「オンリーワンの作品が撮れたと思います。 この映画を観て、孤独な時間があるからこそ人は成長すると感じてもらえたらうれしいです」
モノマネ芸人、俳優、振付師とマルチな才能を発揮している前田健さんの小説「それでも花は咲いていく」が自身初の監督、脚本により映画化! 作品の見どころに加えて、夢を叶える秘訣についても聞きました!!
キャスティングにこだわりR指定なしで作りたかった
──前田さんの処女小説「それでも花は咲いていく」が映画化され、公開中ですね。映画監督も初ですが、いかがでしたか。「楽しかったけど、かなり大変でしたね。監督は、思い描いた理想の姿を守りきって、それ以外の要素を排除するのがメインの業務。僕が表現したい世界観が損なわれないよう、画面から見切れるであろうエキストラの方々の衣装の色にまで、イエスやノーを出しました」
──今回、監督を務めるに際し最もこだわった点は?
「キャスティングです。この映画にはアクションやラブシーンがないし、CGを使っているワケでもないから、見せる部分といえば感情の流れのみ。だから役者さんたちの演技力頼みだったんですよね。特に三篇の主人公を演じてもらう人たちには、翌日も同じように生きているような雰囲気を醸し出してほしかった。役ではなく、人として生きているというか…。そういう意味では、僕の選ぶ目に狂いはなかったと思いました」
──小説は全九篇ですが、この三篇を選んだ理由を教えて下さい。
「裸のシーンが出てこなくてR指定をしないで済む作品を探したら偶然、男性が主人公のこの三篇になったんです。エログロな仕上がりにはしたくなかったから、年齢制限のR指定から外れるという点は大事でしたね」
孤独な時間があるからこそ成長できると感じてほしい
──撮影で苦労した部分は。「6月という梅雨の時期に撮影した上に屋外で撮ることが多かったので、天気にヒヤヒヤさせられていました。雨で撮影が延期になると、莫大な費用がかかるとプロデューサーに脅されていたので(笑)。結果的に雨には降られませんでしたけど」
──見どころをお願いします。
「他の映画とは似たところがない、オンリーワンの作品になったと感じています。この映画を観て、孤独は悲しいことじゃない、むしろ孤独な時間があるからこそ人は成長すると感じてもらえたらうれしいです」
──前田さんにとって、この作品はどんな存在?
「僕自身の心の一部分を切り取って増幅させて作ったものだから、もし評価されなかったら自分を否定されたように感じてしまうかも…。それぐらい、僕にとっては大切な作品。自分自身を表現することは楽しくもあるけど怖かった。だからこそ、観た方の感想を聞きたいです」
──では本作に点数をつけるなら。
「100点満点で99点。1点マイナスにしておかないと、次もという欲求が起こらない気がするので」
自分の劇団を持つのが夢!長編映画も撮りたいですね
──次回作の構想はありますか?「今度はオムニバスではなく長篇を撮りたいですね。影のあるヒューマンもので。公明正大なラブコメは他に上手に作ってくれる人がいるから、僕は痛みを味わいつつも生きて行く人を描きたいです」
──前田さんは好きなことを仕事にしていますが、夢を叶える秘訣を教えて下さい。
「今の自分を正しく判断してから、こうなりたいというビジョンを描く。そうすると自然に、夢と自分のギャップが見えてきますよね。その差を『だって』と『でも』という理由をつけて逃げずに埋めていく。これが、僕が実践した方法です」
──なるほど。では、ご自身が描く今後のビジョンは?
「最終的には自分の名前が付いた劇団を立ち上げたいと考えています。劇団にレベルが高い役者さんを集めるためには、まず自分がクリエイターとして上質なものを発信しないと。そのためにも“あややの人”という肩書きから脱却したいですね」
INFORMATION
■映画『それでも花は咲いていく』
【STORY&INFO】
神様、こんなボクでも幸せになれますか? 過去に小学生の教え子にしてはいけないことを起こした罪を背負いながら、自分の許されない恋愛に悩む元有名進学塾の講師だった男(仁科貴)、容姿の醜さから人に拒絶されて以来、人を避けながら他人の部屋に侵入することに生きがいを感じる男(滝藤賢一)、そして最愛の母親を突然失い、呆然とした時間を過ごしながら過去の母親に想いをはせる男(平山浩行)と、一見否定されそうな癖を持つ3人の男たちが主人公。前田健が09年に発表した同名処女小説を原作に、人と変わった愛の形を抱えたまま、誰に打ち明けることも叶わず、生きづらいこの世界を健気に、必死に生きていこうとする人たちの姿を描いた3編の物語。
【CAST&STAFF】
出演/仁科貴・滝藤賢一・平山浩行・南野陽子・冨家規政・カンニング竹山・佐藤二朗・ダンカン・酒井敏也・小木茂光・麻生祐未
原作・脚本・監督/前田健「それでも花は咲いていく」(幻冬舎刊)
配給/ケイダッシュステージ・リンクライツ
公式HP
テアトル新宿、キネカ大森ほか全国公開中
(C) 2011「それでも花は咲いていく」フィルムパートナーズ
PROFILE
前田 健(まえだ・けん)
1971年6月14日生まれ 東京都出身
19歳の時に渡米し、ニューヨーク・マンハッタンのブロードウェイセンターで4年間、ダンスと歌を学ぶ。94年に帰国後、タレントとして活動を開始。あややこと松浦亜弥のものまねで一躍ブレイクし、人気芸人となる。その後、俳優として映画「火天の城」「昴」、テレビドラマ「恨み屋本舗 REBOOT」「まっつぐ〜鎌倉河岸捕物控」などに出演。09年に「それでも花は咲いていく」で作家デビューを果たした。恋愛指南本「きょうだいでわかる!LOVE&キャラ診断」、文庫版「それでも花は咲いていく」好評発売中。出演映画「少女たちの羅針盤」は5月14日から公開中。
■映画『それでも花は咲いていく』
【STORY&INFO】
神様、こんなボクでも幸せになれますか? 過去に小学生の教え子にしてはいけないことを起こした罪を背負いながら、自分の許されない恋愛に悩む元有名進学塾の講師だった男(仁科貴)、容姿の醜さから人に拒絶されて以来、人を避けながら他人の部屋に侵入することに生きがいを感じる男(滝藤賢一)、そして最愛の母親を突然失い、呆然とした時間を過ごしながら過去の母親に想いをはせる男(平山浩行)と、一見否定されそうな癖を持つ3人の男たちが主人公。前田健が09年に発表した同名処女小説を原作に、人と変わった愛の形を抱えたまま、誰に打ち明けることも叶わず、生きづらいこの世界を健気に、必死に生きていこうとする人たちの姿を描いた3編の物語。
【CAST&STAFF】
出演/仁科貴・滝藤賢一・平山浩行・南野陽子・冨家規政・カンニング竹山・佐藤二朗・ダンカン・酒井敏也・小木茂光・麻生祐未
原作・脚本・監督/前田健「それでも花は咲いていく」(幻冬舎刊)
配給/ケイダッシュステージ・リンクライツ
公式HP
テアトル新宿、キネカ大森ほか全国公開中
(C) 2011「それでも花は咲いていく」フィルムパートナーズ
PROFILE
前田 健(まえだ・けん)
1971年6月14日生まれ 東京都出身
19歳の時に渡米し、ニューヨーク・マンハッタンのブロードウェイセンターで4年間、ダンスと歌を学ぶ。94年に帰国後、タレントとして活動を開始。あややこと松浦亜弥のものまねで一躍ブレイクし、人気芸人となる。その後、俳優として映画「火天の城」「昴」、テレビドラマ「恨み屋本舗 REBOOT」「まっつぐ〜鎌倉河岸捕物控」などに出演。09年に「それでも花は咲いていく」で作家デビューを果たした。恋愛指南本「きょうだいでわかる!LOVE&キャラ診断」、文庫版「それでも花は咲いていく」好評発売中。出演映画「少女たちの羅針盤」は5月14日から公開中。
取材・文/内埜さくら 撮影/おおえき寿一