〝和製「時計じかけのオレンジ」〟と銘打たれた出演映画「ハードロマンチッカー」が11月26日から全国東映系で公開。ドラマや映画、舞台のフィールドで活躍している若手俳優の渡部豪太さんを独占取材! 本作の見どころから仕事観まで話を聞く。分かりやすく的確な言葉が返ってくる。モデルとしても活躍、端正な顔立ちもあって一見クールに見えるが、仕事に対する情熱は人一倍強い。リアルな20代でもあるー。
「もし自分で役を選べるとしたら、もう一度安田役を選択しますね。もっとこうすればよかった…という反省点が多々あるので」
「役者は『あの作品良かったよ』『あの役凄かったね』とか、評価が後から返ってくるのが魅力。それに少しでも気を抜くとすぐ横が崖だったっていうのも、僕には魅力的に映りますね」
「実体験できない役を演じる時は、〝何かを捨てる〟ようにしています。といっても、例えばエレベーターのボタンを右手ではなく、左手で押すような簡単なことですけどね」
「日々の現場を楽しめる体を作って、息の長い俳優を目指します」
心にトゲが刺さって忘れらない映画を劇場で見てください
常に反省を忘れず、危機感を抱え、ちょっとした非日常に身を置き、先を見据えるー。俳優の渡部豪太さん。25歳。通り一遍の紹介文をつけるなら「話題作に続々出演。テレビドラマや映画、舞台で活躍する若手俳優」となる。一見クールに見えるが、こういったコメントからある種の〝熱〟を感じる。仕事に対する情熱は人一倍強いのだろう。
──渡部さんが出演した11月26日公開の映画「ハードロマンチッカー」は封切り前から話題ですね。完成作をご覧になっての感想は。
「男性と女性では感想が違うと思いますけど、男の僕が観ると悲しくて美しくて、嫉妬すら覚える作品でした」
──嫉妬というのは?
「登場人物が葛藤に苦しんではいますけど、フィルムの中で泥くさく、人間くさく生きている。その生き様に嫉妬を覚えたんです。普通の人間は、ここまで真っ直ぐに生きることができませんからね」
グ・スーヨン監督が「この映画は日本映画にあまりない味がある」と話す同作は、在日韓国人二世で山口県下関で生まれた高校中退のフリーター・グー(松田翔太)が主人公。暴力がはびこる日常で、泥くさい友情や愛情にまみれながら生きていく姿を描く作品で、渡部さんはグーの後輩・安田役。
ほかにも永山絢斗、柄本時生、遠藤要、川野直輝、金子ノブアキ、石垣佑磨ら若い俳優陣がズラリ顔を揃え、それぞれが「世渡り上手には生きられない。それよりもっと大事なことがあるはず」と生き抜く不良性感度を競い合う。作品からは若者独特の危うい繊細さも見て取ることができる。
──役作りはどのように。
「(松田)翔太くん演じるグーの後輩、安田は実在する人物なんですけど、監督からいろんなエピソードを聞かせてもらい役作りをしました」
──高木役の中村獅童さんもいい味を出していますよね。
「そうですね。中村さんはあの状況の経験者では? というぐらいのハマリ役ですよね。ちょっとクスッと笑えるキャラでもあるから注目ですね」
──見どころを教えて下さい。
「一度観ると心にトゲが刺さって忘れられなくなる作品だと思います。そしていつの日か、また観てしまうという。この映画は劇場で観ないとダメですよ。小倉や下関の街や風の音を映画用にわざわざ撮っているので、今年最後に、劇場で観ておくべき映画です」
──渡部さんが好きなシーンは?
「ラスト手前のひねりが効いた場面ですね。例えるなら野球のバッターが、キャッチャーを殴ってしまったようなシーンです。あとはこの独特の人を寄せつけない世界観。美しい色味や色彩…とにかくすべてが来るものを拒んでいる気がしたんです。撮影をそばで見ていて痛感しましたから、その雰囲気も映像に出ているはずです」
──ロケ地で思い出深い出来事はありましたか。
「撮影が終わってから、小倉のおでん屋さんへ行ったんです。雰囲気からして美味しいと分かるお店に。思った通り今まで食べたことがないほど美味しかったんですけど、店主に『映画の撮影だよね』と聞かれて、どうして知っているのかと尋ねたら、監督が頻繁に来るお店だったんです。本当に偶然だったから驚きました。翌日、翔太くんともお店に行きました」
KREVAさんが音楽監督の舞台は一筋縄ではいかない質
渡部さんは登場者の平均年齢が高い当コーナー最年少だろう。逆にいえばメイン読者層である20〜30代とは合致する。クルクルした天然パーマの髪型がトレードマーク。高校卒業後、カナダに1年間留学していた経験を持ち、結婚情報誌「ゼクシィ」のテレビCMは話題を集めた。東京シティ競馬イメージキャラクターを務め、伊藤淳史さんと一緒に叫んでいるのも彼だ。
来年1月10日放送開始のNHK連続ドラマ「本日は大安なり」にレギュラー出演が決定している。
そして…。
──11月30日と12月1日に上演される音楽劇「最高はひとつじゃない」にも出演されますよね。
「音楽監督がKREVAさんなんですけど、一筋縄ではいかない舞台になることは確実ですね。舞台はお客さんを含めて全体を指すと僕は思っているから当日、完成する可能性もありますよ。結果は神のみぞ知るということです。この舞台が上演される2日間、日比谷は荒れるでしょうね(笑)」
どの仕事にも大変なことがある 隣の芝生は青く見えるんです
──映画、舞台以外ではドラマ「QP」にも出演中ですね。「深夜の放送なので、寝てしまう人もいるかもしれませんが、放送時間が正味23分と短くても中身が濃いので、できれば毎週観てもらいたいです。ドラマらしからぬキレイな色味の作品なので観たことがなくても、ザッピングしていると目に止まると思いますよ」
──映画、ドラマ、舞台など数多くの作品に出演されてますが、台詞覚えに苦心しませんか。
「得意…ということにしておいて下さい(笑)。学生時代のテスト勉強は寝る前の5分で集中していたんですけど、台詞もこれと同じです。覚えるのは楽とは言えないですが、楽しいですよ」
──別のインタビューで「この仕事が天職かも」と言っていましたから、大変でも楽しいですよね。
「えぇっ、僕そんなこと言ってました!? 確かに、魅力に満ちあふれていますから天職と思いたい節はあります。これは他の仕事でも同じかもしれませんけど、いい評価ばかりではありませんが『この作品がどうだった』『あの役がどうだった』と返ってくるのが魅力なんですよ。僕らの仕事って羨ましがられることが多いんですけどどの仕事でも大変なところはあって、隣の芝生は青く見えるってヤツだと思います」
──最後に今後の目標を!
「仕事を楽しむためには足腰を鍛えなくてはと実感しています。まだ20代ですけど人間は足腰が大事だな、と。まずは散歩することから始めて、日々の現場を楽しめる体を作って、息の長い俳優を目指します!!」
INFORMATION
■映画『ハードロマンチッカー』
【STORY&INFO】
下関に生まれ、街を歩けば幼いころからの顔なじみのヤクザ庄司(真木蔵人)に危険な物を無理やり渡されたり、刑事の藤田(渡部篤郎)に絡まれたりするフリーターのグー(松田翔太)。ある日、後輩の辰(永山絢斗)とマサル(柄本時生)が敵対関係にある高校生の家に殴りこみ、それを聞いたグーは、事件の真相を求めて奔走するが…。高校を中退したフリーター青年グーが、暴力とセックスがはびこる世界で逞しく生きていく姿を描く衝撃作。肉体のみならず心にも突き刺さるようなバイオレンスシーンと刹那的な青春ドラマの行方に注目だ。
【CAST&STAFF】
出演/松田翔太・永山絢斗・柄本時生・遠藤要・渡部豪太・川野直輝・金子ノブアキ・落合モトキ・遠藤雄弥・裵ジョンミョン・石垣佑磨・淡路恵子・白竜・真木蔵人・渡辺大・芦名星・真木よう子・中村獅童・渡部篤郎
監督/グ スーヨン
原作/「ハードロマンチッカー」グ スーヨン(ハルキ文庫刊)
脚本/具光然
製作/「ハードロマンチッカー」製作委員会
配給/東映
公式HP 11月26日(土)より全国ロードショー
(C)2011『ハードロマンチッカー』製作委員会
PROFILE
渡部豪太(わたべ・ごうた)
1986年3月8日生まれ 茨城県出身
中学生時代から役者として活動をはじめ、フジテレビ系ドラマ「チェケラッチョ!!in TOKYO」「プロポーズ大作戦」などで注目を集める。ドラマや映画、舞台を中心に活動。映画出演はほかに「GSワンダーランド」「鴨川ホルモー」「猿ロック THEMOVIE」「NECK」「桜田門外ノ変」などがある。東京シティ競馬イメージキャラクター。日本テレビ系「QP」出演中。11月30日、12月1日にシアタークリエで上演される「KREVAの新しい音楽劇 最高はひとつじゃない」に出演。来年1月10日スタートのNHK連続ドラマ「本日は大安なり」にレギュラー出演する。
公式HP
■映画『ハードロマンチッカー』
【STORY&INFO】
下関に生まれ、街を歩けば幼いころからの顔なじみのヤクザ庄司(真木蔵人)に危険な物を無理やり渡されたり、刑事の藤田(渡部篤郎)に絡まれたりするフリーターのグー(松田翔太)。ある日、後輩の辰(永山絢斗)とマサル(柄本時生)が敵対関係にある高校生の家に殴りこみ、それを聞いたグーは、事件の真相を求めて奔走するが…。高校を中退したフリーター青年グーが、暴力とセックスがはびこる世界で逞しく生きていく姿を描く衝撃作。肉体のみならず心にも突き刺さるようなバイオレンスシーンと刹那的な青春ドラマの行方に注目だ。
【CAST&STAFF】
出演/松田翔太・永山絢斗・柄本時生・遠藤要・渡部豪太・川野直輝・金子ノブアキ・落合モトキ・遠藤雄弥・裵ジョンミョン・石垣佑磨・淡路恵子・白竜・真木蔵人・渡辺大・芦名星・真木よう子・中村獅童・渡部篤郎
監督/グ スーヨン
原作/「ハードロマンチッカー」グ スーヨン(ハルキ文庫刊)
脚本/具光然
製作/「ハードロマンチッカー」製作委員会
配給/東映
公式HP 11月26日(土)より全国ロードショー
(C)2011『ハードロマンチッカー』製作委員会
PROFILE
渡部豪太(わたべ・ごうた)
1986年3月8日生まれ 茨城県出身
中学生時代から役者として活動をはじめ、フジテレビ系ドラマ「チェケラッチョ!!in TOKYO」「プロポーズ大作戦」などで注目を集める。ドラマや映画、舞台を中心に活動。映画出演はほかに「GSワンダーランド」「鴨川ホルモー」「猿ロック THEMOVIE」「NECK」「桜田門外ノ変」などがある。東京シティ競馬イメージキャラクター。日本テレビ系「QP」出演中。11月30日、12月1日にシアタークリエで上演される「KREVAの新しい音楽劇 最高はひとつじゃない」に出演。来年1月10日スタートのNHK連続ドラマ「本日は大安なり」にレギュラー出演する。
公式HP
取材・文/内埜さくら 撮影/おおえき寿一
スタイリスト/ume ヘアメイク/atsu.co Tシャツ ¥7,140(ACOUSTIC/TWINS Acoustic)、シャツ ¥28,350(Iroquois)、その他すべてスタイリスト私物
SHOP LIST「TWINS Acoustic 渋谷店」TEL:03-3407-4777
「IROQUOIS HEADSHOP」
TEL:03-3791-5033
スタイリスト/ume ヘアメイク/atsu.co Tシャツ ¥7,140(ACOUSTIC/TWINS Acoustic)、シャツ ¥28,350(Iroquois)、その他すべてスタイリスト私物
SHOP LIST「TWINS Acoustic 渋谷店」TEL:03-3407-4777
「IROQUOIS HEADSHOP」
TEL:03-3791-5033