「ネイチャー作品を観る感覚でこの映像を流してみるのはどうかしら、と思うんですよ。疲れた時やふとした瞬間、セリフがスッと心に染み込んで来ますから」

沖縄テレビにて放送された大ヒットドラマの続編が『ハルサーエイカー２<完全版>』として、ＤＶＤリリース。美しい自然を背景にした映像や「環境・循環」「命」という現代における最重要テーマを分かりやすく伝えていて、沖縄では老若男女から愛されている作品だ。ＡＫＩＮＡさん扮する田畑ハルがコンプレックスを乗り越えて強い女性に成長していく過程はもちろん、コント要素も前作「ハルサーエイカー」よりやや多めで、幅広い層にツボるはず。自身も沖縄での撮影中、小学校にポスターを持って宣伝に回ったという、力作の見どころとは？
──『ハルサーエイカー２』で演じたハルは、どんな女性ですか。
「コンプレックスの塊のようなコですよね。ハルサーエイカーになれる血を持ってるのになれないって、ショックだと思うんですよ。しかも福田萌子ちゃん演じる妹アイと比べられて、負のループにハマる。１～３話はその心情がよく現れてると思います。アイちゃんとハルは身長差もありますしね。戦うシーンは大変だったんですよ。萌子ちゃんはモデルだから背が高いしリーチも違うから、頑張ってよけないと本当に当たってしまうんです。心の中で何度も『アイちゃん！距離感気をつけて！』と叫んでましたから（笑）」

──ご自身はコンプレックスないですよね？
「何を言ってるんですか、塊ですよ、私は。小学生でＦｏｌｄｅｒとしてデビューしてから高校生ぐらいまでずっと、『何を言っているのか分からない』『話の着地点が見えない』と言われ続けて、言いたいことが言えなくなった時期があるんです。20歳を超えたら、『芸歴長いのにこんなこともできないの？』と叱られたこともありましたし。だから、１つのことを突き詰めた人には敵わないけど、万能性を身につけるために、窓口を広げて続けてきたのが、今の私なんです」

──では、ＡＫＩＮＡさん流のコンプレックス克服法は？
「向き合う時間が長ければ長いほど、克服できると信じてます。演技もしゃべることも嫌いでしたけど、舞台しか仕事がなくなった時があるんですね。嫌だなぁと思いながら向き合っていたら、気づいたら好きになれたんです。でも、それには準備も必要で、私は今でも、何か言われたらすぐ返せるぐらいの準備をしないと安心できないんですよ」

──それは、今回の撮影でも？
「もちろんです。だから、スタッフさんのマジメさに助けられましたね。撮影が終わったら『この後、飲みに行く？』っていうノリがなかったんですよ。私自身もどちらかというと終わったら直帰させて下さいってタイプなんです」

──そこまで気合いが入った作品、大勢に観てほしいですね。
「この作品は手に取った時点で観るべき！　です。絵葉書のような景色、海、ガジュマルの木、沖縄のいいところがたくさん詰まってるんで。個人的には、ネイチャー作品を観る感覚で映像を流してみるのはどうかしら、と思うんですよ。疲れた時やふとした瞬間、セリフがスッと心に染み込んで来ますから」

──ロケ地であり、出身地の沖縄に帰ると必ず行く場所は？
「ジャスコですね。今はイオンって呼ぶんでしょうけど、私の中ではジャスコで時間が止まってます。フードコート、ゲーセン、本屋と何でもありますから、行けば半日は過ごせます。合言葉は『とりあえずジャスコ行く？』ですよ（笑）」

──庶民的なんですね～。
「それよく言われます。旦那さんとつき合ってる時も、２人でよくファミレスデートとかしてましたよ。結婚したのは、お互いのそういう価値観が合ったっていうのも大きかったんです」

──今までのお話すべて、ドラマ同様イントネーションが…。
「ねぇ、私、沖縄弁がいまだに抜けないんですよ。（知念）里奈姉ちゃんに、『ＡＫＩＮＡは何でいつまでも取れないの？』って言われて『だからさー』って、沖縄弁で返すこともしょっちゅうで（笑）もう、このまんまでいいかなって」

──オススメの沖縄言葉は？
「一度会ったらみな兄弟って意味の“いちゃりばちょーでー”と、助け合うって意味の“ゆいまーる”は、ドラマにもピッタリで素敵ですよね。実は沖縄の人間は普段の会話であまり使わないんですけど（笑）会話の中に上手く混ぜてみて下さい」

──『ハルサーエイカー２』ではドラマ主演でしたが、ほかにはエッセイ執筆にも興味があるとか。
「大好きなライターの高倉優子さんにファンレターを書いたら返事をもらえて、興味が深まったんです。小５の時、ジョディー・フォスターに書いた手紙は返事がありませんでしたけど（笑）私、日常をテーマにしたエッセイを書きたいんです。ジュニアアスリートマイスターの資格は取りましたけど、タレントの料理本とかには興味がなくて、文章だけで人の心を動かしてみたいんです。だから今、スマホのフォルダにテーマを書き溜めてます。年内にプレゼンまで持って行くことが目標です」