大阪生まれ、新喜劇育ち。多彩な顔を持つ男は身長190センチ近くと背も大きければ、心も広い。そしてなにより優しい……。映画『FLY!〜平凡なキセキ〜』で初主演を飾った小籔さんを緊急独占取材! 作品の裏話や人生哲学を聞いてきました!! グイグイと引き込まれる巧みな話術はもちろん、優し過ぎるエピソードが次々と飛び出します。
仕事は誰かするのが本来の意義で究極の社会貢献
──小籔さん演じる平野満男は劇中でモテ期を迎えますが、ご本人のモテ期はいつでしたか?「僕は高校2年ですね。バレンタインに10個、チョコをもらいましたからモテモテですよー。僕が通ってた高校の近くにある各女子高、ほとんど全校に女友だちがいて、週3でコンパしてましたからね。高校に入ってバイトをする時、可愛いコがいるマクドを事前に調べてミナミの戎橋南店を選んだんですけど、そのバイトの後輩からももらいました」
──そこまでモテた経験を持つ小籔さんは、満男や作品のストーリーに共感できないのでは!?
「いやいや、僕は結婚してやっと仕事に身が入ったタイプで、それまでは満男状態でしたよ。今のままでいいんかなっていう闇の中を歩いてる感じで、それで何年も経ってしまうという。そういう混沌とした感覚って、誰もが一度は持ちますよね。だから、稼がなくてもいいほど金持ちで、美男美女でっていう、非の打ちどころのない人以外は、共感できると思いますよ」
──そんな時期を、どうやって抜け出したんですか?
「結婚して子どもができて、親をなくして座長になって…という経験をした後ぐらいに、『何のために生きてるか』と自問自答してみたら、大人になれたというか考え方が変わって抜け出せたんですよね。仕事って自分のためじゃなく、誰かを幸せにするのが本来の意味やないか、と。誰かを幸せにしたその延長で金がついてくるんやないか、と。僕は嫁と子どもたちにビッグマネーをパスしなければならない立場なワケで…そう考えると仕事は、究極の社会貢献なのではないか、と」
──社会貢献、ですか?
「そうです。僕は今、吉本新喜劇の座長をしてますけど、例えばいつか僕が死んで、閻魔さまの前で審判を受けると仮定します。天国か地獄か審判を下される前に、新喜劇の先人たちが上から僕を見てるワケですよ。その時に僕が自分のためだけに仕事をし続けて、大先輩の方々から『お前、座長のくせに新喜劇を私物化して、座長のカスやな! カス!!』と叱られても、取り返しがつかないんですよ。だから後悔しないように、新喜劇のレジェンドと呼ばれる方々に、『おー、小籔座長ー。なかなかよかったぞ』と言ってもらえるように、仕事を社会貢献と捉える。そうすると結果、自分のためだけに仕事をしなくなることでかえって頑張れるんですよね。人って自分のためだけだとつい、甘くなりますから」
──なるほど。人のためにって、優しい考え方ですね。
「僕は誰にでも、できれば知り合い全員に優しくするべきだと思うんですよ。そういうのって、器が大きくないとできないですけどね。優しくしようとする裏には、器が大きく見られたいというイヤらしい目標も隠されているんですけど…(笑)それでもいいんですよ。結局それで人に優しくできるなら、いいことをしたんですから」
大金持ち且つ美男美女という人以外は共感できる作品です
──人に優しくするためには、具体的にはどうすればいいですか。「率先して自分から人を助けることです。例えば自分がアメちゃんを持っていたとして、相手が欲しい素振りをしたら半分、分けてあげる。一瞬、損をした気分になりますけど、自分がピンチに陥った時に相手がそれを覚えていてくれて助けてくれたら結果、得してるんですよ」
──という教育をお子さんにも?
「してますね。教えられるのは今だけですから。で、この小籔教育が功を奏さずに娘がどーしょーもない彼氏を連れてきたら、自分を呪うしかありません」
──それは仕方ないですね(笑)。仕事をする上で大切にしていることは、どうですか。
「アテにし過ぎてはいけないんですが、人との繋がりは大切ですね。若い頃は一人で何でもできるような気がして、『ホントみなさんのおかげです』て言う人に『嘘つけ! 思ってないやろ、努力やろ!!』と心の中でツッコミ入れてたんですけど、忘れもしません! 襲名披露の06年2月28日、座長として金屏風の前に座った瞬間、心底みなさんのおかげやな、としみじみ感じました。いろんな人がいましたけど、それも僕に意地を張らせてくれた人との繋がりですから、感謝すべきだと今では思ってます」
自ら人を助け人とのつながりを大切にすることがポリシー
──08年スタートのライブイベント 『コヤブソニック』も、その人との繋がりで始めることができたんですよね。「そうなんです。僕、レイザーラモンの2人とビッグポルノっていう音楽ユニットを組んでいて、サマーソニックに出たかったんですけど断られて、ほかの野外音楽フェスティバルも全部潰したろか!? って動機で始めたんですけど、憧れのミュージシャンの方々と打ち上げで仲よくなれるのは、人との繋がりがあればこそ、ですね。斉藤和義さんには、コヤブソニックに出てもらった縁もあって、この映画の主題歌も担当して頂きました」
──では最後に今一度、初主演映画のPRをお願いします!
「人生を一歩踏み出せずに悶々としてる人はぜひ、僕が演じた満男を自分だと思って観てください。勇気が出て実生活でも一歩、踏み出そうと思えるはずですから」
吉本新喜劇の座長という重責を背負い、今年7年目を迎えた小籔さんの仕事に対する考え方はさすが! のひと言。見習いたいものです。慕われる〝めちゃモテ〟な人は、人を大切にしていると教えられた一日でした!
INFORMATION
■映画『FLY!〜平凡なキセキ〜』
【STORY&INFO】
大阪の町工場の冴えない工員・満男(小籔千豊)の片思いの相手は、工場の事務員ななみ(相武紗季)。彼女は小学1年生の男の子を育てるシングルマザーだが、満男にとっては高嶺の花だった。そんなある日、草野球の試合中に満男は不思議なものと出会う。それは、遠い星から偶然やってきた宇宙人(温水洋一)だった。自分と同じく冴えなくてモテないその宇宙人と友情を育んでいく満男だったが…。昨年の「第3回沖縄国際映画祭」で上映された同作は大阪を舞台に、町工場の冴えない工員の恋模様と、偶然地球に落ちてきた宇宙人との交流を描く。見終わった後、誰かに優しくしたくなる…そんな心温まる作品となっている。
【CAST&STAFF】
出演/小籔千豊・相武紗季・温水洋一・本仮屋ユイカ・笹野高史・池乃めだか・なるみ・西田敏行(友情出演)・大杉漣ほか
監督/近藤真広
脚本/上田誠・山脇唯(ヨーロッパ企画)
主題歌/斉藤和義「満男、飛ぶ」(SPEEDSTAR RECORDS)
配給/よしもとクリエイティブ・エージェンシー
公式HP
3月10日(土)よりシネマート新宿、シネマート六本木、シネマート心斎橋、コロナシネマワールド他にて全国公開。
PROFILE
小籔千豊(こやぶ・かずとよ)
1973年9月11日生まれ 大阪府出身
93年にお笑いコンビ・ビリジアンでデビュー。関西では人気を得るも01年に解散し同年、吉本新喜劇に入団。06年2月28日に襲名御披露目を行い、座長に就任した。06年上方お笑い大賞話題賞を受賞。ユニット・ビッグポルノでの活動、お笑いと音楽を融合させた野外フェス「コヤブソニック」の企画、M-1グランプリやキングオブコント出場、「プリン」で歌手デビューなど新喜劇以外でも活躍は多岐にわたる。映画はほかに「サラリーマン専科単身赴任編」「学校II」「虹をつかむ男・南国奮斗編」「日常」「日常〜恋の声〜」などに出演。本作で初主演を務めた。MBS「よしもと新喜劇」、ABC「今ちゃんの『実は…』」「ほっとけ!3人組」、テレビ東京「ざっくりハイボール」、BSスカパー「BAZOOKA!!!」レギュラー出演中。テレビ東京「バカソウル」ではMCを務めている。
公式Twitter
■映画『FLY!〜平凡なキセキ〜』
【STORY&INFO】
大阪の町工場の冴えない工員・満男(小籔千豊)の片思いの相手は、工場の事務員ななみ(相武紗季)。彼女は小学1年生の男の子を育てるシングルマザーだが、満男にとっては高嶺の花だった。そんなある日、草野球の試合中に満男は不思議なものと出会う。それは、遠い星から偶然やってきた宇宙人(温水洋一)だった。自分と同じく冴えなくてモテないその宇宙人と友情を育んでいく満男だったが…。昨年の「第3回沖縄国際映画祭」で上映された同作は大阪を舞台に、町工場の冴えない工員の恋模様と、偶然地球に落ちてきた宇宙人との交流を描く。見終わった後、誰かに優しくしたくなる…そんな心温まる作品となっている。
【CAST&STAFF】
出演/小籔千豊・相武紗季・温水洋一・本仮屋ユイカ・笹野高史・池乃めだか・なるみ・西田敏行(友情出演)・大杉漣ほか
監督/近藤真広
脚本/上田誠・山脇唯(ヨーロッパ企画)
主題歌/斉藤和義「満男、飛ぶ」(SPEEDSTAR RECORDS)
配給/よしもとクリエイティブ・エージェンシー
公式HP
3月10日(土)よりシネマート新宿、シネマート六本木、シネマート心斎橋、コロナシネマワールド他にて全国公開。
PROFILE
小籔千豊(こやぶ・かずとよ)
1973年9月11日生まれ 大阪府出身
93年にお笑いコンビ・ビリジアンでデビュー。関西では人気を得るも01年に解散し同年、吉本新喜劇に入団。06年2月28日に襲名御披露目を行い、座長に就任した。06年上方お笑い大賞話題賞を受賞。ユニット・ビッグポルノでの活動、お笑いと音楽を融合させた野外フェス「コヤブソニック」の企画、M-1グランプリやキングオブコント出場、「プリン」で歌手デビューなど新喜劇以外でも活躍は多岐にわたる。映画はほかに「サラリーマン専科単身赴任編」「学校II」「虹をつかむ男・南国奮斗編」「日常」「日常〜恋の声〜」などに出演。本作で初主演を務めた。MBS「よしもと新喜劇」、ABC「今ちゃんの『実は…』」「ほっとけ!3人組」、テレビ東京「ざっくりハイボール」、BSスカパー「BAZOOKA!!!」レギュラー出演中。テレビ東京「バカソウル」ではMCを務めている。
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