映画主演も果たした広島の型破りアナウンサー　横山雄二

　アンガールズ田中卓志さん、山根良顕さんが友情出演、矢沢永吉さんの歌が挿入歌に起用などなど、広島尽くし。地元での大ヒット上映を経て、全国展開スタート。「広島が愛するカリスマ、天才ラジオスター」ことＲＣＣのアナウンサーで、映画『ラジオの恋』主演の横山雄二さんにインタビュー。“近所の兄ちゃん”のラジオ愛とはいかに…。

──ラジオが題材の映画も珍しいですが、現役アナウンサーが主演というのも凄いですね。
「時川英之さんが監督、僕が主演という部分まで先に決まって、題材を話す中で『やっぱりラジオかねぇ』となりました。最初は『宇宙人を登場させよう』みたいなアイディアもあったんですけど」

──ラジオが題材で良かったと思います（笑）ストーリーには、横山さんが自身のラジオで体験したことも盛り込まれているそうですね。
「監督と打ち合わせと称して居酒屋で何度も飲んで、そこで話したことが反映されていますね。アンガールズ田中くんとの絡みや、物語の中の恋は、僕のラジオで実際に近いことがありました」

──実名で登場していますが、性格やキャラは普段と一緒ですか？
「いつも飲み歩いていて、２日酔いで翌日の番組に出ている部分は一緒ですね。でも映画の中の僕のほうが現実の僕よりマトモかも（笑）こんな生活が荒れているアナウンサーを広島の方々はよく許してくれてると思います。僕の所属している中国放送も、局アナが映画主演することを認めるんだから、相当にユルい会社ですよ」

──横山さんに負けじと局も型破りなんですね（笑）では、印象に残っているシーンは？
「やっぱりブースの中でしゃべるシーンですね。僕は実際にラジオ番組を持っているアナウンサーなので、そこはプロっぽく見えないとダメじゃないですか。ただ、普段はキューシートというタイムテーブルがあるだけで、ほとんど自由にしゃべっているんですが、映画では脚本を暗記して話さなきゃいけない。『これで面白くなかったら、脚本を書いた監督のせいにしよう！』と思って演じました（笑）」 ──面白かったですしプロらしかったですよ！アドリブを入れたりはしたんですか？
「入れましたけど、けっこうバッサリ切られました（笑）やっぱり監督には監督の考えがあるでしょうから。現場のみんなを和ませようと、本番の一発目でアドリブを入れたら『ちゃんとやって下さい』って怒られたりもしました（笑）」

──本人のほうが映画よりメチャクチャだと分かってきました（笑）では、実際に出演されているラジオ番組『平成ラヂオバラエティごぜん様さま』（ＲＣＣラジオ）で心掛けてることは？
「ありがたいことに広島の本当に多くの人に聞いて頂いていますが『不特定多数の人に向けてしゃべる』と考えないことですね。そう考えると話がぼんやりした一般論になっちゃうし、聞く人の心にも刺さらない。だから僕は『いいか！お前に言ってんだぞ！』という話し方をする。一対一の関係で話すと、結果的に多くの人に共感してもらえるんですよ。その関係性の近さはラジオの良さだと思うし、僕はヒーローや人気者というより“近所の兄ちゃん”みたいな存在でいたいんです」

──なるほど！では最後に、求人誌である小誌の読者にメッセージを、お願いします。
「就職や転職って、諦めずに挑戦を続けると意外と夢が叶うことがあると思うんですよ。僕の仕事のアナウンサーも『倍率が高いから』と受けずに諦める人が多いですが、僕は図 々しく目指して15社目で受かった。全国で２番目に偏差値の低い大学出身なんですけどね（笑）男女関係と同じで、『いい女は抱けない』って幻想なんですよ。『ダメ元で行ったら意外と抱けるぞ！』と言いたいですね」