人気カバーアルバム「つるのうた」シリーズの最新作『つるのうた3』をリリース。5月26日に40歳の誕生日を迎え、ワンマンライブを開催した、つるの剛士さんがパイセンゲスト。芸能生活は20年を超え俳優、歌手、タレントと幅広いジャンルで活躍される、つるのさんに音楽活動の話を聞きつつ現在過去未来にも迫ってみた。インタビューの端々に、感謝のフレーズがこぼれる。「ただ、自分の夢に向かって一生懸命歩いてきただけ」と振り返る人生は、多くのヒントが散らばり輝いていた。

『ウルトラマンダイナ』主演で人気を博し、以降もフジテレビ『クイズ！ヘキサゴン2』発のユニット羞恥心のリーダーやカバーアルバム『つるのうた』でのソロ歌手デビューとタレント、歌手、俳優など多ジャンルで活動する、つるのさん。趣味人でも知られ、一男三女の父親としての良き夫、良き父の顔ものぞかせる。そんなつるのさんを直撃！

──『雪の華』『ＧＬＯＲＩＡ』などを収録の最新カバーアルバム『つるのうた３』は、ファンの人たちも楽しみにしていたと思います。どんな作品に仕上がりましたか。
「本当に有り難いです。コンセプトは特になくて、リリースを40歳になった次の日にして、３年ぶりということぐらいですか（笑）しいて言えばちょっと大人っぽい感じの魅力を出せればなと思いました。カバーは壊しながら、新しいものを作らないといけない。みなさんの中にドラマとして遺っている名曲ばかりですから難しいんですよね。たとえば、中森明菜さんのヒット曲『スローモーション』は初期バージョンがビブラートもなく荒削りでストレートに歌われているのが実はよかったりして。それが、アレンジを変えて『スローモーション２０１５』とかはちょっと違うんじゃないかなと思う時あるじゃないですか。ボサノババージョンならさらに…」

──あー。分かります！
「昔みたいにがむしゃらにガツガツ歌う感じではもう、なくなってきたんでその辺も聴いて頂きたい。ボイストレーニング経験もなく、歌は我流。正直分からない部分も多い。ただ、いろいろな経験をして自分が成長しているのも確かです。通して聴いてみて、自分でも変わったなと思ったんですよね。その辺も含めてとにかく聴いて頂き『どうでした？』と早く感想を聞きたいですね」

──今回の選曲はどのようにされたんですか。
「これまでファンの皆さんに歌って欲しいとリクエストを頂いていた歌の中から選びました。今までやりたかったけど、歌えなかった歌を今回、カバーさせてもらいました」

──『銃爪』では世良公則さんご本人と共演されています。
「今まで何度か一緒に歌わせてもらっていたんですが、音源を録るのは初めてです。世良さん還暦なんですよね。で、あんなに声を出されるとは。僕も結構、声が出るほうなんですけど世良さんの声圧に押されっぱなしで（笑）でも、めちゃくちゃ楽しかったです」

──つるのさんで歌といえば、羞恥心が思い出されます。芸能生活は20年超、順風満帆という感じを受けるのですがご自身ではいかがですか？
「高校２年生でこの世界に入ったんですけど、21歳で『ウルトラマンダイナ』アスカ役に抜擢され、『ヘキサゴン』で羞恥心、そして『つるのうた』と節目節目で誰かしら手を差し伸べてくださるんですよね。周りの方々のお陰なんです。僕はただ、自分の夢に向かって一生懸命歩いてきただけなんです。小学校の時から夢見ていた仕事ですから。でも動機は、好きな女の子に振り向いてもらいたい！そんな簡単なところからでしたけど（笑）」 ──「準備しないとタイミングは来ない」と話してましたが、これは。
「チャンスが来た時、モノにするための準備は絶対しないと。僕は常にしています。準備をしないとそのタイミングも来ないと思いますし。準備といっても、ただ夢に向かって好きなことを一生懸命やってきただけなんです。好きなことだけやっていきたい、そのために前に進んで来ただけなんで。それが、いざという時に自分の力を発揮できてきた理由だと思います」

──今の若い人たちはやりたいことも、好きなこともなかったり見つからなかったりするんですけど、どうすれば見つかるんでしょうか。
「難しいなあ～。仕事だったら自分に向いているものを探すことじゃないでしょうか。あと、人のために何ができるかとか。収入の大小に固執しないで。仕事って人のためにならないといけないと思うんですよ。誰かが喜んでくれることが重要だと思うんですよね。とにかく夢を持って頑張ることじゃないですかね」

──会社勤めで、上司や先輩との関係はどうでしょう。
「上司をリスペクトしないと、ダメだと思うんですよ。得るものは必ずあるから。酒席に誘われたら喜んで同行する。積極的に付き合わないと、いけないと思うんですよね。もちろん会社のことも愛さないと」

──つるのさんは、芸能界以外の仕事をされたことはありますか。
「高校生の時は郵便局や皿洗いとか、いろいろバイトやりました。ピザ屋の配達が一番長く続きましたね。配達だけでなく、電話で注文受けたり作ったり。そうすると時給が多くもらえたので。けど、釣り銭を間違えたらアウト！それが給料から天引きされるルール。働けば働くほどマイナスで、なんだこれ！と辞めちゃいました（笑）」

──プライベートでは将棋や釣り、サーフィン、野菜作りなど幅広い“趣味人”で知られ、一男三女の父親としてよき夫よき父の代名詞的な存在でもありますよね。
「イクメンって言葉は好きじゃないんですけどね。いい夫といっても裏は分からないですよ（笑）もちろんいいパパ、いい夫と言われるのは嬉しいです。妻もそう言ってくれますし、家族は、お金に換えられないものですから。結婚してから仕事の幅が広がったのは確かです」

──ツィッターで見たんですけど、お嬢さんの髪の毛を編んであげたりされてますよね。
「しますよ。よく見てるなあ～。僕のマイブームですから。初めはリボンを逆につけたりしてましけど、今はうまくつけられるようになりましたよ（笑）」

──そんなつるのさんにとってご家族とは？
「生きていく原動力です」

──最近の若者は結婚に対しても消極的なんですが…。
「あんまりいろいろなこと考えないで、好きな人を見つけてください。将来のことを心配したってしょうがないですからねえ。たくさん恋愛したほうがいいと思います。何も考えないでいいですよ（笑）」

──そうなんですね。最後に今後の目標を聞かせてください。
「周りのみなさんのお陰で、自分の好きなことをやらせてもらっているんで、幸せです。素敵な環境に身を置いていると思います。なので僕は今までもこれからも、好きなことを一生懸命続けていくだけ。それで、誰かのために少しでもなれたら嬉しいです。音楽に関しては40歳を機に、オリジナルも作っていきたい。進行中なんですが、歌って生きものだから難しいんですよね。等身大で今しか歌えない歌を歌う。誰かのために一生懸命歌う、それだけです。僕はそれしかできないんで（笑）」