主演映画『彩~aja~』で12年の「モナコ国際映画祭」最優秀新人賞を受賞し、世界的にも注目度の高い女優笠原千尋さん。そんな彼女が出演した映画『神奈川芸術大学映像学科研究室』が、1月25日より公開される。本作を含め、公開待機作を3本以上持つ映画女優の実力が、いかんなく発揮されている。「こういうことって、あるよね」と、働く世代なら誰しもが感じられ、心に密着しながらも刺さる作風について聞いた。
役同様マジメだと思いますがマジメのベクトルが違うかも
──笠原さんのその声の低さが坂下監督を惹きつけたと聞きました。「らしいですね。電話だとだいたい『機嫌が悪いの?』と聞かれるこの声を気に入ってくださるなんて、世の中は何があるか分からないものですよね。落ち着いてるともよく言われるんですけど、これも昔からなんですよね」
──でも、顔は童顔ですよね。
「今23歳なんですけど、最近になって『ハタチ超えてるの?』と聞かれるようになりました(笑)だけど声が低いので、しゃべると年齢がバレるという…」
──ですが劇中では童顔を感じさせないほど、しっかりと大学の事務員さんでした。
「ありがとうございます。自分が通っていた明治大学の事務室に近いベンチに座って、事務員さんの様子を観察して参考にしたんです。事務職に就いた経験がないので。演じた千春はとにかく真面目な女性で、監督から『淡々と演じてほしい』と言われたんですけど、ただ淡々と演じただけではサイボーグになってしまう。だから、真面目と淡々のさじ加減に気を遣いました」
──千春と同様、笠原さんも真面目な性格だとか。
「中学校時代は真面目でしたね。宿題を忘れたことがなかったですし、皆勤賞を目指してましたから。高校に入ってからは、勉強に対しての真面目さはなくなりました(笑)ダンスと合唱部の練習に明け暮れていたんです。でも、その2つに関してだけは、どんなに体調が悪くても続けてましたから、真面目のベクトルが変わったんだと思います。昔から、好きで打ち込める何かを見つけると、周りが見えなくなるほど集中するんです」
──というと、今は…。
「女優というお仕事がなくなったら、本当に困りますね。私、何もなくなっちゃう(笑)」
登場人物を見て自分も頑張るかと感じてもらえたら嬉しい
──劇中では、飯田芳さん演じる奥田明と、前野朋哉さん演じる斉藤健二と過ごす時間が長い役ですが、役作りは。「飯田さんとは常に一緒なので、私から話しかけようと思っていたら、それ以上に話しかけてくれたので、心の壁を取っ払って頂きました。前野さんは飯田さんと顔なじみなので、それを見ていたんでしょうね。飯田さんとは逆に気にかけないでいてくださって、受け止めてもらった気がします。お陰で、気負わずナチュラルな状態で演じられました」
──この3人を含め登場人物は、どこにでもいる人物ですよね。
「『こういう人、いるよね』と言ってもらうことが目標の1つだったので、その言葉はうれしいですね。働いていると、自分ではどうしようもない状況にることって、あると思うんです。だから観てくださる方々には、『この人たちが頑張ってるんだから、自分も踏ん張ってみるか』と、少しだけ前を向く手助けにして頂きたいですね」
──話してみて気づきましたが、笠原さん、よく笑いますよね。
「目力が強すぎて怖いと言われたことがあるので(苦笑)笑うように意識してるんですよ」
──ということは、テーマである「隠ぺい」も得意?
「嘘がつけないから役作りをするので、苦手だと思います。私の感覚では、役を自分に染み込ませないと表面的に演じていることがバレてしまうと思うんです。それにたぶん私、人と比べて嘘がバレやすいんですよね。嘘をつこうとすると、いつもより目を合わせたり、言葉数が増えたり、しゃべるテンポが早まってすぐに、見破られてしまうんです(笑)仕事でもプライベートでも、苦手ですね」
INFORMATION
■映画『神奈川芸術大学映像学科研究室』
INFO&STORY
神奈川芸術大学映像学科で助手として勤務する奥田(飯田芳)は、事なかれ主義で保身のことしか考えない教授陣や迷惑ばかりかけてくる学生たちの間で板挟みの日々を送っていた。そんなある日、奥田は学生たちが大学の機材を盗み出している現場を目撃してしまう。事件が世間に知られることを恐れた教授陣は隠ぺいを図り、奥田に嘘の報告書を書くよう指示。しかし、再び学内で新たな事件が発生したことから、事態は次々と悪い方向へとむかっていき…。SKIPシティDシネマプロジェクト第4弾作品。
CAST&STAFF
出演/飯田芳・笠原千尋・前野朋哉・宮川不二夫・高須和彦・中村有・嶺豪一・中本章太・細井学・早乙女バッハ・生実慧・島野千尋・矢島康美・田口治
監督・脚本/坂下雄一郎
配給/デジタルSKIPステーション
公式HP
1月25日(土)より新宿武蔵野館にてレイトショーほか全国順次公開
(C)東京藝術大学大学院映像研究科
PROFILE
笠原千尋(かさはら・ちひろ)
1990年9月26日生まれ 山形県出身
主演デビュー作「彩~aja~」で第10回モナコ国際映画祭最優秀新人賞を受賞。以降、映画や舞台を中心に活躍。主な出演作に映画「お兄ちゃんに近づくな、ブスども!」「Yokohama Dream」、舞台「サムライナンバーナイン 飛龍伝~革命という名の愛のために~」がある。公開待機作に「二人の女勝負師」「ぎゅってする」などがある。
公式ブログ
公式HP
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神奈川芸術大学映像学科で助手として勤務する奥田(飯田芳)は、事なかれ主義で保身のことしか考えない教授陣や迷惑ばかりかけてくる学生たちの間で板挟みの日々を送っていた。そんなある日、奥田は学生たちが大学の機材を盗み出している現場を目撃してしまう。事件が世間に知られることを恐れた教授陣は隠ぺいを図り、奥田に嘘の報告書を書くよう指示。しかし、再び学内で新たな事件が発生したことから、事態は次々と悪い方向へとむかっていき…。SKIPシティDシネマプロジェクト第4弾作品。
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出演/飯田芳・笠原千尋・前野朋哉・宮川不二夫・高須和彦・中村有・嶺豪一・中本章太・細井学・早乙女バッハ・生実慧・島野千尋・矢島康美・田口治
監督・脚本/坂下雄一郎
配給/デジタルSKIPステーション
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1月25日(土)より新宿武蔵野館にてレイトショーほか全国順次公開
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笠原千尋(かさはら・ちひろ)
1990年9月26日生まれ 山形県出身
主演デビュー作「彩~aja~」で第10回モナコ国際映画祭最優秀新人賞を受賞。以降、映画や舞台を中心に活躍。主な出演作に映画「お兄ちゃんに近づくな、ブスども!」「Yokohama Dream」、舞台「サムライナンバーナイン 飛龍伝~革命という名の愛のために~」がある。公開待機作に「二人の女勝負師」「ぎゅってする」などがある。
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撮影◎おおえき寿一 取材・文◎内埜さくら ヘアメイク/村田エリ