の高橋伴明監督が老いと性の間で葛藤する男を描き、第39回モントリオール世界映画祭のワールド・グレイツ部門出品作。
CAST&STAFF
出演/奥田瑛二・不二子・村上由規乃・花岡翔太・土居志央梨・山田奈保・上川周作・福田あさひ・吉井優・林諒一・水上竜士・柄本佑・高橋惠子
監督・脚本/高橋伴明
配給/渋谷プロダクション
公式HP
9月12日(土)テアトル新宿ほか全国ロードショー
(C)「赤い玉、」製作委員会
PROFILE
村上由規乃(むらかみ・ゆきの)
1994年5月8日生まれ 山口県出身
高校時代は油絵や陶芸、農業に興味を持つ。卒業後、もっと自分の身体を使って多くの人と作品を作りたいと、京都造形芸術大学映画学科俳優コースに入学。現在も学生で、女子高生・律子役はオーディションで選出された注目の新人女優だ。
公式Twitter
撮影◎おおえき寿一 取材・文◎内埜さくら メイク/ビューティ★佐口