「当日会場に来なくてもいいから、チケットだけ買って下さい。誰かまとめて１００枚ほど買ってくれないかしら」

「ヒロシです…」でおなじみの芸人ヒロシさんが８年ぶりの単独ライブ『泥水』を、11月２、３日に新宿シアターモリエールで開催する。「人が経験しなくてもいいような苦労ばかりしてるんですよ」と、自身を不遇と断言する彼の“泥水人生”を、間近で鑑賞できる貴重な機会なのでぜひ会場へ！　全公演のチケット購入者には特典が付くかもしれないとのこと。詳細はヒロシさんのＨＰをチェック!!
──単独ライブのチケットが売れないとどえらい金額を支払う、とツイートしてましたね。
「ざっくりで、総額２００万円かかるんです。会場だけで60万円かかるし、稽古場を押さえるのも衣装を揃えるのも、自分で準備しますからねぇ。しかも２日間で５００人の予定が、蓋を開けたら30枚しか売れてないんですよ（８月27日現在）。当日会場に来なくてもいいから、チケットだけ買って下さい、と思うほど崖っぷちです。誰かまとめて１００枚ほど買ってくれないかしら」

──ヒロシさんには、ツイッターのフォロワーが５万３０００人近くいますよ！
「いやいや、僕は舐められてるんですよ。『タイムラインがヒロシばっかりでイライラする！』とか、平気で苦情が来ますから。そういう人は買ってくれないでしょうから、ブレイクした時以外は不遇な人生なんです、僕」

──不遇とおっしゃる人生と、ライブのタイトル『泥水』には何か関係がありますか？
「おおありですよ。僕の不遇な人生と自虐ネタをひと言で表す言葉を探した時に思いついたんです。泥水って、飲めもしないし体を洗えるわけでもないし、使えないじゃないですか。僕の現状と似てるかな、と」

──タイトルから自虐なんですね。ネタは決まりましたか。
「それがですね、当初は不遇な人たちを芝居仕立てで見せていく内容にする予定だったんですけど、役者を雇うにもセットを作るも金がかかるで、振り出しに戻っちゃったんです。本番まで２ヶ月を切った今でこの状態ですから、間に合わないんですよね。どうしましょう、弱ったな、という。一発屋と呼ばれているけど実は面白いってことを世間に知らしめたいって気合いはあるんですけど、１人でできることには限界がありますね」

──お得意の下ネタは？
「それは多めになるでしょうね。今ね、嫁にヤラせてもらえなくてキンタマが肥大してしまった男の話を考えてるんですよ。リアリティーあふれるキンタマが必要で、それにもお金がかかるからまだ検討段階ですけど。僕の唯一の武器である『ヒロシです』は５分ぐらいしかできませんから、他のネタ満載なことは確実です。トークライブは吉本興業時代から仲がいいスパローズの２人を呼んでしゃべりまくりますから、僕のことを無口だと勘違いしている人たちのイメージも覆しますよ」

──単独ライブは８年ぶりですが、この８年間いかがでしたか。
「前回がブレイク真っ只中でのライブでしたから、落ち目をたっぷりと味わった苦痛の時期でしたね…って、今も継続中ですけど。１回、激しく持ち上がってから落ちてるぶん、落差がきついんですよ」

──では、ヒロシさんにとっての天国と地獄の時期とは？
「３年間勤めたホストクラブから逃げ切って辞められた時が天国でしたね。穏便に辞めるチャンスを伺ってたんですけど見つからなくて、実家に雲隠れしたんですよ。地獄だったのは、テレビ番組で２ヶ月間、土木作業をさせられた時。テレビカメラなんて１～２回しか来ないのにガチで住み込みだったんです。ヤンキー上がりの作業員にイジメられるし、親方が飼ってる土佐犬６匹の世話を毎日強制でやらされるし、梯子の上で曲芸をやる『梯子乗り』までやらされて、最悪でしたね。99年から00年のミレニアムを、僕は寮で過ごしたんですよ！　でもやっぱり、地獄は今ですかね。20、30代の頃はどこかで自分を保てていたんですけど、40代独身で一人暮らしって状況で自分の将来を考えると、たまに夜、得も言われぬ恐怖に襲われますから」

──ライブチケットが売れたら、その思いから解放されるのでは。
「そうかもしれません。暇だからくだらないことばっかり考えるんですけど、チケットが売れたら次のことも考えなくちゃいけませんからね。だから、会場へ来なくてもいいからチケットだけ、買ってください」