「この作品はサイコサスペンスではあるんですけど、題材は夕子の旅立ちで爽やかなんです。しかも夕子の存在はいろんな人に当てはまると思うので、怖そうだからと毛嫌いせずに観て頂きたいです」(生津)
「シンポジウムに参加した私の母が作品を観て、生津さんのファンになったと言っていました。母は今45歳なんですが、生津さんには、アラフォーやアラフィフ女性のファンが増えるかもしれません」(真崎)
新たな才能を発掘する日中若手映画人合同プロジェクト第1弾の映画『心魔師』が10月27日から公開される。オーディションで才能を発掘された俳優の生津徹さんと、本作が映画初出演&初ヒロイン役となる真崎かれんさんのお二人が登場。人の心こそが最も怖いと実感する本作の魅力や、作品になぞらえたエピソードを語ってもらった。
今村は崩壊寸前の男ですが登場人物全員ギリギリ状態
──本作でお二人は難役を務めていますが、役作りの方法は?生津「僕は今村とは真逆なんです。不眠症とは無縁で、睡眠時間は人並みですがわりとどこででもすぐ眠れるタイプ。だから、眠れないと人はどういう思考や行動に出るかを想像して、今野(恭成)監督とも話し合いました。今村は睡眠不足だから常にイライラしていて人に対して配慮をする余裕がなく、崩壊寸前のギリギリな状態。普段、眠れていないから少し鈍く、1枚ベールが掛かっているようなところを意識して演じました。崩壊寸前と言えば、今村だけではなくこの作品の登場人物全員に当てはまりますが」
真崎「本当に全員、ギリギリでダメになりかかっているんですよね。私は、役を作り込んでも現場で変わっていくことをこの作品の撮影で学んだので、精神疾患の一般的な症状を頭に入れた上であまり考えずに夕子でいようと心掛けていました。あと岩井俊二監督の『PiCNiC』を観ました。主演のCHARAさんが演じた、精神病院に入れられているココが子どもっぽいというか個性的な女の子だったので、参考にしました」
──撮影で印象深かったことは?
生津「真崎さんの絵がものすごく上手いんですよ。しかも監督の狙い通り、怖く描かれているんです」
真崎「『後で怖いタッチに修正するから自由に描いて』と言われたんですけど、監督から『本当に怖いねぇ』と褒めて頂きました(笑)」
──サイコサスペンス作品ですが、撮影の合間の雰囲気はいかがでしたか。
真崎「みなさんと控え室が一緒だったので、柳(憂怜)さんや小橋(めぐみ)さんとお話させて頂いていました。きついシーンの撮影が続く作品なので、控え室は憩いの場。みんなで癒やし合っていたんです」
生津「控え室はかなり和やかな雰囲気でしたね。僕は柳さんとギターの話をしていました。『やっぱりロックはイギリスだよね』とか、柳さんが中学時代からハマっている、ゼマイティスというメーカーのギターのこととか」
真崎「ロケ地の御殿場市小山町がホラー映画の聖地ということを私、この作品で初めて知りました。そういえば制作スタッフの方が、クランクイン当日に足を捻挫してしまったんです。2日目から松葉杖で現れて。捻挫した理由は『転びそうになった時に、手にしてた(カメラの)ライカを守ろうとしたら…』と言ってました」
生津「その後、誰も怪我をしていないので、厄を持っていってくれたのかもしれませんね」
真の映画好きな皆さんから「映画らしい映画」と評価
──作品になぞらえた質問も。お二人が怖いものは何ですか。真崎「渋谷にいるネズミが怖いです。母が昔から嫌いで『たくさんいるから渋谷には行かないほうがいい』と言われていたんですけど最近、すごくよく見かけるようになって」
生津「ネズミとは映画と繋げてきましたね。さすがです。僕は昔より虫が怖くなりました。子どもの頃はクモを口から吐き出して驚かせる遊びもしましたが、今は苦手です」
──ではお二人にとっての癒やしは。
真崎「私は飼っている犬2匹を家に帰った瞬間に見て癒やされています。ポメラニアンと、ポメラニアンとスピッツのミックスなんですけど、ポメラニアンがかなり大きくて。散歩をしていると『スピッツですか?』と頻繁に聞かれるので、最近は『そうです』と答えています(笑)あと私、海苔が好きなんです。味がついていない1帖の海苔をコンロで炙ってパリパリにして噛んだ時に、パリッと鳴る音にも癒やされています」
生津「そんなに面白い答えを言われると僕のハードルが(笑)癒やし…(長考)何でしょう…。ああ、僕は山梨県の山育ちなので、緑を見ると癒やされます。最近、いくつか観葉植物を家に置いているんです。蔓が本棚の足に少しずつ絡まっていく姿を見ると、うれしくなります。次は苔を買おうと思っています」
──最後に改めてPRを。
真崎「由布院映画祭で初めて一般のお客様に観て頂いたんですけど、地元の方がたくさんいらしてくださったんです。何十年も通っているリピーターさんぞろいで、年配の真の映画好きの方々から『今日の上映作品の中で、一番映画らしい映画』と評価されました。謎に包まれている部分が受けたみたいです。シンポジウムには私の母も参加したんです。この作品で生津さんのファンになったと言っていました。母は今45歳なんですけど、この映画で生津さんは、アラフォーやアラフィフ女性のファンが増えるかもしれません」
生津「うれしいですね。この作品はサイコサスペンスではあるんですけど、題材は夕子の旅立ちで爽やかなんです。しかも夕子の存在はいろんな人に当てはまると思うので、怖そうだからと毛嫌いせずに観て頂きたいです。個人的には最後に夕子がバスに乗り込むシーンが好きなんですが、経緯を話すとネタバレになってしまうので、劇場で確かめて下さい」
INFORMATION
■映画『心魔師』
【INFO&STORY】
ワーファリンという血液凝固を止める薬品を注射して失血死させるという猟奇殺人事件が発生した。犯人を取り逃し、謹慎中だった捜査一課の今村刑事(生津徹)は最初の現場復帰でこの事件の担当となった。被害者の下山宅に残された睡眠薬の袋から下山が通院していた精神病院にたどり着くが、精神科ではワーファリンは処方していないという。不審に思い、その晩こっそりと診療所内に忍び込んだ今村は、入院患者の少女・夕子(真崎かれん)と出会う。日中若手映画人合同プロジェクト第1弾作品として製作されたサイコサスペンス。
【CAST&STAFF】
出演/生津徹・真崎かれん・阿部翔平・伊東由美子・小橋めぐみ・河屋秀俊・今里真・熊谷宣之・花井力・柳憂怜・竹中直人
監督・脚本/今野恭成
配給/アルタミラピクチャーズ
公式HP
10月27日(土)新宿シネマカリテほか順次公開
(C)2018 索斯光影(北京)影視文化伝媒有限会社
PROFILE
真崎かれん(まさき・かれん)
1997年8月16日生まれ 東京都出身
東京ガスや楽天オーネットのCMなどで注目を浴び、ドラマや映画など活躍の場を広げる期待の若手女優。主な出演作品は映画『東京喰種』『センセイ君主』『SUNNY 強い気持ち・強い愛』『響-HIBIKI-』など。本作が初の主演映画となる。
公式Twitter
公式Instagram
生津徹(きず・とおる)
1970年10月3日生まれ 山梨県出身
映画、ドラマ、舞台、音楽活動と精力的に活躍。主な出演作品に映画『それでもボクはやってない』『ロボジー』『本牧アンダーグラウンド』『海賊とよばれた男』『サバイバルファミリー』、WOWOW連続ドラマW 「イアリー 見えない顔」などがある。
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■映画『心魔師』
【INFO&STORY】
ワーファリンという血液凝固を止める薬品を注射して失血死させるという猟奇殺人事件が発生した。犯人を取り逃し、謹慎中だった捜査一課の今村刑事(生津徹)は最初の現場復帰でこの事件の担当となった。被害者の下山宅に残された睡眠薬の袋から下山が通院していた精神病院にたどり着くが、精神科ではワーファリンは処方していないという。不審に思い、その晩こっそりと診療所内に忍び込んだ今村は、入院患者の少女・夕子(真崎かれん)と出会う。日中若手映画人合同プロジェクト第1弾作品として製作されたサイコサスペンス。
【CAST&STAFF】
出演/生津徹・真崎かれん・阿部翔平・伊東由美子・小橋めぐみ・河屋秀俊・今里真・熊谷宣之・花井力・柳憂怜・竹中直人
監督・脚本/今野恭成
配給/アルタミラピクチャーズ
公式HP
10月27日(土)新宿シネマカリテほか順次公開
(C)2018 索斯光影(北京)影視文化伝媒有限会社
PROFILE
真崎かれん(まさき・かれん)
1997年8月16日生まれ 東京都出身
東京ガスや楽天オーネットのCMなどで注目を浴び、ドラマや映画など活躍の場を広げる期待の若手女優。主な出演作品は映画『東京喰種』『センセイ君主』『SUNNY 強い気持ち・強い愛』『響-HIBIKI-』など。本作が初の主演映画となる。
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生津徹(きず・とおる)
1970年10月3日生まれ 山梨県出身
映画、ドラマ、舞台、音楽活動と精力的に活躍。主な出演作品に映画『それでもボクはやってない』『ロボジー』『本牧アンダーグラウンド』『海賊とよばれた男』『サバイバルファミリー』、WOWOW連続ドラマW 「イアリー 見えない顔」などがある。
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取材・文/内埜さくら 撮影/おおえき寿一