「全世界が絶句した＜ホンモノの問題作＞堂々完結！」と銘打たれた映画『ムカデ人間３』が８月22日より公開。日本人俳優唯一の出演者として“ムカデの先頭”を熱演、１作目を爆発的ヒットに導き、本作では狂気の囚人役を演じた北村昭博さんが、映画役者人生について気さくに語り尽くしてくれました!!

「衝撃が続いた後にモヤモヤした気持ちになって、観た後は絶句するはず。脳内をファックされてるような映画体験ができます」
──二度目の登場になりますが、よろしくお願いします。
「前回のインタビューも覚えてますよ。ドカントさんって求人誌ですよね。日本を生活拠点にしてたら僕、読んでバイトを探してお金をゲットしてただろうなぁ…と思ってましたから（笑）実際、ＬＡでもつい１年前までバイトしてましたし」

──えっ、どんなバイトを!?
「最後に働いたのは、リトル東京内のミヤコホテルの２階にある、バーのバーテンダー。日系の年配相手にカクテルを作ってました。Ｕｂｅｒでタクシー運転手をしてたこともありましたね。もちろんお金を稼ぐためではありましたけど、役者っていう職業は人生経験が直結する仕事だから、いろんな職種に就けたのは、いいことだと思ってるんですよ。実際、今の自分ならバーテンもタクシー運転手も、ガチで演じられますから」

──世界的に活躍している北村さんがバイトをしているとは、意外でした…！
「確かに『ムカデ人間』の時は絶好調だったんですよ。コンベンションの後に開かれるサイン会で色紙にサインすると、１枚20ドルももらえていたんですから。サラサラ～っと書くだけで、日本円で約２５００円ですよ。当時は高級マンションに住んでましたし、サインを書くだけでがっぽり儲かるワケですから、『ヤバイ、俺キテるな。超人気だ！』って、無駄に勘違いしてましたねぇ（笑）でもホラー映画のファンって、常に新しいモノに食いつくわけですよ。だから月日が流れるうちに業界内の僕自身の存在も薄れたワケです」 ──本作のオファーは役者人生で一番、挫折していた時期だったそうですね。
「それは金銭面じゃなく、役者としてのプライドがズタズタになっていたからなんです。辞める直前まで絶望して、追い詰められてました。というのも、日本の某作品に出た時に、まったくと言っていいほど演技ができなかったんですよ。それまで僕は、自分の演技に絶対的な自信を持っていたんです。きちんと演技学校で学んで来たし初めて出演した映画『ムカデ人間』でも評価されたし、俺って天才だなと。だからオファーが来た時に『日本で天下を取ろう』と考えて向かったのに、演じられなくて人生のビジョンが見えなくなったんです。しょぼいプライドが打ち砕かれた時に、声をかけてもらったんですよね。ＬＡで撮ることは知っていて呼ばれていなかったから『誰がヒットさせたんだよ！』と、拗ねていた頃でもあります（笑）」

──だから「世界に自分を証明するチャンスが来た」とツイートしていたんですね。確かにキレッキレの演技でした！
「あの役、実は僕がトム（・シックス監督）に提案したんですよ。男は性犯罪者で、ポルノ女優演じる秘書がボコボコにされている姿を見て興奮してしまうという。だから、『興奮してオナニーしていいですか？』とトムに聞いたら、『ジーニアスなアイディアだ！』と喜んでくれて。完成作を観るとなぜかシゴいている下半身が映っていないんですけど（笑）役者としての原点はコレだよ！　と実感しました。信頼関係が成立した中でアイディアを出し合うのが、役者としての喜びだったんだと、気づかせてもらいました」 ──なるほど。改めて作品のＰＲをお願いします。
「衝撃が続いた後にモヤモヤした気持ちになって、観た後は絶句すると思います。何かを食べた後、食べた味が口に残るような映画です。脳内をファックされてるような映画体験ができます。今回は５００人がムカデ人間になりますから、とにかく規模がデカいのもポイントですね。ロケ地はレディー・ガガがＰＶで使ったのと同じ刑務所ですし。１作目の時にスタッフ15人ぐらいでこじんまり撮影した当時を思い出すと、成長したんだなと実感しました」

──公開に先がけて『ムカデ人間あぅ、ごめん、ごめんよぅ、ごめんよぅ、ごめんカレー』も発売中ですよね。
「ツイッター上では味に疑問を持たれていますけど（苦笑）めっちゃ旨いですから！　アメリカでインドのカレーを食べて、園（子温）監督の『ＴＯＫＹＯ ＴＲＩＢＥ』で来日した時、池袋にある『カレーは飲み物。』という店で３日に１度はカレーを食べたほど好きな僕が監修しているから、味は保証付きです。もうね、パッケージじゃなくて中身で勝負してるんで、カレーを食べてから映画を観て下さい」