スマッシュヒットを記録した映画「愛の渦」の原作、脚本、監督でも知られる三浦大輔氏が作・演出を手掛ける舞台『母に欲(ほっ)す』東京公演が開演。「息子にとっての母親とは」というテーマで人間の本質を抉り出す本作に鈴木里美役で出演の土村芳さんにインタビュー。舞台の裏側を聞かせてもらった。
男性が恋人に求める母性は役と同じでまだ少ないかも
──お名前は「芳」と書いて「かほ」と読みますが、珍しいですよね。「初回で正確に呼んでもらえることがほぼないですけど、いまだに名付け親説が謎なんですよ。生まれる直前に従姉妹が付けた説もあれば、父は自分がパッと思いついたと言い張りますし。ただ、父方の祖父が土村芳香という名前で画家をしていて、そこから一文字もらったのは間違いないらしいんですけどね」
──その血筋でしょうか。物静かな雰囲気をお持ちのような。
「そういう印象を持たれがちなんですけど、結構アクティブですよ。大学生時代はロードバイクに乗るのが趣味でしたし、サッカー観戦も大好き。観てると興奮して、気づくと自分でもよく分からない叫び声を上げて応援することもしょっちゅうです(笑)今回はワールドカップと舞台の日程がかぶってしまうので、リアルタイムで観ることができないのが残念です」
──舞台『母に欲す』の作・演出の三浦大輔さんとは、初めてですよね。
「5月にポスター撮影でお会いした時に『役のために髪を伸ばしてほしい』と言われたんですけど、本番まで2ヶ月ちょっとしかないんですよね(苦笑)オーディションでは『自然体で演じて下さい』と言われて、いい刺激を頂きました。舞台といえば声を張ってオーバーアクション気味が定番と思っていたんですけど、それをしなくても成立することを、実感できました」
──演じられる隆司の恋人、鈴木里美はどんな女性ですか?
「片岡(礼子)さんが演じる母親とは対照的で、母性よりも女性の部分が強い女の子です。人懐っこくて明るくて、基本的にはいいコなんですけど、人に親切にするたびに、それが裏目に出てしまう、少し残念な面もありますね」
──ご自身と類似点はありますか。
「私は彼女のような性格ではないですけど、唯一似ているのが、母性が少ないところですね。男性って好きになった女性に、自分の母親を投影することが少なからずあるじゃないですか。私はまだその母性には応えられないなって思うんです…」
男性が共感しやすいテーマ母に連絡したくなるはずです
──テーマは「息子にとっての母親とは」ですよね。「もしかしたら、女性より男性の方が共感できる内容かもしれません。家族と離れて住んでいる男性のみなさんは、この舞台を観たらきっと、お母さんと連絡をとりたくなると思います。感化される人がいてくれたら、うれしくもありますね」
──では、娘にとっての母親とは。
「私にとっての母親は、私が生まれた時から身を粉にして尽くしてくれる存在です。こっちが心配になるほど、私と姉に昔から今もずっと、時間もお金も注ぎ込んでくれています。天然な部分もあって、驚くと『フワーッ!!』って叫んで逆に家族をビックリさせたりもしますけど(笑)母は岩手、私は東京と離れて暮らしてるので、頻繁に食材も送ってくれます。たぶん盛岡にしか売ってないと思うんですけど、大好物のしわきゅうりというピリ辛の漬物を送ってくれるんです」
──では、大阪公演に行ったらお土産を送らなくては、ですね。
「母を、これ以上太らせたくないから、食べ物は…(笑)どこの家庭でも同じかもしれませんけど、母親って残り物をもったいないと食べませんか? だから物じゃなく、仕事を頑張ることが今できる親孝行だと思って頑張りたいですね」
INFORMATION
■舞台『母に欲(ほっ)す』
INFO&STORY
「お母さん、僕はこんなにおおきくなりました。」ポツドール主宰の三浦大輔が強力な出演者とタッグを組んで、パルコ劇場に。三浦が長年温めてきたテーマ「男子にとっての母親とは…」に迫る意欲作は映像や音楽界からも注目を集めている。銀杏BOYZ峯田和伸の初舞台作品でもある。
CAST&STAFF
出演/峯田和伸(銀杏BOYZ)・池松壮亮・土村芳・米村亮太朗・古澤裕介・片岡礼子・田口トモロヲ
作・演出/三浦大輔 音楽/大友良英
企画・製作/(株)パルコ
公式HP
東京公演は7月29日(火)までPARCO劇場で。大阪は8月2、3日に森ノ宮ピロティホールにて。
PROFILE
土村芳(つちむら・かほ)
1990年12月11日生まれ 岩手県出身
京都造形芸術大学の在学中に、教授である林海象監督に見出され、舞台「花ちりぬ」の主演に抜擢。映画「彌勒-MIROKU-」では、永瀬正敏とダブル主演を務めた。主な出演作に映画「カミハテ商店」、舞台「銀河鉄道の夜」などがある。特技は新体操(インターハイ出場)に、タップダンス、殺陣。
公式HP
■舞台『母に欲(ほっ)す』
INFO&STORY
「お母さん、僕はこんなにおおきくなりました。」ポツドール主宰の三浦大輔が強力な出演者とタッグを組んで、パルコ劇場に。三浦が長年温めてきたテーマ「男子にとっての母親とは…」に迫る意欲作は映像や音楽界からも注目を集めている。銀杏BOYZ峯田和伸の初舞台作品でもある。
CAST&STAFF
出演/峯田和伸(銀杏BOYZ)・池松壮亮・土村芳・米村亮太朗・古澤裕介・片岡礼子・田口トモロヲ
作・演出/三浦大輔 音楽/大友良英
企画・製作/(株)パルコ
公式HP
東京公演は7月29日(火)までPARCO劇場で。大阪は8月2、3日に森ノ宮ピロティホールにて。
PROFILE
土村芳(つちむら・かほ)
1990年12月11日生まれ 岩手県出身
京都造形芸術大学の在学中に、教授である林海象監督に見出され、舞台「花ちりぬ」の主演に抜擢。映画「彌勒-MIROKU-」では、永瀬正敏とダブル主演を務めた。主な出演作に映画「カミハテ商店」、舞台「銀河鉄道の夜」などがある。特技は新体操(インターハイ出場)に、タップダンス、殺陣。
公式HP
撮影◎おおえき寿一 取材・文◎内埜さくら