80年代に一世風靡した伝説のロックンロールバンドTCR横浜銀蝿RS。デビュー30周年を記念して、コンプリートBOX「完」とオリジナルアルバムの“紙ジャケット復刻盤”8タイトルが絶賛発売中だ。今回はメインボーカルの翔さんが登場し、作品についてお話してくれました。デビュー直後の暴れん坊時代についてや、今すぐ実践可能な夢を叶える方法についても語り尽くしてくれました!
俺たちの全てが分かる『完』とアルバム両方を聴くべし!
TCR横浜銀蝿RSがコンプリートBOXとアルバムを発売。メインボーカルの翔さんに作品の魅力を語って頂きつつ、熱い人間性にも密着します!!──デビュー30周年を記念したコンプリートBOX完が発売中ですね。まずは本作を制作するに至った経緯から教えて頂けますか。
「横浜銀蝿が一番熱かった時代、80年9月21日83年12月31日の期間にスタッフとして加わってくれていた、キング(レコード)のK氏にアルバムを出したいとアプローチしたんだよね。そうしたら彼も『銀蝿の証を残したい』と言ってくれて、2人の思いが合致したワケ。長く活動して来たバンドとしてコンプリートBOXを出せることはステータスだから、K氏には感謝。本当に有り難いよ」
──ブレイクするきっかけとなった「ぶっちぎり Rock’ Roll」も収録されていますよね。ファンは懐かしいと思います。
「あの曲の頭の爆走音ね、集会にカセットデッキを持ち込んで、生の音を録音したんだよね。だから全国の暴走族に、格好だけじゃないんだと認められたんだと思う。音楽をマジメにやってるヤツからしたらありえないと受け取られるけど、好きなようにさせてもらっていたんだよ、当時は」
──翔さんは本作を聴いて、当時を思い出しますか?
「曲が完成した時に、どんな女と付き合ってて、ちょうど何をしてたかは思い浮かぶね。日記を書く柄じゃないから、こと細かく昔の出来事をチェックはしないけど」
──本作と同時にオリジナルアルバムが8タイトル発売されますね。
「全部、紙ジャケット復刻盤CDだから、レコード世代にはたまらないはず。今は音楽を聴く手段に配信が増えていて、音楽を形として残さない人が増えているけど、思い出として手元に置いておく方が俺は好きだから提案したんだ。CDだから気軽に車でも聴けるし、これを機会にどうだい? って感じかな」
──コンプリートBOXのPRをお願いします。
「完を聴くと横浜銀蝿のすべてが分かるから、これを聴いてライブへ足を運んで欲しいね。俺たちのライブには親子二代、下手すりゃ三代で来るから、みんなで聴いてさ。横浜銀蝿って名前を知っていても実際に見たことがない人にも、DVD付きだから楽しめる作りになってる。他にも、年表に冊子、キーホルダーまで付いてるし、お買い得だよ…って、俺が言うのも変だけど(笑)」
──手始めにアルバムから聴きたい人にはどれがオススメですか?
「個人的には『ベストコレクション2』かな。久々のリメイクだし、30年前に現代を予言した『パソコンロックンロール』も収録されてるから(笑)。この曲、レコードにした記憶が俺自身にはなくて、ファンから教えてもらったんだ。だけど、どっちを買っても売るなよ!」
──ご自分の作品が中古で売られていたら、悲しいですもんね。
「横浜銀蝿のシングルが100円で売ってたら俺、全部買い占めて自宅に保管するからね。そんなに安く売るなんて、舐めてんのかコイツ! と思う(笑)。ある程度の値段なら見過ごすけど。音楽は俺にとって子どもというか分身だからさ。やっぱり、買った人には大切に扱って欲しいよね。」
1人で為すことには限りがあるからこそ仲間は大事な存在
──デビュー当時のことも聞かせて下さい。あの頃は怖い男性の集団というイメージでしたが…。「不良で元暴走族の集まりだったからね。でも、最低限のルールは決めて守ってたんだよ。上からは『お前らそんな格好してるんだから、時間だけは守れ』と言われてた。髪型はリーゼントで格好は革ジャンに白いドカンとサングラス。当然だよね。頭とケツだけちゃんと挨拶すれば、真ん中は何をしてもいいっていうのも決めごとの1つ。だからその後がメチャメチャ。タバコを吸うし、笑わないし」
──デビュー後、2年で解散すると決めていたのは本当ですか?
「俺たちの当初の目標は、2年間完全燃焼。そのために、シングル1位、LP1位、武道館満タンっていう目標を3つ、掲げてた。でもね、シングル1位は達成できなかった。寺尾聡さんの『ルビーの指輪』がどかないから、2位止まり。次はシャネルズの『街角トワイライト』とぶつかって最高2位。俺たち、無冠の帝王って呼ばれたんだよね。武道館だって、初回は満タンにできなかった。ツッパリなのに、できませんでした、ごめんなさいじゃ済まないからさ、もう1年期間を延長して、3つすべてを達成したんだ」
──目標到達までに根気を要したようですが、それでも諦めなかった理由は。
「メンバー同士で言葉にはしなくても、目標を立てたら諦めない気持ちは全員の心に浸透してたんだよね。悔しい思いはみんな、一緒だし。暴走族時代に、1人でできることには限りがあると知ったけど、あの時も仲間や友だちの大切さを実感したね。1人では、壁にぶつかったら挫けていたかも知れない」
──仲間がいたから夢が掴めた、ということですね。
「そうだね。メンバー全員、夢は見てるだけじゃなくて、掴むむものだと考えてた。俺たち、絶対に売れると信じていたから。
理想像を具体的に思い描けば自ずと何をするかが見える
──売れると信じていたのは、デビュー前からですか?「もちろん。こんなに良い曲が売れないワケがない! と自信を持ってたよ。大丈夫かな、なんて一度も考えたことはなかったね。武道館を満タンにするイメージも、常に持ってたよ。だから、ライブ会場のキャパより客数が少ない日でも、憂鬱にはならなかった。目指したものは手に掴めるって信じ込んでたんだ」
──信じる、イメージを持つ。それが翔さん流の夢を叶えるコツ?
「そうだね。こうなりたいっていう理想像を具体的にイメージできないヤツは、絶対にそこへは到達できない。こうなっていくって夢を描いて、そこにいる自分をはっきりとイメージする。これが、夢を掴む最低条件だと思うけどね、俺は。イメージトレーニングは大事だよ。細かいイメージが沸けば自ずと、自分が何をすればいいのかが見えてくるはずなんだ」
──どうしたら翔さんのように、イメトレができるようになりますか。
「じゃあ恋愛の話に例えようか。好きな女を口説きたいと思った時に、どうしたら付き合えるかを考えるよね。そうしたら自ずと、どんな自分でいればいいのかがイメージできる。これって、夢に近づく方法論が見えてくるのと同じ。夢だって恋愛だって、憧れているだけじゃ叶わないんだよ」
──なるほど。分かりやすいです!
「だから夢が叶わなかったのは、イメージ力が足りなかったんだよね。もちろん人にはそれぞれ事情があるから、1つ目の夢に敗れたら次を探せばいい。1回で成功するヤツなんていないから、また挑戦すればいいし。自分の意思で決めての失敗は肥やしになるから」
──では、イメージ力で夢を掴んできた翔さんの今後は?
「大きな意味では俺が死んだ後、何十年経っても日本のロックンロール界の歴史に名を残すようなバンドにしたいよね、横浜銀蝿を。ローリング・ストーンズやビートルズのようになってくれたら最高だね。じゃあそのためには、どう生きていくか。それが今の課題かな」
こと細かく丁寧に、夢への近づき方を話してくれた翔さん。一時代を築いた男の心意気は、半端なく粋! 取材後はスタッフ一同、翔さんのファンになりました!!
INFORMATION
■「T.C.R 横浜銀蝿R.S COMPLETE BOX 『完』」
■「初の紙ジャケット復刻CD」
【INFO】
30年前、それは“ぶっちぎり R&R”で始まった。リーゼントにサングラス、ライダースの革ジャン、白のドカンという独特の服装に身を包み、「ツッパリ」「暴走族」といった当時の時代風潮に乗り、若者の人気を獲得した横浜銀蝿(現在の正式名称はTHE CRAZY RIDER 横浜銀蝿 ROLLING SPECIAL RETURNS)がデビュー30周年記念となる復刻商品を発売する。デビュー当初から「シングルチャート1位、アルバムチャート1位、武道館満タンを実現したら解散します」と宣言、3年3ヶ月を疾走して83年12月31日、新宿コマ劇場でのコンサートを最後に解散した。オリジナル音源による「コンプリートBOX“完”」はオリジナルアルバム6枚とライブアルバム2枚、そしてベストコレクション的なシングルス2枚のCD10枚組+解散ライブ映像を収録したDVD1枚で1万円(税込)。また、80年のデビューアルバム「ぶっちぎり」から83年の「ぶっちぎりREVERSE」まですべてのオリジナル、「ぶっちぎりベストコレクションVol.1」、「ぶっちぎりベストコレクションVol.2」の計8タイトルが“紙ジャケット復刻盤”としてリリースされる(税込各2500円)。キングレコードから8月4日同時発売!
PROFILE
翔(しょう)
1958年6月8日生まれ 神奈川県横浜市出身
79年9月、翔、Johnny、TAKU、嵐の4人でロックンロールバンドTCR横浜銀蝿RSを結成。ボーカル&ギターとして、80年9月21日にシングル「横須賀Baby」、アルバム「ぶっちぎり」でデビュー。テレビやラジオ、ライブなどの音楽活動だけでなく、映画やドラマに出演するなど活動の場を広げ、わずか2年で日本武道館コンサートを成功。日本レコード大賞特別賞を受賞し、日本全国に横浜銀蝿の名を轟かせた。代表曲は「ツッパリHigh School Rock’n Roll (登校編)」「羯徒昆路薫’狼琉」などがある。83年12月31日に解散。85年からソロ活動を開始。ミュージシャン、タレント、役者として活動。98年1月1日、翔、TAKU、嵐の3人で横浜銀蝿を再始動。現在、10年の横浜銀蝿結成30周年に向けて、全国ツアーを爆走中だ。9月19、20日にはデビューコンサートの場所、横浜教育会館にて、デビュー30周年「前夜祭」2daysライブが開催される。
■「T.C.R 横浜銀蝿R.S COMPLETE BOX 『完』」
■「初の紙ジャケット復刻CD」
【INFO】
30年前、それは“ぶっちぎり R&R”で始まった。リーゼントにサングラス、ライダースの革ジャン、白のドカンという独特の服装に身を包み、「ツッパリ」「暴走族」といった当時の時代風潮に乗り、若者の人気を獲得した横浜銀蝿(現在の正式名称はTHE CRAZY RIDER 横浜銀蝿 ROLLING SPECIAL RETURNS)がデビュー30周年記念となる復刻商品を発売する。デビュー当初から「シングルチャート1位、アルバムチャート1位、武道館満タンを実現したら解散します」と宣言、3年3ヶ月を疾走して83年12月31日、新宿コマ劇場でのコンサートを最後に解散した。オリジナル音源による「コンプリートBOX“完”」はオリジナルアルバム6枚とライブアルバム2枚、そしてベストコレクション的なシングルス2枚のCD10枚組+解散ライブ映像を収録したDVD1枚で1万円(税込)。また、80年のデビューアルバム「ぶっちぎり」から83年の「ぶっちぎりREVERSE」まですべてのオリジナル、「ぶっちぎりベストコレクションVol.1」、「ぶっちぎりベストコレクションVol.2」の計8タイトルが“紙ジャケット復刻盤”としてリリースされる(税込各2500円)。キングレコードから8月4日同時発売!
PROFILE
翔(しょう)
1958年6月8日生まれ 神奈川県横浜市出身
79年9月、翔、Johnny、TAKU、嵐の4人でロックンロールバンドTCR横浜銀蝿RSを結成。ボーカル&ギターとして、80年9月21日にシングル「横須賀Baby」、アルバム「ぶっちぎり」でデビュー。テレビやラジオ、ライブなどの音楽活動だけでなく、映画やドラマに出演するなど活動の場を広げ、わずか2年で日本武道館コンサートを成功。日本レコード大賞特別賞を受賞し、日本全国に横浜銀蝿の名を轟かせた。代表曲は「ツッパリHigh School Rock’n Roll (登校編)」「羯徒昆路薫’狼琉」などがある。83年12月31日に解散。85年からソロ活動を開始。ミュージシャン、タレント、役者として活動。98年1月1日、翔、TAKU、嵐の3人で横浜銀蝿を再始動。現在、10年の横浜銀蝿結成30周年に向けて、全国ツアーを爆走中だ。9月19、20日にはデビューコンサートの場所、横浜教育会館にて、デビュー30周年「前夜祭」2daysライブが開催される。
取材・文/内埜さくら 撮影/おおえき寿一