「※ただしイケメンに限る」といったフレーズがネット上に氾濫し、一般社会では同性からひがみの対象にもされかねないイケメン。だが、芸能界においては美男美女があふれているため、その存在は決して珍しくはない。だからこそ、浮き上がることが困難とされる世界で、おごることなく自身の能力の研磨に集中し続けている男がいる。若手俳優の井上正大だ。野球経験者である彼が体育会根性で周囲を自身の熱に巻き込み、完成させた主演映画『テコンドー魂~REBIRTH~』に、どんな想いを込めたのか一一。
「武士道精神」という言葉を目にすると、仮面ライダー1号を演じた俳優の藤岡弘、さんを思い浮かべる人も多いことだろう。だが、仮面ライダーつながりで武士道精神を引き継ぐ役者がいる。特技であるテコンドーを駆使し、宿命に立ち向かう主演映画が公開中の井上正大さんだ。アクション好きには垂涎モノだが、時空を超えるストーリーには男女問わず心が掴まれること請け合い。小誌読者と同年代である24歳の俳優は、どんな仕事観を持っているのかも解明する。
GACKTさんに誘って頂いてテコンドーを習い始めました
──今回は若手イケメン俳優の井上正大さんが登場です!「え!? その言い方、やめて下さいよ~困ります…(苦笑)」
──でも、井上さんだってご自身のこと、イケメンだと思ってるんじゃないですか?
「いきなり、スゲー質問をしますね(笑)そんなこと、今まで考えたこともないですよ。僕は今まで自分がどんなにアウェイな状況に置かれても、やりたいことを貫き通したいっていう雑草魂で突っ走って来ただけなんですから」
──アウェイな状況に置かれた経験があるんですか?
「野球をやってた中学生時代は、ずーっと孤独でしたよ。当時は今ほど身長が高くなくて、背の順もクラスで一番前のほう。文化祭の出し物で演劇をした時、ちびっ子仮面ライダー役で先生にライダーキックをしましたもん(笑)その僕が、体格がいい人が優先されるピッチャーをやりたいと言ったらコーチや監督、チームメイトからも反感を買ってしまったんです。誰からもピッチャーとしての技術を磨く方法を教えてもらえず、家に戻るとボールを投げて1人で研究し続けましたからね。チームメイトたちの身長がどんどん伸びていくのを悔しく思いながら……。 中学入学当時は身長が150cmなかったから、それも当然かな、と。だけど、中3で160cmぐらいになって、高1で170cm、高2で175cm、高3で182cmまで伸びたから、あれ? って(笑)」
──その孤独な経験で得たことは。
「確実に諦めが悪くなりましたね。あとは、何か1つでいいから武器を持たないと、人生は勝てないんだと学びました」 ──井上さんの武器は何ですか?
「それは企業秘密です(笑)というのは冗談ですけど、好きなことに対してはまっすぐなところだと思います。好きになれないと使えないという、厄介な武器でもありますけどね。だから、仕事でも人間関係でも、『決めつけない・偏見を持たない・長所を探す』の3つを意識して、まずは好きになることから始めてるんですよ」
──諦めの悪さと武器は、主演映画『テコンドー魂~REBIRTH~』でも生かされましたか。
「と思います。実は僕、この映画をやりたいって、周囲にずっと言い続けてたんですよ。でも、映画を作るためには、スポンサーや制作スタッフ、監督や脚本、いろんな協力が必要ですよね。それが少しずつ積み上がって、ようやくクランクインできたって感じなので、諦めずにいたからこそ、少しずつ前進できたのかな、と。最近の映画は役作りに割ける時間が多くて2~3ヶ月なんですけど、この映画に関しては、テコンドーを身につけるために4~5年は費やせたから、準備万端で臨むことができました」
──テコンドーとの出会いは?
「仮面ライダーディケイドの撮影が終わった後、GACKTさんに誘って頂いたことがきっかけです。蹴り技がカッコイイし、習得できればアクションの仕事にも応用できるから、以前から習いたい格闘技ではあったんですよ。実は最強の白帯(初心者)を目指そうとずっと白帯のままでいたんですけど(笑)、上達の度合いに支障が出るので、段位を上げていくことにしました。もうすぐ黒帯になります」
──ちなみに劇中で演じた一色利道は…。
「三段で、今の自分の実力より遥かに上です。しかも、利道が戦う相手って僕の師範で現・日本チャンピオンの方だったりするんですね。武道経験者だからこそ分かるんですけど、段位が上の人とリアルに戦って勝てるわけがない。だけど、ストーリーとしては利道が勝たなきゃならない。そういう、嘘をつかなくちゃいけない点では難しかったですね」
空を飛んでみたかったのでワイヤー吊られて大興奮(笑)
──利道の父・辰夫役は、長嶋一茂さんですよね。「長嶋さんは空手家で、今も続けていらっしゃるじゃないですか。だからテコンドーに関してもメチャクチャ熱心で、根っからのアスリートなんだって印象でした。ただ、小さい頃からテレビで拝見してきた方なので、恐れ多くて大好きな野球の話はできなかったんですよ(笑)長嶋さん演じる父親と利道は『巨人の星』みたいな父子関係なので、その意味ではストイックな関係を表現できましたけど」
──映画では父と子の強い絆が描かれていますが、井上さんご自身が家族愛を感じる瞬間は?
「いつ実家に戻っても、いつもと変わらない雰囲気と会話をしている時ですね。あ~、家族がいて良かったと感じます。僕は三兄弟の長男で、最近は弟の就職についても話をすることがあるんですよ。新入社員は退職する確率が高いから、企業は多めに採用するなんて話を聞きますけど、辞めるのが僕の弟だったら怒るかもしれませんね(笑)僕は体育会系の尖ったイメージが好きじゃないんですけど、野球部で体育会系育ちですから、簡単に辞めるのって正直、あまり共感できないんですよ。本人にとっては辛い経験をしたからこそ、辞めるんでしょうけどね。僕自身も高校生の頃はコンビニと数学の家庭教師のバイトを、辞めずに続けましたから」
──野球部で根性を鍛えられた、と。
「そうですね、例え辛い状況に陥ったとしても、活路を見つけたくなるような根性を植え付けられたんでしょうね。だって、どんなに辛い時でも、必ず自分にとってプラスになる要素って、見つけられるはずなんですよ。僕はそう信じて生きています」
──ファンのブログのコメント通り、熱い男なんですね。共演者について、もう少し教えて下さい。石橋蓮司さんとは再共演?
「石橋さんは仮面ライダーの時と同じように今回も髪が白くて長くて、ややデジャブ感がありました。長嶋さんや石橋さん、ほかの共演者の方々が届けてくれるエネルギーのお陰で、利道ができあがったので、ホント感謝ですね」
──女性ファンが多い井上さんの主演作なのに、今回は恋愛要素ゼロな作品ですよね。
「そう言われてみれば色恋がないですね。でも、映画鑑賞が好きな人全員が全員、恋愛モノばかりを観たいわけじゃないですよね。僕、映画館で1人で恋愛映画を観たことがあるんですけど、ものすごく寂しくて罰ゲームかと思いましたもん(笑)それに、この映画は男性1人でも観て頂きたいので、今回は別ジャンルとして扱って、楽しんでもらえればと。もし楽しめなかったら…次は大好きなアクションを封印した恋愛映画に出ますから!」
──約束ですよ(笑)けど、ワイヤーアクションもカッコイイですし、男女ともに楽しめますね。
「…もし生まれ変われるならトンビになって空を飛んでみたいからワイヤーで吊り上げられた時に、『今飛んでる、飛べた!』って大興奮しました(笑)ジェットコースターは自分で操縦できないから怖くて乗れないんですけど、自分で操作するハングライダーに乗った時、トンビの飛び方と似てると知ったんです。トンビって羽ばたかずに、ハングライダーと同じく上昇気流の風に乗るんですよ」
──ご自身の仕事もそうありたい?
「そりゃあ上昇気流に乗りたいですよ。少なくとも、エアポケットにはハマりたくないですね」
「ドカントは求人誌ですよね…僕は何を言えば読者のみなさんのためになるんだろう」と、時には長考しながら話をしてくれた井上さん。その誠実な対応は、心もイケメンであることの証明! 今後の活躍にも大期待しております!!
INFORMATION
映画『テコンドー魂~REBIRTH~』
INFO&STORY
元テコンドー全日本チャンピオンの父・辰夫(長嶋一茂)から道場を継ぐことになっている大学生の一色利通(井上正大)は、後輩の石場(浜尾京介)らとともに全日本選手権に向けた合宿所へ向かう途中、落石事故に巻き込まれてしまう。森の中で意識を取り戻した利通や石場らに、何者かが次々と襲いかかってくる。応戦し倒すと消える敵。そして、謎の男マギー(石橋蓮司)が衝撃の事実を明かす。この森を抜け出すには勝ち続けるしかない。一方、利通の兄で本来は道場を継ぐはずだった新平(馬場良馬)は、テコンドーをやめてヤクザまがいの仕事をしていたが…。
CAST&STAFF
出演/井上正大・馬場良馬・浜尾京介・橋本真一・平田裕一郎・辻伊吹・小池里奈・小林星蘭・高田宏太郎・杉原勇武・白川裕二郎・石橋蓮司・長嶋一茂
監督・脚本/香月秀之
配給/東映ビデオ
公式HP
2月15日(土)から池袋シネマ・ロサほか全国順次公開
(C)2014「テコンドー魂」製作委員会会
PROFILE
井上正大(いのうえ・まさひろ)
1989年3月20日生まれ 神奈川県出身
08年、ミュージカル「テニスの王子様」で初舞台を踏み、俳優デビュー。09年に「仮面ライダーディケイド」に主演し、人気を博す。以後、ドラマや映画、舞台などで活躍している。映画はほかに「ゼブラーマン2 ゼブラシティの逆襲」「メサイア」「仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦」「幕末奇譚SHINSEN5 弐 ~風雲伊賀越え~」などに出演。公開待機作に「平成ライダー 対 昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊」(3月29日公開)、「レプリカント・イブ」など。3月21日、22日に初のバースデーファンツアーを開催する。
公式ブログ
公式Twitter
映画『テコンドー魂~REBIRTH~』
INFO&STORY
元テコンドー全日本チャンピオンの父・辰夫(長嶋一茂)から道場を継ぐことになっている大学生の一色利通(井上正大)は、後輩の石場(浜尾京介)らとともに全日本選手権に向けた合宿所へ向かう途中、落石事故に巻き込まれてしまう。森の中で意識を取り戻した利通や石場らに、何者かが次々と襲いかかってくる。応戦し倒すと消える敵。そして、謎の男マギー(石橋蓮司)が衝撃の事実を明かす。この森を抜け出すには勝ち続けるしかない。一方、利通の兄で本来は道場を継ぐはずだった新平(馬場良馬)は、テコンドーをやめてヤクザまがいの仕事をしていたが…。
CAST&STAFF
出演/井上正大・馬場良馬・浜尾京介・橋本真一・平田裕一郎・辻伊吹・小池里奈・小林星蘭・高田宏太郎・杉原勇武・白川裕二郎・石橋蓮司・長嶋一茂
監督・脚本/香月秀之
配給/東映ビデオ
公式HP
2月15日(土)から池袋シネマ・ロサほか全国順次公開
(C)2014「テコンドー魂」製作委員会会
PROFILE
井上正大(いのうえ・まさひろ)
1989年3月20日生まれ 神奈川県出身
08年、ミュージカル「テニスの王子様」で初舞台を踏み、俳優デビュー。09年に「仮面ライダーディケイド」に主演し、人気を博す。以後、ドラマや映画、舞台などで活躍している。映画はほかに「ゼブラーマン2 ゼブラシティの逆襲」「メサイア」「仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦」「幕末奇譚SHINSEN5 弐 ~風雲伊賀越え~」などに出演。公開待機作に「平成ライダー 対 昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊」(3月29日公開)、「レプリカント・イブ」など。3月21日、22日に初のバースデーファンツアーを開催する。
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Interview&Text/内埜さくら Photo/おおえき寿一 Hair&Make-up/山下由花