プロレス界のレジェンド50代トリオ藤波辰爾さんと長州力さん、初代タイガーマスクさんの3人が「LEGEND THE PRO-WRESTLING」を発足。来年1月10日に東京・後楽園ホールでの試合が決定した。30年以上もリングに立ち、戦い続ける男たちが歴史に新たなる1ページを刻む…。体を張って生きてきた3人が発する言葉の一つ一つに魂を揺さぶられます!!
藤浪選手と長州選手のカードに泣き出す人もいるはず!
炎の飛龍ドラゴン藤波辰爾、革命戦士長州力、四次元殺法初代タイガーマスクの3選手が来年1月10日に新春レジェンド興行を開催。82年10月の「噛ませ犬事件」から28年、メインで藤波選手と長州選手が13年5ヶ月ぶりに一騎打ちが決定。試合への意気込みや人生訓を聞きました!!──立ち上げ、開催に至った経緯を教えて下さい。
長州「僕個人の意見として、業界の情勢は苦しいままだけど、もう今年と同じような1年を来年は繰り返したくないな、と。だからこそ、この3人が大同団結してまた1本の道を歩いてみようかと思ったんですよ。何十年という長い時間がかかりましたけどね」
藤波「ただし、これは団体ではないんですよ。自分はドラディションを立ち上げていますし、初代タイガーマスクはリアルジャパン、長州選手もロックアップをやっていますから。我々はプロレスが一番いい時代に育ててもらったからこそ、何か恩返しがしたい。その活動のための母体なんです」
初代タイガーマスク(以下、初代T)「藤波さんの言う通り、プロレスにお世話になったからこそ僕らにできることを還元したくて今回の興行をするっていうのはありますね。3人で地方を回ると町を揚げての歓迎ぶりにあったりしますから、このネームバリューを何かに活かしたいんです」
──みなさん50代ですが、試合に向けての体力作りはどのように。
初代T「僕は一昨日、10キロ走って坂道ダッシュを20本走って、10分1ラウンドのスパーリングを6本やったら、昨日は体が痛くて動きませんでした(笑)」
長州「本番ではタイガーマスクの体が一番変化していると思いますよ。体が変化すればリング上での動きも変わりますから楽しみですね。僕は若い頃から週34回の練習ペース。今も崩していません。来年に向けて、青汁を飲む量が増えましたけど」
初代T「長州さん、僕はナイシトールを飲んでます」
藤波「2人とも…。僕は普段通りですね。自分の体に声を傾けつつ、マイペースに練習してます」
──藤波さんと長州さんのシングルマッチが注目を浴びていますよね。
藤波「自分としては、心の中に閉まっておきたいカードだったんですよね。だけど長州さんの猛アタックに遭い了承しました。可能な限りコンディションを整えて、この戦いに賭ける所存です」
長州「どれぐらいぶりですかね、藤波さんとのシングルマッチは。僕自身は大変光栄ですし、試合まであと1ヶ月を切ったから結構気合いを入れていこうかな、と」
初代T「これはすごい試合になりますよ! 僕も1ファンとして今からワクワクしています。何ならレフェリーとしてリングの上にいたいと思うほど。2人の勇姿を観て泣くファンもいるんじゃないですか。僕もファンのみなさんと一体化したいですね」
──初代タイガーさんの試合も楽しみにしているファンは多いかと。
藤波「もちろんですよ! タイガーがリングに上がるだけで、主題歌が流れるだけで、タイガーコールの渦ですね、確実に」
長州「最後に自分からマスクを脱いじゃうんじゃないの?」
初代T「疲れたら脱いじゃうかも知れませんねぇ(笑)」
必要以上を背負うとせずに芯がブレないようにすべき
──今後、興行は定期的に開催されるのでしょうか。藤波「各自団体を持っているので期日を決めてしまうと無理が来るんですよ。だから自由に開催できるようにしていく予定です」
──みなさんで興行以外のプロジェクトも構想中だと聞きましたが。
長州「地方巡業も含めてリングがメインですが、福祉のお手伝いであったりとか、チャリティーイベントの企画だとか、リング以外の取り組みを小さなことでも目に見える形で実現させたいですね」
藤波「そう。目に見える形といっても、僕ら3人が○×町内会の掃き掃除をするとかってことじゃないですよ(笑)」
初代T「最初に大風呂敷を広げず自然に上がってきた声に応えられたらいいですよね」
一つの場所で懸命に頑張れば夢を叶えることができる!
──仕事に対する考え方も聞かせて下さい。辛い時代を切り抜けるコツはありますか?長州「仕事はどんな職種でも大変なんですよ。辛い時代を切り抜けるなら、自分の中の芯がブレないようにすること! 40代では感じなかったけど僕は50代になって、匠になれた気がします」
初代T「芯って生きていく上で大切なんですよ。自分にとっての信念、真実、芯があればブレずに済みますから。逆に芯がなければブレるのは当然なんです」
長州「仕事とプライベートのスイッチを切り替えることも必要ですよね。僕らはその点に関しても巧みですよ。リングの中でくたばりたくないですから」
初代T「3人とも控え室では体の不調を訴えても、リングでは微塵も感じさせないですからね。切り替えスイッチは必須ですね」
藤波「要は本番で自分なりのベストを出せればいいということ。必要以上のものを背負おうとするから、負担になって潰れてしまうんですよ。満足感も得られない。自分なりに自信を持って信じている事柄を実現できたなら、それで良しとしないと」
──ですが、最近は就職難で、若者は好きな仕事にすら就けない状況です…。
長州「ちょうど今朝、ニュースで見ましたよ。好きな仕事に就けずに結局、妥協するんですよね。可哀想に。こういう時代になってしまったのは、政治が悪い! 若者は国会議事堂の前でストライキでも起こさないと」
初代T「長州さんはいつか政治家をやっつけると思います。議事堂の3階から1階を歩いている議員をめがけて、ドカーンとジャンピングアタック(笑)」
長州「やっつけませんから! でも前に某議員が『これから我々もプロレスじゃなくガチンコ勝負で』と言ったでしょう。お前らにプロレスの何が分かるんだ!? と思いましたよ」
初代T「長州さんは参院選に出馬します!」
長州「しません!!」
藤波「…話が脱線しちゃったね(笑)。だけど、こんな不安定な時代だと、彼らより僕らのほうが若者に夢を与えられる気はしますけどね…」
──藤波さん、まとめて頂きありがとうございます! どなたか夢を叶える術を教えて下さい。
初代T「長州さんと藤波さんが2030代の頃、2人は一所懸命に試合をしていましたよね。この“一所懸命”って武士が使っていた言葉なんですけど、一つの場所で懸命に頑張るという意味なんですよ。みなさんは、そういう時代を過ごしていますか? ってことです。これが夢を叶えるコツです!!」
──最後に読者へメッセージをお願いできますか。
長州「若い時にしかできないことを一所懸命やったほうがいい。一歩一歩着実に向かっていけば確実に夢には近づくから、頑張ってほしいですね」
藤波「遊びでも仕事でもいいから何かに打ち込んで、得意分野を見つけて下さい。そして、見つけたらとにかく行動あるのみ!」
初代T「医者が言っていたんですけど、目標を失うと人は2で死ぬらしいですよ。だから何かしら目標を持ち続けましょう!」
70年後半から80年代初頭、海外遠征から帰国後、空前のドラゴンブームを巻き起こし新日のエースとして活躍した藤波さん、アマレスで五輪出場を経て革命戦士としてプロレス第三次黄金時代を担った長州さん、そしてタイガーブームは社会現象にもなった立役者の初代タイガーマスクさん。強面ながら素はサービス精神旺盛でトーク力もピカイチ。今なお現役でプロレス界を牽引し続ける彼らの試合を見たいなら、新年1月10日は後楽園ホールへゴー!!
INFORMATION
■「LEGEND THE PRO-WRESTLING」
【INFO】
名勝負数え歌の封印が遂に解かれる一。藤波辰爾、長州力、初代タイガーマスクが新イベント興行「LEGEND THE PRO-WRESTLING」を来年1月10日、後楽園ホールで旗揚げ。藤波と長州の97年8月10日、新日本のナゴヤドーム大会以来となる一騎打ちも決まった。興行以外にも福祉活動などの母体となるもので、ロゴは龍(藤波)とサソリ(長州)と虎(タイガー)が絡み合ったデザインに。
【対戦カード】
長州力(RIKIPRO) vs 藤波辰爾(ドラディション)、初代タイガーマスク(リアルジャパンプロレス)&AKIRA vs 獣神サンダー・ライガー&ウルティモ・ドラゴン、大森隆男&石井智宏 vs 本田多聞&関本大介
会場/東京・後楽園ホール
日時/11年1月10日(月・祝)
開場/11時15分
開始/12時
主催/LEGEND THE PRO-WRESTLING実行委員会
PROFILE
藤波辰爾(ふじなみ・たつみ)
1953年12月28日生まれ 大分県国東市出身
70年6月、16歳で日本プロレスに入門。71年5月にデビュー。72年3月、新日本プロレスの旗揚げに参加。78年3月に海外遠征から帰国、空前のドラゴンブームを巻き起こし、ジュニア戦線を確立。ヘビー級転向後は数度に渡るIWGPヘビー級王座、タッグ王座の戴冠、G1優勝などエースとして活躍。99年6月より5年間に渡り新日本プロレス社長を務めた。06年6月30日付で新日本を退団し、同8月に無我ワールドプロレスリングを旗揚げ。08年1月より団体名をドラディションに改め、取締役社長を務めるだけでなく選手としても活動中。レスラー生活40周年を記念した自伝本「藤波辰爾自伝 未完のレジェンド」(草思社)が好評発売中。
公式HP
長州力(ちょうしゅう・りき)
1951年12月3日生まれ 山口県徳山市出身
専修大時代はアマレスで活躍し、72年のミュンヘン五輪に出場。73年12月、新日本プロレスに入門、74年8月にデビューする。82年10月、同世代のスター藤波辰爾への「かませ犬」発言で大ブレイク。空前の“革命戦士”長州力ブームを巻き起こし、プロレス第三次黄金時代を築く。84年にジャパンプロレスを立ち上げ、主戦場を全日本プロレスへ移す。87年、古巣である新日本に復帰。現場監督として新日本プロレス90年代の隆盛の時代を統率した。98年1月4日、現役にピリオドを打つが00年に大仁田厚の挑発に乗り、横浜アリーナでの有刺鉄線電撃爆破マッチで復帰。03年3月にWJプロレスを旗揚げ、06年からは主宰するRIKIPROの興行「LOCK UP」を始動。09年にレスラー生活35周年を迎えた。
公式HP
初代タイガーマスク(しょだいたいがーますく)
1957年11月27日生まれ 山口県下関市出身
76年に新日本プロレスでデビュー。メキシコやイギリスで活躍後、81年4月に覆面レスラー・初代タイガーマスクとして衝撃デビュー。華麗な空中技と変幻自在な四次元殺法、威力抜群な打撃技で、プロレス界のみならず社会的に“タイガーマスク”ブームを巻き起こす。83年8月、電撃引退後、旧UWFに参戦。ザ・タイガー、スーパータイガーとしてより格闘技色の強いファイトを展開。その後、シューティング(プロフェッショナル修斗)を設立。UFOで小川直也を育てた後、98年5月、“市街地型実戦武道”掣圏道(掣圏真陰流)を創始。05年4月にプロレスの復権を旗頭に真・プロレス団体リアルジャパンプロレスを設立。今年10月には武道 掣圏を新たに立ち上げた。
公式HP
■「LEGEND THE PRO-WRESTLING」
【INFO】
名勝負数え歌の封印が遂に解かれる一。藤波辰爾、長州力、初代タイガーマスクが新イベント興行「LEGEND THE PRO-WRESTLING」を来年1月10日、後楽園ホールで旗揚げ。藤波と長州の97年8月10日、新日本のナゴヤドーム大会以来となる一騎打ちも決まった。興行以外にも福祉活動などの母体となるもので、ロゴは龍(藤波)とサソリ(長州)と虎(タイガー)が絡み合ったデザインに。
【対戦カード】
長州力(RIKIPRO) vs 藤波辰爾(ドラディション)、初代タイガーマスク(リアルジャパンプロレス)&AKIRA vs 獣神サンダー・ライガー&ウルティモ・ドラゴン、大森隆男&石井智宏 vs 本田多聞&関本大介
会場/東京・後楽園ホール
日時/11年1月10日(月・祝)
開場/11時15分
開始/12時
主催/LEGEND THE PRO-WRESTLING実行委員会
PROFILE
藤波辰爾(ふじなみ・たつみ)
1953年12月28日生まれ 大分県国東市出身
70年6月、16歳で日本プロレスに入門。71年5月にデビュー。72年3月、新日本プロレスの旗揚げに参加。78年3月に海外遠征から帰国、空前のドラゴンブームを巻き起こし、ジュニア戦線を確立。ヘビー級転向後は数度に渡るIWGPヘビー級王座、タッグ王座の戴冠、G1優勝などエースとして活躍。99年6月より5年間に渡り新日本プロレス社長を務めた。06年6月30日付で新日本を退団し、同8月に無我ワールドプロレスリングを旗揚げ。08年1月より団体名をドラディションに改め、取締役社長を務めるだけでなく選手としても活動中。レスラー生活40周年を記念した自伝本「藤波辰爾自伝 未完のレジェンド」(草思社)が好評発売中。
公式HP
長州力(ちょうしゅう・りき)
1951年12月3日生まれ 山口県徳山市出身
専修大時代はアマレスで活躍し、72年のミュンヘン五輪に出場。73年12月、新日本プロレスに入門、74年8月にデビューする。82年10月、同世代のスター藤波辰爾への「かませ犬」発言で大ブレイク。空前の“革命戦士”長州力ブームを巻き起こし、プロレス第三次黄金時代を築く。84年にジャパンプロレスを立ち上げ、主戦場を全日本プロレスへ移す。87年、古巣である新日本に復帰。現場監督として新日本プロレス90年代の隆盛の時代を統率した。98年1月4日、現役にピリオドを打つが00年に大仁田厚の挑発に乗り、横浜アリーナでの有刺鉄線電撃爆破マッチで復帰。03年3月にWJプロレスを旗揚げ、06年からは主宰するRIKIPROの興行「LOCK UP」を始動。09年にレスラー生活35周年を迎えた。
公式HP
初代タイガーマスク(しょだいたいがーますく)
1957年11月27日生まれ 山口県下関市出身
76年に新日本プロレスでデビュー。メキシコやイギリスで活躍後、81年4月に覆面レスラー・初代タイガーマスクとして衝撃デビュー。華麗な空中技と変幻自在な四次元殺法、威力抜群な打撃技で、プロレス界のみならず社会的に“タイガーマスク”ブームを巻き起こす。83年8月、電撃引退後、旧UWFに参戦。ザ・タイガー、スーパータイガーとしてより格闘技色の強いファイトを展開。その後、シューティング(プロフェッショナル修斗)を設立。UFOで小川直也を育てた後、98年5月、“市街地型実戦武道”掣圏道(掣圏真陰流)を創始。05年4月にプロレスの復権を旗頭に真・プロレス団体リアルジャパンプロレスを設立。今年10月には武道 掣圏を新たに立ち上げた。
公式HP
取材・文/内埜さくら 撮影/おおえき寿一