ほぼ演技初体験ながら米・スラムダンス映画祭で優秀演技賞を受賞した希代彩さんの初主演映画『JKエレジー』が8月9日より公開。家族も大人も助けてくれない逆境に負けない、健気で力強いヒロインを見事に演じきっている。「普通の生き方とは?」「正しさとは?」と問いかけられるような本作の魅力とプライベート秘話をインタビュー。
台本に書かれていない過去を想像してココアを演じました
──主人公の梅田ココア役を演じる上で意識した点はありますか。「ココアは学校や友達には秘密でクラッシュビデオ(※参照)出演のアルバイトをしていますが、実はマジメなコなんです。バイトをしているのは家が貧乏だからだし、亡き母が自分のためにお金を残していてくれたと知ってからは、大学進学を諦めない、自分だけを信じる力強さも持っています。でも、川瀬陽太さんが演じた父のシゲルはギャンブル狂。前原滉さんが演じた兄トキオは元漫才師のニート。ろくでもない家庭環境下で彼女はなぜ、軸を曲げずに生きられるのかという、台本に書かれていない部分を想像しました。父に対しては幼少期に尊敬できる時期があったはずだとか、兄に可愛がられた体験があったんだろうな、とか)」
──ちなみに、希代さんとご家族との仲はいかがですか?
「反抗期が長くて大学2年ぐらいまで続いたんです。高校時代は母に言われた『早く寝なさい』という、些細な言葉に反応してケンカしてしまったこともあります。翌日も私はふてくされていて、学校をサボりました。だけど土砂降りだったので、母に隠れてこっそりと家に戻って寝ていましたけど…)」
──あはは! 希代さんのアルバイト経験もお伺いしたいです。
「中高一貫の女子校だった上に6年間はマーチングの部活に集中していたので、地元のお好み焼き屋さんで働いた程度でコレといったバイト経験がないんです。だから、クラッシュビデオという存在も何となくとしか知らなくて。最近、お酒を飲むことが習慣化したので飲みの場で教えてもらいました。ココアにビデオ出演を頼む、猪野広樹さんが演じたカズオが、『僕は虫ケラです。踏み潰して下さい』と言ったように、グチャグチャにされる対象物に自己投影するらしくて。『楽しみにしています』というコメントも頂いたので、好きな人はいるんだなぁと思いました。個人的には撮影で、裸足でA4サイズほどある大きなケーキを踏み潰した時が一番、楽しかったです)」
──ココアは次第にクラッシュ行為に快感を覚えます。ご自身が快感だと思う瞬間は。
「寝ている時です。寝すぎて起きたら疲れていてまた眠る…を繰り返して、12時間ぐらい寝たことがあります。眠らないと痩せないらしいので、私はお酒を飲むからいいのかな、とは思っていますけど」
自ら閉塞感を打ち破っていくココアとダメな父兄に注目を
──完成作品を観た感想は?「シュールなんですけどかすかな救いが描かれていて、リアリティーにあふれているな、と思いました)」
──では、希代さんにとってもかすかな救いは何ですか。
「3つあって、1つ目は数少ない友達です。私、人数が多いコミュニティで上手く立ち回るのが苦手なので今、友達でいてくれるコを大切にしています。2つ目は、今は仲良しの家族。両親は私に、こうなってほしいという理想像があったと思いますが、私の仕事を応援してくれているので。3つ目は、親戚から譲ってもらった愛犬のポメラニアン2匹。ポールくんとエマちゃんが可愛くて仕方ないんです。毎日癒やされています)」
──最後に映画の魅力を。
「松上元太監督から『考えるよりも一生懸命に演じて下さい』と言われたんですが、私はほぼ初めてのお芝居だったので、ココアのがむしゃらさと重なった作品だと思います。共演者のみなさんが実力派で見応えがありますし、私が演技賞を頂いた作品でもあるので、劇場で観てもらえたらうれしいです。ココアの父と兄、2人の愛すべきポンコツがいるからこそココアの力強さが活きていると思うので、私は2人が好きなんです。特に好きなのは、2人でコンビニの冷やし中華を食べるシーン。私が苦手なマヨネーズを大量にかけて美味しそうに食べているんですけど、ダメっぷりが可愛らしく表現されているので。登場人物の過去を想像しながら観ても楽しめますし、ココア自身が抱えている閉塞感を、みずから打ち破っていく姿にも注目して下さい」
INFORMATION
■映画『JKエレジー』
INFO&STORY
群馬県桐生市に暮らす高校3年生の梅田ココア(希代彩)は、学業は優秀だが家庭が貧しく、ギャンブル狂の父親(川瀬陽太)と元漫才師でニートの兄(前原滉)のせいで将来に希望を見いだせずにいた。そんなココアには、「クラッシュビデオ」に出演しているという秘密があった。もともとは兄の元相方であるカズオ(猪野広樹)に頼まれて始めたことだったが、最近では自身も、様々なものを踏み潰す感触に快感を覚え始めていた。そんなある時、ビデオ出演が学校にバレてしまい、大学推薦を取り消されて学校にも居場所がなくなってしまったココアだったが……。
※クラッシュビデオ…小動物や植物、食べ物など形あるものが女性に踏み潰される(破壊される)さまを見て性的欲求を満たす目的で作られた動画。
CAST&STAFF
出演/希代彩・猪野広樹・芋生悠・小室ゆら・前原滉・山本剛史・森本のぶ・阿部亮平・川瀬陽太
監督/松上元太
脚本/香水義貴・松上元太
製作・配給/16bit.
8月9日(金)テアトル新宿ほか全国順次公開
公式HP
(C)2018 16bit.Inc
PROFILE
希代彩(きたい・あや)
1996年12月11日生まれ
東京都出身
「ミスiD2017」ファンタジスタさくらだ賞受賞。映画出演作は『SUNNY 強い気持ち・強い愛』『聖なるもの』『最後の星』などがある。また『MAGI -天正遣欧少年使節-』『捨て猫に拾われた男』『白衣の戦士!』『おしい刑事』などドラマでも活躍中だ。
公式Twitter
公式Instagram
■映画『JKエレジー』
INFO&STORY
群馬県桐生市に暮らす高校3年生の梅田ココア(希代彩)は、学業は優秀だが家庭が貧しく、ギャンブル狂の父親(川瀬陽太)と元漫才師でニートの兄(前原滉)のせいで将来に希望を見いだせずにいた。そんなココアには、「クラッシュビデオ」に出演しているという秘密があった。もともとは兄の元相方であるカズオ(猪野広樹)に頼まれて始めたことだったが、最近では自身も、様々なものを踏み潰す感触に快感を覚え始めていた。そんなある時、ビデオ出演が学校にバレてしまい、大学推薦を取り消されて学校にも居場所がなくなってしまったココアだったが……。
※クラッシュビデオ…小動物や植物、食べ物など形あるものが女性に踏み潰される(破壊される)さまを見て性的欲求を満たす目的で作られた動画。
CAST&STAFF
出演/希代彩・猪野広樹・芋生悠・小室ゆら・前原滉・山本剛史・森本のぶ・阿部亮平・川瀬陽太
監督/松上元太
脚本/香水義貴・松上元太
製作・配給/16bit.
8月9日(金)テアトル新宿ほか全国順次公開
公式HP
(C)2018 16bit.Inc
PROFILE
希代彩(きたい・あや)
1996年12月11日生まれ
東京都出身
「ミスiD2017」ファンタジスタさくらだ賞受賞。映画出演作は『SUNNY 強い気持ち・強い愛』『聖なるもの』『最後の星』などがある。また『MAGI -天正遣欧少年使節-』『捨て猫に拾われた男』『白衣の戦士!』『おしい刑事』などドラマでも活躍中だ。
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撮影◎おおえき寿一 取材・文◎内埜さくら